バイデン氏が再起をかけた大一番 初勝利なるか

米大統領選に向けた民主党候補者指名争いの4戦目、サウスカロライナ州の予備選挙が2月29日、行われる。ニューハンプシャー州とネバダ州でサンダース上院議員が連勝し勢いを増す中、“大本命”とされながらも苦戦が続くバイデン前副大統領にとって、再起をかけた大一番となる

最新の世論調査では、州内でトップのバイデン氏がサンダース氏に10ポイント以上差をつけリードする展開だ。

■サウスカロライナ州での最新支持率(リアルクリアポリティクス ※敬称略)
バイデン 36.8
サンダース 24.3
ステイヤー 12.8
ブティジェッジ 11.3
ウォーレン 7.5
クロブシャー 5.3

■全国での最新支持率
サンダース 29.5
バイデン 18.4
ブルームバーグ 15.5
ウォーレン 12.1
ブティジェッジ 10.5
クロブシャー 5.0

勝利のカギは黒人票 あの名優がサプライズ登場も…

南部サウスカロライナで勝利のカギとなるのは、黒人票の取り込みだ。州内の民主党支持層の約6割を黒人が占めているとされるからだ。バイデン氏はオバマ政権で副大統領を務めたことから黒人層からの人気が根強く、サウスカロライナはバイデン氏の「ファイアウォール(防火壁)」とも呼ばれる。

序盤戦の失速で、サウスカロライナでもサンダース氏の猛烈な追い上げを受け、「ここで負ければ撤退を余儀なくされる」との観測も流れたバイデン氏。しかし、3戦目のネバダ州で2位に食い込み、その後の討論会でも評価を得たことで再浮上した。2月28日、サウスカロライナ州内で開いた支持者集会には、多くの黒人支持者が詰めかけた。

熱狂的な歓声が上がる中、1時間以上にわたり演説したバイデン氏は、新型コロナウィルスの感染拡大について、「パニックに陥るべき時ではないが深刻な脅威だ。真実を語らないトランプ大統領にはうんざりだ」と現政権の対応の甘さをやり玉にあげた。通常は比較的演説が短いバイデン氏だが、この日は異例とも言える長さで自らの「実績と経験」をアピールした。

バイデン氏の支持者集会 2月28日 サウスカロライナ州
バイデン氏の支持者集会 2月28日 サウスカロライナ州
この記事の画像(4枚)

参加者の一人は、バイデン氏を支持する理由について「他の候補と違い、政治経験が豊富だ。国を動かす上で、仕事の仕方をよくわかっている」と語る。

一方、サンダース氏にとっても、黒人層の取り込みは選挙戦の重要課題となる。支持拡大を狙い、同日開いた支持者集会には、映画「リーサル・ウェポン」シリーズの主演俳優ダニー・グローバー氏がサプライズ登場。会場は大きく湧いたものの、参加者の大多数は白人で課題を浮き彫りにした形となった。

サンダース氏の支持者集会 2月28日 サウスカロライナ州
サンダース氏の支持者集会 2月28日 サウスカロライナ州
サンダース氏の集会にサプライズ登場した俳優ダニー・グローバー氏
サンダース氏の集会にサプライズ登場した俳優ダニー・グローバー氏

“最大の山場” スーパーチューズデーで大混戦の展開も

サウスカロライナでの結果は、“最大の山場”となる3月3日の「スーパーチューズデー」にどのように影響をするのか。

「バイデン氏が勝ったとしてもどれだけのモーメンタム(勢い)が生まれるかは不透明だ」との観測が流れる一方、「僅差であってもバイデン氏が勝利できれば、その後の選挙戦で可能性を残すことになる」とも伝えられる。実際に、スーパーチューズデーの大票田・テキサス州やバージニア州などでは、最新の世論調査でサンダース氏とバイデン氏が大接戦を繰り広げる展開だ。バイデン氏の“再浮上”でさらなる大混戦となることも予想される。

【関連記事:ネバダ州ではサンダース氏が大差をつけて勝利! 民主党の代議員獲得数が一目でわかる最新情報

【関連記事:アメリカ大統領選挙の仕組みを9カ月かけて学ぶ

【関連記事:米民主党は48年前の記録的大敗を繰り返すのか トランプ大統領はサンダース氏との対戦を望む?

【執筆:FNNワシントン支局 瀬島隆太郎】

瀬島 隆太郎
瀬島 隆太郎

フジテレビ報道局政治部 元FNNワシントン支局