新型コロナウイルスの影響で閉館

静岡県の伊豆長岡温泉。弱アルカリ性のとろりとした性質は湯冷めしにくく、肌に優しい美肌の湯として古くから知られてきた。

華の湯女将・松島典子さん:
風に当たりながらゆったりとお風呂に入ると、旅行に来たなという気分になれるかなと思います。

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温泉旅館「華の湯」の浴室の案内には日本語のほかに中国語で説明が書かれている。畳の客室や内装が中国人観光客から人気となり、毎日団体は約30人を受け入れてきた。

しかし1月末に中国政府が海外への団体旅行を停止して以降、4月末までの予約3カ月分がすべてキャンセルとなってしまった。先が見えない中、華の湯は3月いっぱいでの閉館を決めた。

SNSへの投稿がきっかけで予約が殺到

ところが3月8日、閑散とした旅館に突然予約が相次いだ。その理由は旅館を手伝いに来ていた女将さんの孫娘、北岸愛里さんのSNSへの投稿だった。「おじいちゃんが経営していた旅館がコロナウイルスの影響で、中国人観光客の予約が3カ月分キャンセルになってしまい、3月いっぱいで閉めることになりました。大好きなおじいちゃんが残してくれたこの旅館を、最後まで一人でも多くの人に来てもらいたいので少しでも気になったらぜひ来てください。」

SNSでの反響について北岸さんは…

北岸愛里さん:
その日からもうずっと一日中電話が鳴り止まなくて、100件以上を予約してもらったんですけど、どの人もtwitter見ましたって言ってくれました。

投稿には約27万のいいねがつきリツイートは約14万(3月10日午後4時現在)。瞬く間に拡散された。

女将「やはり嬉しいのが励ましの電話やお声掛け」

3月10日の朝も宿泊客を見送る女将さんの姿があった。閉館までの約20日間。最後まで笑顔でおもてなしをしたいということだ。

華の湯女将・松島典子さん:
やはり嬉しいのが励ましの電話やお声掛け。今まで頑張ってきたんだからっていう風に言ってくださって、ぜひまた近くに来たら寄ってくださいねと一言が言えないことがとても辛いですしお客さんもその言葉を飲み込んで支えてくれると思うので、ちょっと切ないと思っています。

25年間続いた華の湯は3月末に閉館する。

加藤綾子アナウンサー:
孫娘さんの呼びかけっていうのは、何か久しぶりにSNSの使い方だなということを感じます。

風間晋解説委員:
僕らは皆いずれ、「新型コロナの頃どうしていたのだろう?」と振り返る日が来ると思うんです。その時に助け合った経験体験って自分自身の将来にとってポジティブなストーリーになると思うんですよね。難しい困難なことが深ければ深いほど、将来の自分を支えてくれると思います。

コメンテーター・パトリック・ハーラン氏:
今回はTwitterで有名になったのですが、困ってるところは全国に他にも無数にあります。探し出して貢献してあげたいですね。

加藤綾子アナウンサー:
ホントですね。みんなで力を合わせていきたいですね。

(Live News it! 3月10日放送分より)