中国・武漢から帰国した日本人206人のうち、5人が熱や咳などの症状を訴え東京都内の病院に搬送。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、日本各地では対応に追われている。

帰国者5名に体調不良、都内病院に搬送される

羽山 寛フィールドキャスター:
(こちらの救急車ですが)体調不良を訴えた人を乗せているとみられます。今、救急車がこちら羽田空港を出ていきます。

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1月29日朝7時過ぎ、羽田空港では厳戒態勢が敷かれる中、新型コロナウイルスの発生源とされる武漢から日本人206人が帰国。そのうち、発熱の症状などが確認された30代から50代の男女4人が、感染症への対策施設のある東京大田区の荏原病院へとまず運ばれた。

さらに、この4人とは別の1人も、空港到着後の機内で体調不良を訴え、東京文京区の駒込病院に搬送。

そして帰国者のうち、症状がなく自宅に戻らない140人は、用意されたホテルなどで経過観察を受けることとなった。

日本人初の感染者も…列島各地で対策強化へ

28日には、バス運転手の男性が日本人初の新型コロナウイルス感染者と確認される事態も発生。

この男性については、中国人観光客を乗せたツアーで関西空港や成田空港などのほか、多くの観光客が集まる奈良公園にも立ち寄っていたことが判明した。

こうしたことから、武漢からの観光客との接触により、人から人への感染をした可能性が高いとみられている。

これをうけ、全国各地のバス会社は感染対策を強化。福岡にある「福岡昭和タクシー」は、除菌と加湿ができる装置を急きょ車内に導入した。

福岡昭和タクシー福岡事業所 大谷義明事業課長:
できれば国からこうした方がいい、といった指示がでれば一番いいんでしょうけど

また、東京上野に位置する商店街、通称“アメ横”では、外国人観光客と日本人客が利用する店に新型肺炎への注意が呼びかけられることに。

アメ横商店街連合会 深沢芳彦理事:
今も徐々に増えていますので、それを食い止めなくちゃいけないということで。自分だけじゃないんだ、お客さんに対してもそうだし、本当に守らなきゃいけない。

注意のビラを受け取った人は、「そういう部分がやっぱり我々の商売にもつながっていくし、あるいは街全体の連帯意識にもつながっていくというのがあるんでね」と、こうした対応を前向きに評価しているようだ。

新型コロナウイルスの予防対策をスタジオ解説

また事態の深刻化を受け、町の人からも、国内での感染拡大への不安と対策にまつわる疑問の声が上がる。

Q. アルコール消毒の他にも何かできることはある?
40代男性「マスクするとか、うがい手洗いぐらいしか方法ないかな」

Q. マスク・うがい・手洗い以外の方法は?
50代女性「アルコール消毒とか結構まめにしてるんですけど。他にも何かできることがあればおうかがいしたいです」

感染症に詳しい獨協医科大学の増田道明教授は、「まず一番大切なのはパニックを起こさないということ。その上で、インフルエンザに対するのと同様の予防策を講じながら生活をしていくということだと思います」と、こうした不安への対処法を説明した。

加藤綾子キャスター:
日々増え続けている新型コロナウイルスによる肺炎。佐々木さん、正しい予防法など詳しくお願いします。

佐々木恭子アナウンサー:
今回の新型コロナウイルスによる肺炎。何が怖いのかというと、特効薬がないことなのです。もし感染が発生しても、症状に合わせた対症療法しか今の時点ではできません。感染そのものは赤ちゃん、子どもにも確認されていますが、特に50代以上の方や糖尿病などの持病のある方は重症化するケースが多いので、注意が必要になってきます。

佐々木恭子アナウンサー:
以前にも新型ウイルスSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行しました。世界中で感染者8000人を超え、終息までに8カ月かかったのです。

佐々木恭子アナウンサー:
一方、29日の時点で新型コロナウイルス感染者は6000人を超えています。つまりはSARSに比べても感染拡大のスピードが速いということなのです。

佐々木恭子アナウンサー:
今回の新型コロナウイルスは症状が出る前、潜伏期間もしくは軽い症状の人からも感染が疑われているのです。

加藤綾子キャスター:
本人も自覚がないうちに、感染を広げてしまっている可能性があるということですよね。

佐々木恭子アナウンサー:
「どうやって防いでいくか」なのですが、多くの感染症に共通する予防法と同じです。まずは手洗い、うがい、アルコール消毒を徹底すること。そしてなるべく人混みを避けること。マスクをすることも有効な手段になります。また、栄養もしっかり取る、睡眠も十分取り、体調をよくして免疫力を上げてくることがとても大切なケアになります。

佐々木恭子アナウンサー:
そして、発熱や咳など何かしらの症状が現れて感染が疑われた場合、いきなり最寄りの病院に行ってはいけません。厚生労働省のコールセンター、または居住地域の保健所に連絡をして指示を仰いでいく。これを徹底したいです。

加藤綾子キャスター:
これ大事ですよね。しっかり覚えておかないといけないですよね。別所さん、どのような対策されていますか?

別所哲也さん:
決してパニックにならず、しかし侮らず。マスクをする、手洗いうがいを徹底する、そして加湿器などを家でもきちんと使う。こういった基本的なことをきちんとやっていきたいですね。

(Live News it! 1月29日放送分より)

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