皇太子さま58歳の誕生日会見内容

変わらぬ覚悟でまっすぐに進まれる フジテレビ橋本寿史解説委員

カテゴリ:国内

  • 「これまでの両陛下の歩みに深い感慨と敬意の念」
  • まずは今上陛下をお手本とされるお気持ちを表明
  • 「伝統を継承しながら”象徴”としての役割をしっかり果たす」

言葉を一つ一つ選びながら

皇太子さまは、2月23日、58歳の誕生日を迎えられました。

皇太子さまはこれに先立ち、記者会見に臨まれています。「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」の施行日が来年4月30日と決まってから初めての記者会見です。

来年5月1日に126代の天皇陛下に即位される皇太子さま。派手な言葉や目を引くような内容とはなっていませんが、言葉を一つ一つ選ばれたのであろうと感じられ、皇太子さまの真摯なお人柄が十分ににじみ出る内容でした。

ーー天皇陛下が来年4月30日に退位され、殿下は同年5月1日に即位されることが決まりました。率直な受け止めとともに、皇太子としての残りの期間、どのようなことに重きを置いて過ごされたいとお考えかお聞かせください。退位日が決まった陛下とはどのようなお話をされましたか。

昨年の誕生日会見でもお話ししたとおり、陛下のビデオメッセージを厳粛な思いで拝見いたしましたし、陛下のお考えを真摯に重く受け止めております。また、長きにわたり、両陛下が一つ一つの行事を大切に思われ、真摯に取り組まれるお姿を間近に拝見してまいりましたので、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」の施行日が決まったことを受け、改めて、両陛下のこれまでの歩みに思いを致すとともに、深い感慨と敬意の念を覚えております。

今後とも、両陛下の御公務に取り組まれる御姿勢やお心構え、なさりようを含め、そのお姿をしっかりと心に刻み、今後私自身が活動していくのに当たって、常に心にとどめ、自己の研鑽に励みつつ、務めに取り組んでまいりたいと思います。

陛下とは、以前より折に触れ、お考えを伺ったり、あるいはお話し合いをさせていただいております。具体的な内容についてここで述べるのは控えますが、そうした機会は大変有意義なものであり、とても有り難いことと思っております。

昨年は、陛下の名代としてアジア冬季競技大会の開会式に出席しましたが、少しでもお役に立つことがあれば、喜んでできる限りのお手伝いをしてまいりたいと思います。両陛下には、今後とも、くれぐれもお体を大切になさり、末永くお元気でいらっしゃることを心よりお祈りしております。

父から子へと受け継がれる「象徴」としての天皇

皇太子さまは、これまでも即位に向けたお気持ちについて質問を受けられています。以前の内容と比べると、大きく変わることはありませんが、
「両陛下の御公務に取り組まれる御姿勢やお心構え、なさりようを含め、そのお姿をしっかりと心に刻み、今後私自身が活動していくのに当たって、常に心にとどめ、自己の研鑽に励みつつ、務めに取り組んでまいりたいと思います。」と、今上陛下をまずはお手本とされる気持ちを示されています。

実は、両陛下のご公務などに皇太子ご夫妻が同行されることはまずありえませんが、陛下からの言葉や映像をご覧になり、お姿を心に刻まれていくことになります。父から子へと受け継がれる「象徴」としての天皇。

今上陛下のなさり様から、その行動にともなう精神を学ばれていくことになります。

ーー次代の象徴天皇としての抱負についてお伺いします。殿下はこれまでも「時代に即した新しい公務」についての考えを語られてきましたが、新しい時代の天皇、皇后の在り方をどのようにお考えでしょうか。

過去の天皇が歩んでこられた道と、そしてまた、天皇は日本国、そして日本国民統合の象徴であるという憲法の規定に思いを致して、国民と苦楽を共にしながら、国民の幸せを願い、象徴とはどうあるべきか、その望ましい在り方を求め続けるということが大切であると思います。

そして、そのためには、普段の活動の中で、できるだけ多くの人々と接する機会を作ることが大切であると思います。そういう考え方は変わっておりません。陛下がおことばの中で述べられたように、「時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うこと」が大切であり、私も雅子と共に行った被災地視察や地方訪問の折には、なるべく多くの国民の皆さんとお話しができればと思い、これらの機会を大切にしてまいりました。そして、今後とも、そのように心掛けていきたいと思います。

