「老いも若きも 孤独は誰も容赦しない」英国で孤独担当大臣が誕生

孤独に苦しむ英国民は900万人以上 フジテレビ二関吉郎解説委員

カテゴリ:話題

  • 英国で”孤独担当大臣”を新たに任命
  • 国民投票前に暗殺されたジョー・コックス議員の想いを繋ぐ
  • 「孤独が英国経済に320億ポンドの影響を与える」との説も

孤独と自由は表裏一体

孤独は個人が主体となって生きる現代社会では自由と表裏一体で、たとえば、歳を取って独りになったからといって、急に、誰か親切な人が現れて下心無しで親身に付き合ってくれることはないし、幅広い付き合いを持って賑やかな生活をしていた人でも年月と共に一人減り二人減りと寂しい状況になるのはやむを得ない。

また、三世代同居が一般的でなく、成人した子供は独立するのが当たり前という欧米社会では、高齢者が集まる施設にでも早々に入らない限り、連れ合いに先立たれた後は誰でも独居生活になる。

若者だって自分の家庭を築かなければ一人暮らしが続く。
こればかりは仕方が無いというのが筆者の「孤独」に対する正直な気持ちだった。

だから、英国で”孤独担当大臣”(the Minister for loneliness)が新たに任命された程度の事は知っていたが、どうせブレグジット(Brexit)で政権運営に悩むメイ首相が人気取りの為に始めただけだろうと思っていたし、名前を冠しただけでどうせ実態は何も無いに等しいに決まっていると思い込んでいた。

ギャンブル・スポーツ・宝くじ担当大臣が兼務

しかし、少し調べて直してみると幾つかのことがわかった。

”孤独担当大臣”は新設ポストではなかった。
日本でいうと政務官クラスになるのか、既に存在するギャンブル・スポーツ・宝くじ担当大臣が兼務していた。

また、孤独度を測る指標を確立すべく、国家統計局がこれから作業するという。

ほら、案の定。
既存の担当大臣に新しい名前を冠して兼務させただけ。
それも何故かギャンブル担当が兼務。

指標をこれから作るって、要するに肉付けはおろか、骨格さえまだできていないということではないか…人気取り以外の何物でもない。

「孤独に苦しむ人を助けるのは比較的簡単である」

しかし、さらに読み続けるとジョー・コックス孤独問題委員会というものが既に存在しており、その仕事を拡充する方向で取り組む方針というのが判った。

ジョー・コックスとは当時労働党リベラル派の下院議員で、一昨年の国民投票直前に極右思想の男に暗殺された女性だ。

EU残留を訴えていた若手のママさん議員は、それ以前からチャリティー活動に熱心で、社会正義の実現に向けて力を入れていたと記憶している。

そして、この孤独問題対策にも熱心だったのだろう。
彼女の名を冠した委員会が超党派で立ち上げられ、すでに活動をしていたのである。

そこで、彼女の名を冠した孤独問題委員会(the Jo Cox Commission on Loneliness)のウェブを覗いてみた。

”老いも若きも、孤独は誰も容赦しない。
しかし、孤独に苦しむ人を助けるのは比較的簡単である。”
(Young or old, loneliness doesn’t discriminate…it is something many of us easily help with.)

彼女の言葉だそうである。

さらに、慈善団体等の研究によれば、常に、もしくは頻繁に孤独感に苦しむ人は英国に900万人以上、孤立したコミュニティーが英国経済に与えるコストは320億ポンドに達するという推計もあるという。

うーむ…だが、これらのデータをどこまで信用すれば良いのか判らない。

そもそも孤独感とは極めて主観的なものだし、同じ人にとっても、その時々の状況や気分次第で感じ方は変わる。

この孤独担当大臣、立ち枯れになる恐れ無きにしも非ずだと思うが、さしあたってはイギリスの国家統計局が作成するという“孤独指標”の出来栄えを待とうと思う。