日米揺らぐ政権基盤 金融市場にどう影響するのか【対談】

マネックス証券広木隆チーフ・ストラテジスト × フジテレビ鈴木款解説委員 対談

カテゴリ:ワールド

  • 利上げペース加速の可能性は少ない
  • G20は材料視されない
  • 森友問題で市場はリスク警戒

利上げペース加速の可能性は少ない

鈴木:
今週最大のイベントは、20日~21日に開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)ですね。
パウエル議長になって初めてのFOMCですが、ずばり利上げはあると思いますか?

広木:
そうですね。0.25%の利上げについては、市場では織り込み済みなので、逆にもし利上げが無かったら市場はびっくりするでしょう。FRBも市場を混乱させないよう粛々と利上げを実行すると思います。

問題は利上げのペースですが、まだマーケットの中では利上げペースが加速するのではないかとみている人が多い。

今週公表されるFOMCの結論の中で、年末の政策金利の予測が出てきますが、そこから逆算するとFRBとしてどのくらいの利上げペースを見ているのかわかります。去年12月の見込みでは、今年の利上げ回数は3回だったんですね。

0.75%の利上げを見ている人が中心だったので、0.25%の利上げが3回だったわけです。利上げが今回加速するかどうかですが、その可能性はないんじゃないかなと思います。インフレ加速の兆候がデータとしてないので、ここで利上げの見通しを変える材料がないんです。

日本時間でわかるのは木曜日の未明ですが、日本は水曜日が祝日で市場が休みなのでなかなか動きづらいですよね。

G20は材料視されない

鈴木:
また、今週行われるG20では、アメリカが中国に対して、鉄鋼・アルミ国有企業への補助金などを批判する考えです。

こうしたアメリカの輸入制限に向けた動きは、市場にどんな影響を与えそうですか?

広木:
はっきり言って材料視されてはないと思うんですよね。

G20が何か国際紛争の解決の場に機能してきているかというと、「G0(ゼロ)の時代」と言われて久しいですけど、G20の協調体制で何か事にあたるということは難しくなりました。

たとえば世界が直面している金融危機があれば一致団結して対策が作りやすいですけど、今起きていることは真逆じゃないですか。

保護主義で各国の事情を主張しているだけなので、それをG20の場でなんとか諌めるということは事実上無理ですよ。

鈴木:
トランプ政権ですが、ティラーソン国務長官が突然解任されるなど、先行き不透明な政権運営になっています。

こうした政権の状況が、金融市場に与える影響はどう考えますか?

広木:
やっぱりじわりと来ていますよ。国家経済会議のゲーリー・コーン委員長の辞任、ティラーソンの解任、それからマクマスター補佐官も解任の話が出ていて、どんどんトランプ政権の重要人物が去って、より強硬派の人たちばかりになっている。

もともと脆弱なトランプ政権がますます先鋭化している状況で、これはマーケットのリスクとして認識されていると思います。

森友問題で市場はリスク警戒

鈴木:
日本でも森友問題で、安倍政権は急速に支持を失っています。こちらがマーケットに与える影響は?

広木:
非常に大きくなってきました。先週末まではまだ耐えられて、相場もそこそこトランプ政権のことや森友の問題がある中で値持ちがあったんですが、この対談をやっているとき(19日午前10時ごろ)でも、下げ幅が200円に入ってきている。

この下げの理由は、この週末に各メディアが行った世論調査の結果で、安倍内閣の支持率が下がったことが大きいと思うんですよね。

実際、事の軽重では内閣が倒れるほどの問題なのかと思っていたのですが、世間の受け止め方がこれだけ大きくなってくると、安倍政権としても、しかるべき幕引きをしなくてはいけないということになる。

そうなると相当政権にとってもダメージだし、いろいろシナリオが変わっていますから、今週リスク警戒モードのギアが一段と上がった状態ですよね。