国会議員の待遇は悪くない

 
 
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何年か前に大量当選した小泉チルドレンの一人が「早く料亭に行ってみたい」「給料2500万ですよ!BMW買いたい」などとはしゃぐのを聞いて「こんな人にオレの税金が使われるのか」と腹が立った。

国会議員の待遇は悪くない。
まず給料は賞与込みで年収2200万円。プラス文書交通費が1200万円。
さらに政党に一人当たり立法事務費780万円と政党交付金4500万円の合わせて5280万円。

これ以外に秘書給与3人分(2500万円)とJR全線グリーン無料パスがもらえるほか、実勢価格月50万円のマンション(議員宿舎)におよそ11万8千円で入れる特典もある。

さらに政治献金がある。
知り合いの参院議員(選挙区)に聞くと「県内の100人の支持者から月に1万円ずつ献金してもらうと年間1200万円になる。プラスパーティー収入で大体2000万くらいかなあ」という答えだったが、人によって億を超える人からゼロまでさまざまだ。
 

「1票入れてあげてんだから当然買うだろ」

しかし議員の着ているものや持ち物をじっくり見ると、みんな結構地味な「なり」をしている。
理由はこれだけもらってもその分お金がかかるのだ。

例えば最近閣僚になったある議員は地元に車を3台持っている。
選挙区が広く、3台ないと回り切れないのだ。

加えて閣僚になってつくようになったハイヤーは役所から夜の会合場所までは使ってもいいのだが、そこから宿舎までは使えないというルールがある。
本人は「じゃあ電車で帰ります」と言ったのだがSPさんから「拳銃持って電車に乗れません」と泣きつかれ、ハイヤーを一台借りることになってしまったというのだ。
秘書も3人では足りないので他は自前。

地元の後援会の運営にも金はかかる。
ある女性議員に聞いた話だが、夏祭りに行くと最近は地元の婦人会などが夜店を出している。
これが最悪で「トウモロコシ10本買って」「うちのクッキーも10袋」とものすごい要求が来るのだそうだ。

1票入れてあげてんだから当然買うだろ、と言う人たちのお店を10軒くらい回ると、お金もなくなるが、それより「わたし国会議員になって何やってんのだろう」と虚しくなるそうだ。
 

政治家は割に合わない商売

冒頭のような一部のダメ議員にとって政治家というのはおいしい仕事かもしれない。
悪いことをしている議員にとってもそうだろう。

しかし親の遺産などなく、自分だけの力でまじめに議員活動をしている人(ほとんどの議員がそうだ)にとっては決して楽ではない。
あれだけ優秀な人たちなら他の仕事をやれば間違いなくもっと楽にたくさん稼げる。

政治家というのは割に合わない商売ではないだろうか。

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。