今世紀初飛来、米空軍広域電子攻撃機「コンパスコール」

朝鮮半島情勢と「チーズカッター」

カテゴリ:ワールド

  • 平昌五輪を巡る南北会談と米軍の動き
  • ハードキル⇒強襲揚陸艦WASPの佐世保配備とB-2Aステルス爆撃機のグアム展開
  • ソフトキル⇒EC-130Hコンパスコール広域電子攻撃機

9日から始まった南北会談。
平昌オリンピック・パラリンピックという平和の祭典を平和なうちに実施するため、韓国は、北朝鮮の参加を働きかけている。
同盟国・米国のトランプ大統領も「対話はいいこと」とツイート、米韓合同軍事演習の延期を決めるなど韓国に配慮。
だが、交渉は一筋縄では行かない。米軍も動いた。

南北会談が始まった前日、8日にグアム・アンダーセン基地に全部で20機しかないB-2Aステルス爆撃機のうち、3機も展開(写真上:アンダーセン基地に展開したB-2A)。

さらに、14日には、岩国のF-35Bステルス戦闘機(写真下:艦上のF-35B)を洋上で運用できる強襲揚陸艦WASPを佐世保に配備した。
B-2AもWASPも、敵を破壊する「ハードキル」の能力を見せつけて、敵の意を削ぐ「抑止」的存在。

だが、先週末、横田基地に今世紀初めて飛来した米空軍EC-130Hコンパスコール広域電子攻撃機は、機体のあちこちにあるアンテナで電波の発信源を特定し、左右の主翼の下に吊り下がっている「SPEAR」という重量が500㎏を超える強力な電波妨害装置や、垂直尾翼の下に突き出し、その形状から「チーズカッター」と呼ばれるアンテナ等を使って、妨害電波をぶつけ、敵の通信はもちろん、レーダーを広範囲に妨害して、敵軍のいうなれば「目」や「耳」を奪い、「神経」も働かなくする「ソフトキル」が役目(写真下参照)。

「私が断固たる強い姿勢で全ての力を投じようとしていなかったら、誰が南北対話が進むと考えただろうか」(トランプ大統領、4日)  

ハードキル能力の見せつけによる「抑止」から、ソフトキルによる敵軍の無害化まで、米軍は大統領の言葉を裏打ちするように「全ての力を投じる」準備をしているかのようだ。

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