新しい時代の天皇,皇后の在り方ということについては、冒頭にも述べたとおり、両陛下も大事にされてきた皇室の長く続いた伝統を継承しながら、現行憲法で規定されている「象徴」としての天皇の役割をしっかりと果たしていくことが大切だと考えています。そして、象徴としての在り方を求めていく中で、社会の変化に応じた形でそれに対応した務めを考え、行動していくことも、その時代の皇室の役割だと思います。

「時代に即した新しい公務」についても、この点を述べたものであり、将来にわたり生じる日本社会の変化に応じて公務に対する社会の要請も変わってくることになると思いますし、そういった社会の新しい要請に応えていくことは大切なことであると考えております。

こうした考えについては、日頃から雅子とも話し合っており、将来の務めの在り方についても話し合ってきております。

「時代に即した新しい公務」という考え方

今上陛下もそうであったように、「象徴」とはどうあるべきか、そのことは
「望ましい在り方を求め続けるということが大切である」と述べられています。

やはり、天皇という地位に就かれることで、初めて「象徴」であるという重みを感じることになるのでしょう。皇太子から天皇になるという、その重みは他の人には理解できないものです。天皇を続けていく中で皇太子さまも「象徴」という道を究められていく覚悟を示されています。

また、皇太子さまはこれまでと同様に「時代に即した新しい公務」の考え方を示されています。具体的な内容には触れられていませんが、時代と共に歩む考え方は、その時、その時の人々に寄り添い歩みを進めるということです。そして、時代時代の問題から生じる弱者に対しても心を寄せていくという、お気持ちを述べられています。新しいことに柔軟に対応しながら、皇室の持つ力を発揮されようとしています。

ーーご家族についてお伺いします。両殿下は今年ご結婚25周年を迎えられます。お代替わりに向け、雅子さまはこの1年をどう過ごされるとお考えでしょうか。皇后となられた後の活動の見通しや、殿下が感じられた変化についてお聞かせください。また、春に高校2年生となられる愛子さまは今何に関心を持ち、将来に向けてご家族でどのようなお話をされているでしょうか。

結婚20年の時にもお話ししましたが、月日が経つのは本当に早いもので、結婚してから、もう25年も経とうとしているのかと思うと、感慨深いものがあります。天皇皇后両陛下には、日頃から、私ども家族を温かくお見守りいただき、また、お導きいただいておりますことに、改めて心から感謝を申し上げます。また、これまで多くの方々にお助けをいただいて、こうして四半世紀を迎えようとしていることにも、大変有り難く思います。国民の皆様には、私たち3人に対し温かい気持ちをお寄せいただいており、この機会に改めてお礼を申し上げます。

雅子は、この1年も治療を続ける中で、努力と工夫を重ね、体調に気を付けながら、公私にわたってできるだけの務めを果たそうとしてきました。その結果、都内での式典などの行事への出席や、6度にわたる地方訪問など、公的な活動を、一つ一つ着実に積み重ねてきており、それが本人の自信につながり、それによって活動の幅も更に広がってきていることを、雅子本人もそうですが、私としても、とてもうれしく思っております。

愛子は、昨年4月に学習院女子高等科生として新たな一歩を踏み出しましたが、引き続き多くの友達と先生方に囲まれ、充実した高校生活を送っているようです。そうした中で、関心もいろいろな方向に広がってきているようで、勉強面でもスポーツの面でも、また、社会に対しても、幅広く関心を示しています。また、外国からのお客様が東宮御所にいらした時には、愛子も少しずつ英語でのお話に加わる機会が増えており、海外に対する関心も膨らませています。

将来については、愛子も高校生になり、自分の将来についても思いを巡らす時期になっていると思いますので、雅子も私も、愛子本人の希望をよく聴き、相談に乗っていきたいと思っています。そして、今後とも周りの皆様からいろいろと御助言をいただきながら、様々な経験を積み、自分の望む道をしっかりと歩んでいってほしいと思います。

国民はどのような「皇后」に期待するのか

雅子さまについては、こうした内容に加え、まだ快復の途上にあり、体調に波があるので、引き続き焦ることなく慎重に活動の幅を広げていってほしい、とも述べられています。

来年の5月には皇后となられる雅子さま。この1年間で、これまで以上に活動の幅は広げるとは思いますが、皇后となられても、今の病気は完治とはなれないでしょう。

国民がどのように皇后というものに期待するのか、その中で何ができるのか、雅子さまにとっても皇后という道をどのように極め国民に姿を見せるのか、長い道のりへのスタートを切られることになります。

