働き方改革に取り組む企業は89%
コンサルティング大手のデロイト トーマツ グループは2月5日、企業の働き方に関する実態調査を発表した。
まず、働き方改革の取り組み状況について、「推進中」もしくは「実施した」と答えた企業が89%に上り、調査開始の2013年に比べて3倍に伸びて、高い浸透度合いがうかがえる。
一方で、長時間労働の是正はできつつあるものの、業務の効率化で効果を実感したと答えたのは、わずか16%にとどまっているというデータもある。
そこで、業務の効率化について、成功企業の1つの例として挙げられたのは「会議のあり方」だ。
デロイト トーマツ グループ・小出翔マネジャー:
会議ルールなどに関しては、「非常に会議が多い」「会議の時間が長い」とか、「会議のためにわざわざ移動しないと…」といった事例も多くあって、そこに着目する企業が出てきていると認識している。
そういえば、2020年のサラリーマン川柳の優秀100句にも…
「長時間 会議で決めた 時短案」(北鎌倉人)
という句が選ばれている。働く皆さんの会社の働き方改革の状況はどうなのか、街で聞いてみた。
会議の短時間化で効率アップ 一方で時間内に結論が出ないことも
ーー会議の回数はどうですか?
営業関係(30代):
3分の1くらいになりました。今までは結構無駄な時間もあったが、そういうところをキュッとして回数が減ったことによって、1回あたりの会議の重要性や生産性を上げることをより意識するようになった。
IT関係(50代):
会議はやらない、ゼロです。 意思疎通というか、会社の一体感は会議をやらないとなくなる。それぞれ別のことをやって別の方向を向いちゃうので、そういう意味では会議はあった方がいいと思う。
自動車関係(20代):
前まで1時間でやっていたものを30分でやりましょうとなってきている。目的を持って短時間で話すようになったので、良い意味で効率は上がっていると思う。ただ、なかなかその中で、必要な結論がまとまらずに会議が終わってしまうこともある。
医療機器関係(50代):
「会議の時間を短く」というのはある。会議室も昔ほど多くないかもしれない。ミーティングスペースのようなものがありますが、机と椅子くらいの設備しかないので、そこであまりプレゼンしてもしょうがないし、「なるべく早く済ませよう」となる。
メーカー勤務(20代):
テレワークができるようになって、会議室でなく外から会議に参加できたりということが活発になっています。方針資料の共有とかも、事前にくれていたら時間削減できると思いますが、会議当日にならないと資料が出てこないこともあるので、そこはもう少しどうにかなるかなと思う。
働き方改革の肝は「マネージメントが管理を手放す勇気」
内田嶺衣奈キャスター:
会議のあり方を含めて、働き方改革を進めていくためにはどうしたらいいのでしょうか?
ブルー・マーリン・パートナーズ(株)山口揚平代表取締役:
働き方改革の肝は、基本的にはマネージメントが管理を手放す勇気を持つということです。
組織というのは、「遠心力」と「求心力」の2つの力で緊張状態を作ってマネージされています。これまでは組織に忠誠を尽くす「求心力」が求められてきたが、これからは「遠心力」が必要になってきている。
具体的には、遠心力は「遠隔業務・副業」。若者世代は、通勤ラッシュなどが嫌で会社を辞めてしまうこともあるし、テレビ電話の質もとても上がっている。オフィスを止めた会社もあるし、サンフランシスコでは、オフィスに出社すると逆にお金を取られるところもある。
遠隔業務をやることによって、かなり生産性が上がることは実証されています。
内田嶺衣奈キャスター:
もう一方の「求心力」というのは?
ブルー・マーリン・パートナーズ(株)山口揚平代表取締役:
テレビ電話では伝わらないコンテキストを維持していくのが求心力で、「管理から信頼へ」とマネージメントスタイルを考えていかなければならない。
部下を叱るとか怒るということではなくて、日々“信頼残高”が積まれていないと、指示を聞かないですよね。部下であろうが上司であろうが、日々、信頼を積んでいたかとを残しておかなければいけない。
日本の良さは、阿吽の呼吸ですり合わせをするところにあるので、そこは残していきたいが、今は遠心力が大事だということを働き方改革の中で伝えているのかなと思います。
内田嶺衣奈キャスター:
こういった信頼関係を築ける風通しの良さがあると、働き方改革は進むような気がします。
(「Live News α」2月5日放送分)