「路上を離れよ!」こんなメッセージが警察から送られたら

英国実例:SNS等で拡散する流言飛語にどう対処するか フジテレビ二関吉郎解説委員

カテゴリ:話題

  • ロンドン警察がツイッターで発信した情報でパニック が増幅⁈
  • 駅のホームで起きた口論から始まった流言飛語が避難指示へ
  • SNS情報は受けて側の自覚と責任も重要

ロンドン警察がtwitter「ビルの中へ避難せよ!」その時市民は?

「ビルの中に居るなら留まって。オックスフォード・ストリートの路上に居るなら離れてください。」

「オックスフォード・ストリートとリージェント・ストリートのエリアは避けてください。もしも、そこに居るなら、ビルの中に避難してください。」

先月25日夕方のロンドン警視庁と英国鉄道警察のツイッターである。

こんなものが飛び込んでくればパニックになるのもやむを得ない。

オックスフォード・ストリートとリージェント・ストリートが交差するオックスフォード・サーカスの辺りでは、何百人もの買い物客や通勤客が我先にとてんでんばらばらに走り出し、大混乱に陥ったという。

また、近くのパブやカフェでは入り口をロックし、中に居た人々は地下に逃げ隠れたという。
今年6月にロンドン・ブリッジで起きたテロ事件やパリの同時多発テロを思い浮かべ、恐怖に慄いた人も多かったに違いない。

流言飛語はこうして始まり、そしてSNS拡散へ

だが、、、実際は何も無かったのである。

きっかけはオックスフォード・サーカスの地下鉄の駅のホームで起きた男性同士の口論。
ロンドンの地下鉄はホームも通路も非常に狭いところが多く、音が良く反響する。そのせいなのか、ごたごたを避けようとする人々が避難をしはじめると、間もなく、銃声が聞こえたというデマ情報が飛び交い始めたようだ。流言飛語の始まりである。それがSNS等で拡散されパニックに繋がった。

この騒ぎに関するスコットランド・ヤードの説明は「16:38頃、数多くの999番(日本の110番)通報が入り始めた.オックスフォード・ストリートやオックスフォード・サーカス駅でいくつもの銃声が聞こえたという内容だ。この通報の内容の重大性に鑑み、我々はこれをテロ事件とみなして対応し、武装警察官達を派遣した。」であった。

発砲の事実は無く、まさに何も無かったことが判明したのは、一連の通報のおよそ1時間後。それまでに16人が負傷し、うち8人が病院で手当てを受けたという。

実際に銃声や爆発音を聞いたら直ちに避難するのは当たり前である。だが、銃声を誰かが聞いたという二次情報だけで確認もせずにパニックに陥るのはまずい。

あの狭く混雑するエリアで怪我人の発生だけで済んだのは不幸中の幸いと言えるかもしれない。
ロンドンに限らずヨーロッパでは一般市民もテロのリスクにそれほど敏感なのである。

匿名性の高いSNS情報を“吟味”する能力を身につけよ

そこで考えてみた。

日本で同様の事象は起き得るのだろうか?と。

日本には本物の銃声を生で聞いたことのある一般市民がほとんどいないはずである。イスラム・テロに対する切実な恐怖感も無い。だから、万が一、銃声のような音がしたとしても過剰な反応が起きるとは考えにくい。

むしろ、本物の銃声が聞こえているのに気付かず、逃げ遅れる人が多数出るのを危惧する方が正しいアプローチかもしれない。よって、多少の喧嘩程度で、ロンドンのようなパニックが起こる可能性は極めて低いというのが第一感である。
だが、悪意を持った者が、例えば何らかのハプニングに乗じ、SNSを使ってデマ情報を意図的に流した場合はどうなるのか?


テロや乱射事件に敏感な欧米人が多数集まるであろうオリンピックの時期に、日本語と同時に、英語のデマ情報も拡散されたらどうなるのか?そんなことはあり得ないと一笑に付すのは簡単である。だが、ロシアがアメリカの大統領選やイギリスの選挙にSNS等を利用して偽情報等を流した例もある。

当然ながら、政府や治安当局は、いかに素早く、正確な情報を出すかが鍵になる。
テレビにも素早い情報の精査と的確な報道が一層重要になる。

今や、SNSの方が情報の伝達は早い。だが、そこに情報の“吟味”は無い。
身元の隠匿も容易い。
それだけに、受け手側の自覚や責任も、より重要になってくるはずである。