外交の“常道”を行く金正恩氏、一方のトランプ氏は…

“常道無用”のトランプ・リアリティー・ショーから目がはなせない <フジテレビ・風間晋解説委員> <a href="https://www.houdoukyoku.jp/reporters/11"></a>

カテゴリ:ワールド

  • 米朝首脳会談が不発でも中朝改善で良しとする戦略判断
  • 中国を追いやるトランプは“常道無用”
  • 5月にイラン核合意破棄が米朝首脳会談にも波及必至

米朝首脳会議が不発でも中朝改善で良しとする戦略判断

金正恩委員長の北京訪問は、電撃的ではあったが驚くには当たらない。

史上初の米朝首脳会談といった画期的イベントを前に、できるだけ有利な国際環境を作っておこうというのは、外交の常道だからだ。

おそらく金委員長の訪中決断は、もっと深く、長期的視点に立つものだ。

米朝首脳会談のための中国訪問という意味付けを超えて、米朝首脳会談実施の合意を機に中朝関係を抜本的に改善させるという戦略的決断があると見られる。

すなわち、米朝首脳会談の成功・失敗にかかわらず、3代目として就任して以降、異例な状況が続いてきた中朝関係のベクトルを変えようという判断であり、それは、万が一、米朝首脳会談がお流れになったとしても中朝関係が改善できれば良しとする決断だ。

中国を追いやるトランプは“常道無用”

それに比べてトランプ大統領は常道を外れているように見えてならない。

このタイミングで中国に貿易戦争を仕掛けたのは、対北朝鮮で中国は役立たずと見切ったということなのか。

それとも中国に圧力をかけて北朝鮮を動かすという作戦はまだ続いていてその一環なのか。

あるいは、秋の中間選挙を見据えて今は対中国で貿易戦争をやって見せる方がお得と考えてのことか。

昨年末の国家安全保障戦略(NSS)の発表以降、米政府の中国への対抗姿勢は明らかだ。

今月には、閣僚や政府高官の相互訪問を活発化させる『台湾旅行法』の成立が中国政府をいたく刺激しているし、南シナ海での航行の自由作戦も続けている。米中関係の波は高い。

さらに、北朝鮮の隣国、ロシアとも外交官追放合戦に加わるなど、関係改善の兆しは見られない。

最も懸念されるのが、ポンペオ国務長官、ボルトン国家安全保障担当大統領補佐官の新外交安保チームだ。

2人とも対北強硬派である以上に、対イラン強硬派であり、このことが米朝首脳会談に響いてくるのは間違いない。

5月にイラン核合意破棄が米朝首脳会談にも波及必至

トランプ大統領は、5月にイラン核合意の破棄に動くと見られている。

ポンぺオ、ボルトンの両氏は「破棄派」であり、大統領の決断を後押しこそすれ再考を促すとは思えない。合意破棄なら、英独仏のみならず中露の反発も必至だ。

アメリカとは何を合意してもいつ反故にされるか分からないというメッセージにもなってしまう。

だとすれば、金正恩はどういう腹積もりでトランプとの会談に臨むのか、トランプはそこをどう読んで取引に勝ってみせようというのか。

常道無用の“トランプ・リアリティー・ショー”から目が離せない。

トランプの頭の中の他の記事