要するに両横綱によるイジメ

相撲協会の説明を聞くと、どうやらこの件は、白鵬と日馬富士という二人の横綱が、貴ノ岩という生意気な後輩を「礼儀がなってない」と指導、貴ノ岩に言わせれば「いじめられた」。で、怒った日馬富士がカラオケのリモコンで殴って怪我をさせ、表に出てしまったので、日馬富士は引退表明。これは当然の経過だろう。

「モンゴル人力士が強すぎる、だから態度が悪い」「いや日本人の方がいじめている」「貴乃花が変わり者だ」「相撲協会は古い体質だ」など、色々言われているが、これは朝青龍の時も同じような話だったし、今回は被害者が貴乃花部屋なので、貴乃花は絶対譲らないだろうというのは誰の目にも明らかだった。
 

貴乃花がいなかったら日馬富士は引退しなかったかも

途中、私が気持悪いと感じたのは、「貴乃花けしからん」「日馬富士が実はいいやつなので可哀想」という声が結構多かったこと。

玉虫色の決着に向けた印象操作かと思った。

確かに貴乃花は変わり者。部屋の中でいつもマフラーをしてるし、相撲協会では相当浮いているだろう。しかし加害者は横綱。相撲協会を信頼できない以上、ああいう態度に出るしかなかったのだろう。
彼のガチンコがなかったら日馬富士は引退しなかったかもしれない。
 

 
 
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退職金狙いの引退か?

横綱が自ら引退すれば退職金が数億円もらえると言われている。

逆に、横綱審議委員会が引退勧告を出すともらえない。
つまり前日に横綱審議委員会の委員長が引退勧告を示唆したことが、日馬富士を引退に踏み切らせたと言われている。
しかし横審委員長の引退勧告示唆が遅すぎた!

もっと早く言えばそれで終わっていたはずだ。
横審も相撲協会も、白鵬やモンゴル側に気を使いすぎだったと思う。
 

政治家さんは黙っておいてもらいたい

白鵬も今回ミソつけた。「もう一度土俵に上がらせたい」とか「万歳三唱」とか、モンゴル代表として言わねばならなかった気持ちはわかるが、そもそも貴の岩をいじめたことも含めて、もう「大横綱」とは呼ばれない。

それよりも最も悪かったのは、その白鵬のことを評価しつつも「思い上がっている」と批判した伊吹元衆院議長、あれはいけません。

モンゴル側もいろいろ言いたいことはあるのにようやく収まった。

余計なこと言わないでほしい。
自民党の竹本直一衆院議員の「身体デカイから普通のことはできない」という発言も駄目で、政治家はこういう時は、是非黙っておいてもらいたい。
 

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。