若手記者のお仕事「トリテキ」

今週の平井事典は「トリテキ」。

本来の意味は若いお相撲さんのこと。幕下以下、つまりまだ給金をもらえない人たちのことをこう呼んでいたらしい。

政治の世界では国会の委員会での質疑を書き起こす若い記者のことを「トリテキ」と呼ぶ。原稿を書くのは先輩記者で若手はひたすら質疑をメモるだけ。まだ半人前なのでトリテキと呼ぶようになったのだと思う。

若手記者はこうやって「トリテキ」をする
若手記者はこうやって「トリテキ」をする
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衆参の予算委員会は朝9時から昼の休憩をはさんで夕方5時までの正味7時間で、このトリテキをするのは正直きつかった。

でも僕はトリテキのおかげで予算委員会を7時間ぶっ続けで聞くという習慣ができた。予算委というのは神羅万象、世の中のあらゆることが話題になる。各党の自画自賛にうんざりすることはあるが記者にとっては政策を勉強する絶好の場なのだ。今でも時々通しで聞く。

記者の仕事はAIに奪われるのか

それが最近はAIの音声自動聞き取り機能を持つ「トリテキマシーン」なるものを我がフジテレビ政治部でも導入し、トリテキはもうしなくてもよくなったという噂を聞き現場に確かめた。

するとトリテキ記者はまだいるという。マシーンだけでは無理なので、マシーンと人間が一緒にやっているらしい。いやあ良かった。AIに仕事を奪われてなかったし、何よりあの貴重な勉強の機会が失われてなかったのだ。

トリテキマシーン
トリテキマシーン

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【解説:フジテレビ 解説委員 平井文夫】

【表紙デザイン:さいとうひさし】

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。