世界は独裁化に向かっている。習近平・プーチンが長期政権化 

行き過ぎた民主主義は独裁へ向かう

カテゴリ:ワールド

  • 習近平国家主席は任期撤廃で政権長期化、プーチン大統領も4期目確実
  • 危機状態になると民主主義は独裁と相性が良くなってしまう
  • 経済が発展すると中産階級が産まれ、その中産階級は反体制派となる

中国では明日、2月5日に全国人民代表大会が開幕され、2期10年とされてきた国家主席の任期を撤廃する憲法改正を行い、習近平政権が長期化する見通しとなった。

元外務省主任分析官の佐藤優は各国の政権が長期化していることに関して、世界が徐々に独裁化に向かっていると分析する。
(聞き手:ニッポン放送『あさラジ!』高嶋ひでたけ)

世界は徐々に独裁化に向かっている?

高嶋:
中国では5日から全人代が開幕します。
まず訊きたいのは、習近平さんが連続2期10年という国家主席の任期を撤廃する見込みで、長期政権になる。そして憲法まで改正して、自分の政治思想みたいなものをそれに盛り込むということです。
毛沢東か何かになりたいのですか?

佐藤:
そこまでは考えていないと思いますが、ロシアのプーチン大統領も今度3月18日に選挙があります。これはまず当選が確実ですから、4期目の長期政権になります。

権力者というのは誰でも長くやりたいと思うものです。
これは安倍さんでもトランプさんでもそうだと思います。ところがある条件が無いとできません。

今こんな極端なことを言う人はいないと思いますが、世界は独裁化に向かっていると私は見ているのです。
戦争などでしょっちゅう情勢が変化するでしょう。あるいは金融情勢もしょっちゅう変化する。すぐに国が乗り出さないといけない局面があるのですね。

それは高いレベルの政治判断で、民主主義的な手続きを議会で踏む。それから国民の意見を細かく聞いていたりすると時間が経ってしまうのです。
その時間が経つことによって“国益”、この場合は国家の利益と国民の利益の双方を失うことが非常に多い。
それならば独裁という傾向を強めなければいけないということを、どの国民も心の奥深いところで思っていると思います。

行き過ぎた民主主義が独裁に

高嶋:
“独裁”と言うと何だか怖いですけど、情勢の変化があまりにも激しく早いので、即断即決、リーダーはすぐに判断していかなきゃいけない。
ということは政権が長くならざるを得ないということもあるわけですね。

佐藤:
そういうことです。
逆に“独裁”と言うと皆悪いことのように思いますが、例えば今国会議員が仮に100人いるとすると、これは国民から100人選んだのですよね。
高嶋さん、99人になったら違いますか? 本質的に。

高嶋:
変わらないと思いますが…。

佐藤:
じゃあ98人だったら?
それを減らして行ったら、10人だったらどうでしょうか?9人だと?
最終的には、1人でも国民の意向を反映しているのであれば良いじゃないかという、こういう考えがあり得るのですよ。

これはカール・シュミットというとても怖い思想家で、初期のナチス理論に貢献した人ですが「大統領の独裁」という本を出しています。
この人が言っていることで、実は危機状態になると民主主義は独裁と相性が良くなってしまうのです。
それに対して自由主義は駄目ですよ。自由主義は「何があっても私に触らないで下さい」ということですから。

だから民主主義が行き過ぎると独裁になる。
特に今国際情勢が非常に緊張していますから、独裁を許す客観的な環境があるということだと思うのです。

経済発展で中産階級が産まれ、反体制派が強まる

高嶋:
では個人の資質で、ただプーチンさんは何だかネガティブな暗い部分もあって、自分の政敵は何をやっても倒すというような、何となくダーティーな雰囲気も感じるじゃないですか。
それだけではなく、国際情勢の変化の激しさで、という佐藤さんの判断というのはよく分かりますけれども。

佐藤:
だってロシアの他の候補者が共産党でスターリン時代のロシアを戻すという人と、日本が北方領土を要求するのだったら原爆を落としてやると言っている人と、税金を無くすけど社会福祉ゼロ、強い者が全部取るという、こういう候補者しかいないのですよ。
それだったら皆プーチンの方がマシと思うじゃないですか。

ロシアの場合選挙は悪い候補とうんと悪い候補ととんでもない候補が出て来て、うんと悪い候補ととんでもない候補を落すというのが選挙という雰囲気ですからね。ロシアはそうなのです。
日本もそういう風にならないことを祈っていますけど。

高嶋:
中国はそこに行くとやはり経済的発展という土壌というか、最下層も全部含めて生活水準が上がってきているという経済活動の変化というのは、習近平さんにとっては大変な追い風になっているのではないですか?

佐藤:
それが、必ずしも追い風になるとは私は思いません。
生活に余裕が出て来ると中産階級が出ますよね。中産階級というのは権力に批判的になりますから。
逆に今食べていくのが精いっぱいで、教育も十分に受けられないというと、政治どころじゃないですからね。
だから逆に中国の経済が良くなって中産階級ができると反体制派が強くなるということです。

ロシアもそうです。
プーチンの反体制派がある程度知識人とか中産階級で増えているのは、プーチンの改革が上手くいって経済が良くなっているからなのですよ。
済が良くなると反対どころじゃなくて、自分の生活を守るので必死になってしまうのです。

高嶋:
「衣食足りて礼節を知る」ならぬ「衣食足りて政権を批判する」ということですね。
そういうのを統治していくリーダーもけっこう大変ですね。

佐藤:
リーダーというのは本当に大変だと思いますよ。
あの人たちは単なる権力欲で動いているのではないのです。
これは我が安倍総理も安倍総理なりに日本国家のことをものすごく心配しています。
だから長期政権とか、言うことを聞かないのではないかという独裁的な傾向が強まっているということも関係していると思いますね。


3/1(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』より
http://www.1242.com/lf/articles/program/asa/

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