韓国作品受賞にトランプ大統領「一体どうなっているんだ」

アメリカのトランプ大統領は2月20日、韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が英語以外の作品として初めて今年のアカデミー賞作品賞を受賞したことについて、「一体どうなっているんだ」と批判した。11月に行われる大統領選に向けて、コロラド州で開いた支持者集会での発言だ。関連発言の全文は下記の通りだ。

2月20日のコロラド州での演説集会
2月20日のコロラド州での演説集会
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■トランプ大統領の発言全文
「ところで、アカデミー賞がどれほど酷かったことか。韓国の映画が受賞した。一体どうなっているんだ。韓国とは十分すぎるほどの貿易問題を抱えている。それなのに、今年最高の映画の称号を与えるのか。そんなに良かったか?ちょっと待ってくれ。『風と共に去りぬ』のような映画がいい。復活させよう。『サンセット大通り』もある。たくさんの素晴らしい映画がある。でも、勝者は韓国作品だ。最初は外国作品賞を取ったのかと思った。でも違った。こんなことが今までにあっただろうか」

「風と共に去りぬ」がいい!2日連続で白人支持層にアピール

トランプ大統領はこのようにこき下ろした上で、選考過程にも疑問を投げかけた。また、1939年に公開され、第12回アカデミー賞で作品賞など9部門を受賞したヒット作『風と共に去りぬ』を取り上げて絶賛した。南北戦争時代の南部の白人の視点で描かれた同作は、アメリカ国内で「人種差別的だ」として強い批判の対象となっていることでも知られる。

さらに、トランプ大統領は2月21日、ネバダ州の演説集会でも「Keep America Great(アメリカを偉大なままに)」と刺繍された帽子を被った支持者に囲まれながら、「韓国とはうまくやっているが、作品賞受賞は前代未聞だ。理解できない。アメリカが受賞するのを見たいのだ」と強調した。2日連続で猛烈な批判を展開した理由は、再選に向け、自身の「アメリカ・ファースト」を支持する白人にアピールする狙いがあるとみられる。

支持者に囲まれながら批判を展開 2月21日 ネバダ州 
支持者に囲まれながら批判を展開 2月21日 ネバダ州 

反響続々…米メディア、配給会社は痛烈批判

この発言について、多くの米メディアが取り上げた。

CNNは「トランプ大統領は一体いつの時代に戻りたいのか?女性が日常的に差別されていた時代か。『風と共に去りぬ』の時代は、白人男性以外にとっては良いものではなかった」と痛烈に批判。また、ワシントン・ポストも「トランプ大統領の暴言は、外国人嫌悪の負の面を示す良い例だ。馴染みのないものに挑戦しないのなら、多くの優れた芸術を逃すことになる」と論評した。

ニューヨーク・タイムズは「映画産業は自由主義の砦だと主張する共和党員にとって、アカデミー賞は長年標的にされてきた。今年の授賞式でも、トランプ大統領を批判する有名人のスピーチが行われた」と分析した。

一方、「パラサイト」のアメリカの配給会社はツイッターで「理解できる。トランプ大統領は(字幕が)読めないから」と揶揄した。

米配給会社「Neon」はツイッターで反論
米配給会社「Neon」はツイッターで反論

【執筆:FNNワシントン支局 瀬島隆太郎】
【イラスト:石橋由妃 】

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瀬島 隆太郎
瀬島 隆太郎

フジテレビ報道局政治部 元FNNワシントン支局