勢い満点の“お手伝い”がかわいい!
動物たちと暮らしていると、「もしかして、以心伝心?」と思う瞬間に出くわすはず。
編集部では以前、雪かきする飼育員さんに息を合わせ、水をかけてくれるセイウチの“お手伝い”をお届けしたが…新たにこんなお手伝いアニマルが発見された。
(【参考記事】セイウチが豪快に“雪かき”のお手伝い!? 意図的にやっているのか、おたる水族館に聞いてみた)
それが、こちら。
「飼育員さんとお掃除がんばるぞ〜 うおおおおおおおおおおおおおおおお!」
Twitterに投稿されたのは、 福島県にある水族館 「ふくしま海洋科学館(アクアマリンふくしま)」 で飼育されているフェネックの「マルクル」くんと、 お掃除中の飼育員さんの様子。
さっそく動画を見てみると、ほうきで砂を掃く飼育員さんにマルクルくんがついて行き…砂をザクザク!
シャカシャカと高速で前足を動かし、一心不乱に砂をかくマルクルくん。
「うおおおお!」というアテレコがぴったりのその勢いに、思わず笑ってしまう。
確かに、飼育員さんのために掃除のお手伝いをしてくれているようにも見えるし、せっかくならした場所を掘り返しているようにも見える。
「飼育員さんのマネをしてるのかな?」と興味津々の声が挙がり、7万件に迫る「いいね」を獲得し、92万回再生されたこの動画(2月27日現在)。
マルクルくんのかわいい“お手伝い”はどのくらい役立っているのだろうか?そして本当は何をしているのか?
さっそく、アクアマリンふくしまのフェネック担当者に詳しくお話を聞いてみた。
「どちらかというとやめていただきたい」
――マルクルくんのプロフィールを教えて?
2015年7月8日生まれのオス、4歳です。飼育している他2頭よりも人懐っこい性格です。とても食いしん坊で、他のフェネックの餌を横取りしてしまうので、別々の部屋で餌をあげています。
――フェネックとはどんな動物?
北アフリカからアラビア半島の乾燥地帯に分布するキツネの仲間です。砂漠に巣穴を掘り、小さな群れをつくって生活し、夜になると餌を探しに出歩きます。
特徴的な大きな耳は、砂中の獲物を探すときに役立つばかりではなく、上がりすぎた体温を下げる働きを持ち、また焼けた地面を歩くために足裏を厚い毛が覆うなど、砂漠の生活に適応した体をしています。
マルクルくんは、アクアマリンふくしまで飼育されている3匹のフェネックのうちの1匹。
話題の動画は飼育員さんがフェネックたちのフンを取ったり、深く掘られた穴を埋めているところだそうが…
――ズバリこの動きは、マルクルくんの“お手伝い”?
早く餌が食べたいのか、掘ったところをならされるのが嫌なのか…詳しくはわかりません。
――飼育員さんはマルクルくんの“お手伝い”に大助かり?
せっかく掃除した後ろを掘り返されるのでどちらかというとやめていただきたい…あと砂が舞ってむせます…
実はこの行動、飼育員さんの掃除のマネをしているというわけではなく、「ごはんの催促」もしくは「せっかく掘った穴をならされてしまった不満」などが込められているよう。
見ているだけで和んでしまう高速砂かきだが、マルクルくんにとっては“お手伝い”というよりも、むしろ飼育員さんとの真剣勝負だったようだ。
後ろについて掘るのはマルクルだけ
――マルクルくんはいつからこの行動を?
はっきりとはわかりませんが、2~3か月前くらいだと思います。
――他のフェネックたちも同じようにする?
飼育員の作業中に後ろについて掘るのはマルクルだけです。飼育員のいないところでは3頭とも穴掘りはします。
――大きな反響がありましたが…
ツイッターを見て反響を知りました。作業をしている時に、こんなに掘っているのかと驚きましたし、たくさんの方に興味を持ってもらえてうれしいです。いつまで「お手伝い」してくれるかわからないので、実際に見てほしいです。
この高速砂かきを始めたのは、実はつい最近というマルクルくん。
これからさらに飼育員さんとの攻防が激しくなるのか、あるいは本当に“お手伝い”に目覚める日が来るのかにも注目しつつ、アクアマリンふくしまに足を運んでみてほしい。