トランプ大統領の一般教書演説 中国やロシア疑惑には言及せず、北朝鮮問題も新味なし

同盟国の一市民として物足りない内容 <フジテレビ解説委員・二関吉郎>

カテゴリ:ワールド

  • 内政は我田引水の自慢話の羅列で従来の主張の繰り返し
  • 北朝鮮には比較的時間を割いたが、内容的には新味なし
  • CNNの即席世論調査で70%が肯定的に受け止めたいたのは驚いた

1時間20分あまりの長さでも外交面で薄かった内容

一般教書演説と訳されるState of the Union Addressが先ほど、日本時間の31日12時半頃に終った。
日本で言えば総理の施政方針演説に当たるものだが、トランプ大統領の今日の演説は開始から終了まで1時間20分余りとかなり長めだった。

ただ、合計すると100回以上の拍手で中断されたし、喋り方はかなりゆっくりとしていた。また、議場の一般席にゲストを招いて美談や労苦を紹介するのは歴代大統領が好んで採用している手法だが、今回、トランプ大統領は、これを濫用と言っても良いほど多用した。 

なので、この長さになったが、もしも中断なしでべらべらと話したら半分以下に簡単に収まっただろうと想像する。

内容的にも、特に外交面でそれだけ薄かったというのが筆者の第一印象である。

内政は我田引水の自慢話

大雑把に言って、内政が8割、国際問題が2割程度だったと思うが、内政は我田引水の自慢話の羅列と従来の主張の繰り返しだったように思う。

得意フレーズの“America First”は一度しか云わなかったのだが、分断社会を癒しアメリカを再生させようという呼び掛けは力強いものとは言えず、むしろ、自らの支持基盤の愛国心をくすぐる内容の方が目立ったのではないかとも思う。
つまり白人層を中心とする支持者達を引き込む演出は相変わらず上手かった演説だったと言える。

習近平やプーチンは拍子抜けか

国際関係への言及は、演説の開始から1時間ほど経ってから。
「世界に目を向ければ、ならず者国家やテロリスト、中国やロシアなどライバルが、我々の国益・経済・価値観にチャレンジしている。」と切り出し軍事力の強化を訴えたのだが、中国とロシアに言及したのはこれだけ。

中国との通商問題や彼らの軍拡・南シナ海問題など具体的な事柄には一切触れなかったし、ロシア疑惑に関しても無視を通した。
習近平主席やプーチン大統領は拍子抜けしているかもしれない。

時間割いた北朝鮮も新味なし

北朝鮮に関しては比較的時間を割いた。

「北朝鮮の残酷な独裁政権ほど自国民を残虐に徹底的に抑圧している政権は存在しない。
北朝鮮の無謀な核ミサイル開発はアメリカ本土にとってすぐにも脅威となる恐れがある。それを妨げる為、我々は最大の圧力を掛けるキャンペーンを実施している。
自己満足と妥協に満ちたこれまでのアメリカの歴代政権の対応は、北朝鮮の更なる挑発と攻撃的姿勢を招いただけだ。私はこの過去の過ちを繰り返すつもりは無い。
アメリカと同盟国を脅かす核の脅威とその政権の下劣さから目を背けるつもりは無い。」

と宣言した上で、さらに時間を割いて、北朝鮮で投獄され瀕死の状態で帰国、その後死亡したアメリカ人大学生の家族や北朝鮮を命からがら逃げ出した脱北者を紹介し、北朝鮮の残虐性を強調した。

だが、最大の圧力を掛けるという以外、今後の対応方針には一切触れなかった。
また、金正恩委員長個人に言及することもなかった。
今後の“話し合い”の余地を残す為であろうが、内容的には新味は無かったと言える。 

CNN世論調査で7割が肯定的

この原稿の執筆途中にCNNの即席世論調査の結果が入った。
それによれば、演説を“大変評価する”と“ある程度評価する”を合わせると、なんと70%もが肯定的に受け止めているということであった。
即席調査のこと故、信頼度はかなり低いが、それにしても驚きである。

建国の精神や国旗・国歌を讃え、兵士や警察官の英雄的行動のエピソード等をこれでもかと散りばめたのが功を奏しているようだ。

しかし、アジアの片隅で、北朝鮮の核開発や中国の拡大に脅かされている同盟国の一市民としては、やっぱり物足りない内容であった。

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