トランプの「TPP復帰」発言を真に受けてはいけない3つの理由

~アメリカのTPP復帰こそ”時間の無駄”~ フジテレビ風間晋解説委員

カテゴリ:ワールド

  • TPP復帰は「コア支持層受け第一」に逆行 
  • 政権の貿易交渉チームは幹部不在で対応余力なし 
  • 最優先のNAFTAの決着ですら中間選挙後へずれ込み 

TPP復帰は「コア支持層受け第一」に逆行

トランプ大統領は30日(日本時間31日)の一般教書演説で、貿易交渉については「公正な貿易実現を目指す」と一言触れただけだった。

当然だろう。

誇れる交渉成果はまだ何もないし、ダボス会議でTPPへの復帰を検討するかのような発言をしたものの、とても本気とは受け取れない事情に事欠かないからだ。

まず、大統領の発言、判断、行動の基準は『コア支持層受け第一』だが、彼らは自由貿易に反対だ。

「ピュー・リサーチ・センター」の調査では、民主党支持層の67%が「自由貿易協定はアメリカにとって良いこと」と答えているが、共和党支持層は36%にすぎない。

特にトランプ大統領誕生の鍵となった中西部の「ラスト・ベルト」地帯は、自由貿易のせいで工場と仕事が外国に奪われたとされる地域だ。

今年11月の中間選挙や2020年の大統領選を勝つつもりなら、「アメリカにとってひどい合意」と言って永久に離脱してみせたTPPへの復帰は論外だ

政権の貿易交渉チームは幹部不在で対応余力なし

では、アメリカに有利になるよう再交渉できるかというと、それも無理だ。

他の11ヶ国が再交渉に応じるとは思えないし、そもそもアメリカ側にそんな余力はない。

トランプ政権では重要な政府ポストの人事が滞っており、貿易交渉の実働部隊=アメリカ通商代表部のHPを見ると、交渉の前線指揮官である次席代表や分野別首席交渉官は軒並み空席だ。

現在行われている貿易交渉は、北米自由貿易協定=NAFTAと、韓国とのFTAの再交渉だが、人手不足もあって思ったようには進んでいない。

そこの加えてTPPの再交渉とか、日本やニュージーランドなどとの二国間FTA交渉をやれるような状況ではないし、態勢が早期に整う見込みもゼロだ。

最優先のNAFTAの決着ですら中間選挙後へずれ込み

最後に、アメリカ政府が貿易交渉をまとめるに当たって不可欠とされているTPA=大統領貿易促進権限の期限切れが今年7月1日にくる。

トランプ大統領は規定に則って3年延長の申請をし、議会も同意すると見られるが、中間選挙でNAFTA再交渉の結果の良し悪しを争点にはしたくないので、決着は中間選挙後にずれ込むだろう。

その後の優先交渉相手はEUを抜けるイギリスになる。

日本としては、大統領のちょっかい発言にふりまわされず、TPP11を着実に発効させ、加入国を増やしていくことが肝心だ。

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