ーーお代替わりや皇族の減少を踏まえ、今後の公務の分担について天皇陛下や秋篠宮さまとどのようなお話をされているかお聞かせください。天皇と上皇が併存することによる「二重権威」を危惧する意見も聞かれますが、殿下はどのようにお考えでしょうか。

公務の在り方については、先ほども申しましたが、折に触れ、いろいろな機会に、私、そして秋篠宮も、陛下のお考えを伺ったり、あるいは意見交換をさせていただいており、大変有意義な機会を頂戴していることに感謝しております。

陛下御自身がお考えになられていること、あるいは、これまで経験されてきたことなどをお話しくださるので、私としても学ぶことも多く、また、大変有り難いことだと思っております。

また、秋篠宮とも、公務の在り方を含め、様々な事柄について話し合う機会がありますし、今後ともこのような機会を持っていきたいと思います。

陛下には、皇后陛下と御一緒に、国内外の各地に足を運ばれ、多くの人々とお会いになり、真摯に御公務に取り組んでこられました。そのようなお姿を拝見してきた多くの国民から、両陛下が敬愛を受け続けられることは、自然なことであると思います。私としましても、まさに陛下が全身全霊をもって象徴の務めを果たしてこられたように、今後受け継がせていただく公務をしっかりと受け止め、その一つ一つに真摯に取り組んでいく考えです。

陛下から歴代天皇のお話を聞くという「天皇学」

皇太子さまは、これまでに両陛下から秋篠宮さまとご一緒に、御所で食事などをしながら、色々な話を伺ってきたといいます。陛下からは、昭和天皇をはじめとする歴代天皇のお話なども聞かれています。これまでの天皇について話を聞くことは、何よりの「帝王学」となります。そして「象徴」として即位された今上陛下の想いを受け継がれていくことになります。

ーー今の天皇陛下は、学習院高等科1年の時に、家庭教師だったヴァイニング夫人に将来何になりたいかと聞かれて、私は天皇になります、と英語で答えられたそうですけども、殿下が将来天皇になられるという御自身のお立場をはっきりと自覚されたのは、いつ、何歳頃のことだったのでしょうか。その際、何かきっかけのようなことはございましたでしょうか。

私は幸い両陛下の下で、ここで育つことができまして、両陛下のなさりようを逐一小さい時から拝見する機会を持つことができております。こういったことは本当に有り難いことであると思います。そのように両陛下がなさっていることを拝見したり、あるいは両陛下がいろいろとお仕事などにお出掛けになる時に私も同行させていただくこともありました。

例えば高校生の時にインターハイを御一緒に見たり、ボーイスカウトのジャンボリー、海外のアーティストが来てのコンサートなど、おおやけ公の場面で両陛下と御一緒に出席することができて、両陛下のなさりようを拝見しながら私も少しずつ、この立場に、ここに生まれたからには将来は天皇になるという、そういった自覚を持つようになったのではないかと思います。

正確にどういうきっかけがあって、また、いつそういうことがあったか、そういう気持ちになったかということを、お答えすることは非常に難しいですが、徐々に自分の心の中にそういう気持ちが宿ってきたというように申し上げたいと思います。

「天皇になられる方のオーラを感じた」

今回の記者会見を見て、皇太子さまの小学校から大学院まで同級生だった乃万暢敏さんは「天皇になられる方のオーラを感じた」と話してくれました。そして「非常に重いものをこれから持って進んで行くのだという、ご自分の意思表明と言うか、国民の皆様にお約束をする、という気持ちを、込められているのではないかと思います」と述べています。

皇太子さまは同じようなことを繰り返しておっしゃられているようにも見えますが、即位に向けたお気持ちの高まりを感じる、そしてお人柄が出る内容でした。

実は、皇太子さまはあと2回、会見をされる可能性が残っています。

1つは、今年6月のご結婚25周年に際しての会見、そして、来年2月のお誕生日の会見です。

ご即位が近づく中で、どのようなお言葉を述べられるか注目が集まることになりますが、

皇太子さまが今お持ちの人柄、そしてご覚悟は変わることなくまっすぐに進まれることになると思います。

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