海外旅行に税金がかかる?「出国税」の検討が日本でもスタート

「出国税」は海外で当たり前?海外旅行代が高くなるかもしれない

カテゴリ:暮らし

  • 富裕層向け」の出国税はもう導入済み
  • 海外でも「出国税」のある国は珍しくない
  • インドネシアで「出国税」は廃止されている

観光庁は、9月15日にいわゆる「出国税」などを含めた新たな観光財源を検討する会合を初めて開く。来日する外国人旅行者を2020年までに4000万人に増やす政府目標を達成するためだという。

検討を開始するとの報道を受けて早くも反対の声が上がっている。ただ、出入国の際に旅客から税金や手数料を徴収する例は諸外国では珍しくない。

また日本はすでに「出国税」と呼ばれる法律が導入されているが、今話題に上がる「出国税」とはまったく別物だという。

それでは、新たな検討が始まる「出国税」とはどういうものなのか。

2015年に導入されたのは「富裕層向け出国税」

2015年7月1日に導入された、いわゆる「出国税」と呼ばれている制度は、正式には「国外転出時課税制度」といい、今話題に上がる「出国税」とは全く違う

【課税の対象】
1億円以上の株式等を保有していて出国までの10年のうち5年以上日本に住んでいた者が海外転出をする時、含み益に所得税を課税する。

税率は、株式の譲渡益に対して、所得税および復興特別所得税を合わせた15.315%。ちなみに国内にいる人が株式で譲渡益を得た場合の課税(キャピタルゲイン課税)は、15.315%に住民税5%が加わる。


【課税の狙い】
大きな資産のある人が、株式などの売却に税金のかからないタックスヘイブン(租税回避地)に移住して資産を売却し、課税を逃れることを規制する。

今話題になっている「出国税」

今話題となっている「出国税」は、15日に行われる「次世代の観光立国実現に向けた観光財源のあり方検討会」で話し合われる。対象や狙いはどこにあるのだろうか。


【課税(?)の対象】
そもそも「税金」なのか、航空券代に上乗せする「納付金」なのかも未定。
対象は訪日外国人なのか、それとも日本人も含むのか、集めたお金の具体的な使い方などもこれから検討される。

【課税(?)の狙い】
2020年に訪日外国人客を4000万人に増やす政府目標を達成するための財源を確保するため。

諸外国のいわゆる「出国税」

この「出国税」に似たようなシステムをすでに取っている国もある。それらの国はどういった形で、そしていくらの徴収をしているのだろうか。各国の大使館広報などに確認したところ、次のような回答が返ってきた。

アメリカ…「電子渡航認証制度に基づく申請手数料」
ビザ免除国からの渡航者に対し、「電子渡航認証システム(ESTA)」の申請手数料として14ドル(1540円)を徴収している。

韓国…「出国納付金」
航空・船舶による出国旅客に対し徴収。航空利用の場合は1万ウォン(975円)。

オーストラリア…「出国旅客税」
航空・船舶による出国旅客に対し、60オーストラリアドル(5280円)を徴収している。

一方、インドネシアでは「出国税」を廃止した。
以前は、Fiskal(フィスカル)という「出国税」をインドネシア人と外国人旅行者から徴収していたが、富裕層の増加や海外旅行の人気の高まりなどから、2011年に全面的に廃止している。

2016年の訪日外国人の数は2400万人なので、仮に日本が「出国税」を導入して1人あたり1000円を徴収した場合、徴収額は240億円になる。これは観光庁の今年度予算210億円を上回る。

増え続ける外国人旅行客に対応できるよう観光庁は財源を確保したいとしているが、海外旅行に行く人などには負担となってしまうため、丁寧な議論が求められそうだ。