規格認証は「金・紺・紫」の3種類

みなさんはこのマークが何か知っているだろうか?

街での認知度はほぼゼロのこのマークは、日本の誇るべきおもてなしを1つ星から3つ星までランクを付けた「おもてなし規格認証」というもの。

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2016年3月、安倍首相はこのマークについて「サービスの質を見える化する“おもてなし規格”を作り、30万社による認証の取得を目指します」と発言。

しかし、人によって感じ方が違うサービスの質をどうやってランク付けしているのか。

経済産業省 サービス政策課 浅野大介課長:
認証機関というものが6つほどありまして、実際にその会社のマネジメント体制とかサービスの現場の様子とか、覆面調査も入りますから。

ココ調取材班:
ミシュランみたいですね。

経済産業省 サービス政策課 浅野大介課長:
そんな感じです。

審査項目は、お客さんへの対応など大きく7つの項目に分かれ、審査にクリアすれば見事認定される。

【おもてなし規格認証 サービス業務 審査項目】
1. 従業員の働きやすさ
2. 客への対応
3. 業務の改善策
4. 人材の確保・育成
5. IT活用で効率化
6. 事業成果の振り返り
7. 経営者のリーダーシップ


現在は、飲食店や温泉など、サービス業を中心に1300店以上が認定されている。今回の「ココ調」は、そんな覆面調査も入る、サービスのランク付け「おもてなし規格認証」を調査する。

【3つ星】老舗旅館がITをフル活用 客情報をスマホで共有

まずは、おもてなしの最高峰の3つ星「紫認証」を2019年11月に取得した、神奈川県鶴巻温泉にある老舗の旅館「元湯 陣屋」(神奈川県秦野市)へ。

1万坪の広大な敷地に、明治天皇が宿泊した貴賓室もある、期待を大きく超えるおもてなしとは?

女将 宮﨑知子さん:
スタッフに単純作業をさせずに、お客様との会話ですとか、頑張れる環境を整えるためにITを使っています。

おもてなしのために始めたというIT戦略。そのヒミツは厨房にあるという。

横山ルリカリポーター:
え、ちょっと待ってコレなんですか?すごい大きな画面が厨房にあるんですけれども…

女将 宮崎知子さん:
お客様のお食事の時間が、スタートしてから何分経過しているのかが表示されています。これによって、作り忘れのないかどうかのチェックをしています。

スタッフ全員でお客様の情報が共有できるように作られた巨大モニター。

お客さんのアレルギー情報、食事がどこまで進んでいるか、スタッフのシフトなどもひと目で分かるようになっている。

そのため、スタッフ全員にスマホやタブレットを支給し、館内で起こっていることを全員が把握できるシステムを構築。

また、このスマホには音声認識ソフトが入っていて、話した言葉がそのまま文字化される仕組み。実際に使っているスタッフは…

調理部 川上晃平さん:
オーダーがこれで通るので、素早く料理提供ができたり、アレルギー情報を確認して対応できるのは、すごくやりやすいですね。

接客係 小麻野隆さん:
タイムロスがなくお客様の情報が瞬時にくるので、サービスの向上にもなります。

この旅館には、さらにすごいシステムがもうひとつあるという。

女将 宮崎知子さん:
これが車番認識ですね。お車のナンバーを読み取って、お客様の情報と照合して、お名前をお呼びするためのシステムです。2回目、3回目にご来館いただくお客様をお名前でお呼びしたいので。

来館したお客様の車のナンバーを駐車場で確認。受付に来るまでに名前が分かっているという仕組みだ。

こうしたITの活用で見事、おもてなしの最高峰3つ星を取得したことについて女将は…

女将 宮崎知子さん:
第三者の方に評価いただけるというのは、スタッフにとってもお店にとってもいい刺激をいただいているので、よろこんでお帰りいただきたい、いい思い出にしていただきたいというのが、より一層強くなったと思います。

【1つ星】社長自ら乗車しタクシーの“おもてなし力”をチェック

続いては、1つ星「金認証」のおもてなしをチェック。向かったのは、福岡県北九州市。

北九州市といえば、2019年のラグビーワールドカップでキャンプを行っていたウェールズ代表への手厚いおもてなしが話題を呼んだ。
そんな北九州で1つ星を取得したのが、2019年6月、タクシー業界で初めてとなる1つ星の金認証を取得した「勝山タクシー」(北九州市小倉北区)。

普通のタクシーとは違うおもてなしに特化した、その名も「プレミアムタクシー」は、7台で1つ星を取得している。

勝山自動車 代表取締役社長 廣石敏文さん:
これから高齢化社会になっていきますから、我々タクシーが良くなることによって、住みやすい街ができてくると思っています。

おもてなし力を上げるため、勝山タクシーでは、社長自らが実際に乗車してチェックする「おもてなしテスト」を行っている。

横山ルリカリポーター:
こんなにたくさんチェック項目があるんですか?

チェック項目は、車内の清掃・身なり・接客・マナーなど、全部で60項目にも及び、中には「料金受け渡しの際にメーターを右手で指すと」いう細かい項目まである。

そんな厳しいおもてなしテストをクリアした人のみが、プレミアムドライバーとして乗務することができるのだ。

プレミアムドライバー 藤田真吾さん:
乗車口に若干の段差がありますよね。あの間を埋める台などを積んでいるんですよ。

プレミアムドライバー 伊東善久さん:
おもてなしはしてなんぼのもんですから。おもてなしはキリがなく、限界がないんじゃないですかね。

今では予約を取るのが難しいほど人気になっているという、プレミアムタクシーの利用者にも話を聞いた。

プレミアムタクシーの利用者 岩永友和さん:
普通のタクシーと同じ値段だし、ドライバーさんとの距離感がすごく心地良いというか、気を使ってくれているのかなと思いながらも、窮屈さもないとい。そこがおもてなしなのかなと、僕は思っています。

【2つ星】リアルな訓練で接客の腕を磨く紳士服店

続いては、2018年4月に全168店舗で2つ星の「紺認証」を取得した紳士服大手の「コナカ」。

コナカ事業部 松尾悟部長:
もちろん商品の品質、それに加えてサービスの品質がそろった上でのコナカのおもてなしです。

高品質・高機能のスーツをリーズナブルに販売し、質の高いサービスを提供するために行っているのが、実際の接客を想定した研修を行い、お客様に的確なアドバイスができるように訓練する「ロールプレイング研修」だ。

コナカ東戸塚総本店 加賀寛稔総店長:
フレッシャーズのお客様が多くなりますので、ご入学のお客様のロールプレイング研修を始めます。

時には、少し回答に困るような質問を投げかけることもある。

客役:
入学式用なんですけれども、スーツって着ないといけないんですか?

店員役:
そうですね…式典の場を壊さないように、また、ご一緒にスーツをお使いいただくから、他の皆さまと一緒に会場の雰囲気を盛り上げることも可能かと思いますので、スーツはぜひ相手のことを思ってお召しいただけるといいかと思います。

見事な切り返しに、店長も満足そうな表情を見せた。

実際に接客を受けたお客さんは…

来客者:
初めてスーツを選ぶのですごく不安だったんですけど、みんな笑顔で接客してくださっているので、こちら側もすごく安心感がある。

コナカ東戸塚本店 髙見聡主任:
(紺認証を取得して)今まで以上により一層いい接客を心掛けていかないといけないなと感じました。

この「おもてなし規格認証」は、サービスの質だけでなく、従業員が働きやすい環境をつくるという点も審査の対象となっていて、お客さんにとっても従業員にとってもメリットがあるようだ。

(「めざましテレビ」『ココ調』2月5日放送分より)

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