「領土・主権展示館」が拡張移転

韓国が不法占拠する島根県の竹島
韓国が不法占拠する島根県の竹島
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島根県の竹島が韓国に一方的に不法占拠される状態が続き、沖縄県の尖閣諸島近海への中国船の度重なる不法侵入が常態化する中、竹島や尖閣諸島、北方領土が日本固有の領土である根拠となる資料などを展示してきた政府の「領土・主権展示館」が21日に大幅に拡張される形で移転、リニューアルオープンした。

リニューアルオープン・21日
リニューアルオープン・21日

元の「領土・主権展示館」は2018年に東京・日比谷公園内に設けられたのだが、スペースがとにかく狭かった。面積は事務所スペースなどを含めて約100㎡しかなく、展示内容や規模が限られ、しかもスペースの都合で「北方領土コーナー」をほとんど設けられずにいた。さらに、「館」とは名ばかりで「市政会館」という建物の地下の一角にあったためわかりにくく、土日祝日の開館さえ原則できなかった。

こうした課題を克服するため、政府はこれまで移転先探しに奔走してきたが、必要な予算も確保しようやく拡張移転できたのだ。この新展示館により、次のようなメリットが生まれた。

領土・主権展示館
領土・主権展示館

面積が約7倍!
面積が100㎡から700㎡に拡張されたことで、より幅広く充実した展示ができるようになり、北方領土に関する展示スペースも初めて本格的に設けられた。また、面積が広くなったことで修学旅行生など団体の受け入れも可能となった。


アクセスが改善!
新しい展示館は東京メトロ銀座線の虎ノ門駅から徒歩1分とアクセスに優れ、加えてガラス張りの建物の1~2階に位置することから、場所がわかりやすい。国会や霞が関の官庁街からも徒歩圏内にあることから、国会見学に訪れた児童・生徒や地方からの陳情団などが訪れやすい。

アシカの剥製にプロジェクションマッピング…迫力の展示も

そしてスペースが広がったことで、それぞれの問題が身近に感じられる工夫が施された展示が増えた。

巨大アシカの剥製で領有権を説明
「竹島コーナー」に鎮座するのは、巨大なアシカ「リャンコ大王」の剥製だ。体長288cm、体重750kgと、まさに「大王」の名前にふさわしいこのアシカは1930年頃、竹島周辺に生息していた。竹島周辺では、少なくとも江戸時代初期から日本人がアシカ漁を行っていて、政府は領有の根拠の1つと位置づけている。それを象徴する展示が「リャンコ大王」の剥製だ。このように、目で見てわかりやすく、インパクトのある形で展示を行っている。

巨大アシカの剥製で領有権を説明
巨大アシカの剥製で領有権を説明

プロジェクションマッピングや動画を導入
新設された「北方領土コーナー」では、北方領土の位置や日露間の歴史的経緯などを、プロジェクションマッピングを用いて解説している。また、タッチパネルを操作することで、元島民のメッセージを紹介する動画を観られるなど、視覚的にわかりやすい展示を取り入れている。

新設された「北方領土コーナー」
新設された「北方領土コーナー」
プロジェクションマッピングを導入
プロジェクションマッピングを導入

子供向けコンテンツ
修学旅行生などを想定し、子供にも「領土・主権」に興味・関心を持ってもらえるように、新たに子供向けの工夫が施された。写真のように、AR=拡張現実の技術を用いることで、「竹島コーナー」ではアシカ、「北方領土コーナー」では島に生息している鳥であるエトピリカがタブレットから飛び出るような仕掛けがされている。さらに、キャラクターを用いた解説もあり、それぞれの領土についてポイントがわかりやすく理解できるように工夫されている。

AR=拡張現実の技術
AR=拡張現実の技術

「ファクト」の展示で来館者に判断材料を提供

また移転前の展示館について、「領土の歴史は分かったが、政府が何をしているのかわからない」といった意見が寄せられていた。そこで、移転後は新たに、政府のスタンスや国際社会における対応についての解説が設けられた。他国が日本と異なる主張をしていることを踏まえ、「証拠資料を見る際のポイント」などが客観的に書かれ、来館者が自分で考えるためのきっかけにしている。

政府の担当者が「プロパガンダの発信では、対立する国と同じ土俵に乗ることになるので意味がない」と強調するように、展示はあくまでファクトの提示が中心となっていて、「日本の主張は正しいか」「問題をどう解決するべきか」を来館者に自ら考えてもらう形をとっている。

韓国が猛反発…抗議した上で「閉館を」「断固として対処」

しかし、この展示館の拡張オープンに、韓国政府が猛反発した。韓国外務省のスポークスマンは以下の声明を発表した。

1.わが政府は日本政府が私たちの固有の領土である独島に対する不当な主張を強化するために東京都内の“領土主権展示館”を拡張移転して今日開館式を開催したことに対して強力に抗議して、これに対し閉鎖措置を促す

2.2018年“領土主権展示館”の開館以来、わが政府が該当展示館の即刻閉鎖を何度も促してきたにもかかわらず、日本政府がかえってこれを拡張して開館することに対して非常に遺憾だ

3.政府は歴史的、地理的、国際法的に明白な私たち固有の領土である独島に対するいかなる挑発に対しても断固として対処していくことだともう一度明確に明らかにするところである

韓国政府は、このように展示館の拡張移転に抗議するとともに、閉館措置を求めてきたのだ。ちなみに韓国・ソウルには「独島(竹島の韓国名)の領土主権を守る国民的意思の結集と青少年たちに独島教育の生きた場を提供する」という「独島体験館」が、竹島に近い鬱陵島には「独島博物館」があり、竹島は韓国の領土だという宣伝と教育に利用している。

韓国の反発に衛藤大臣は「ご不満のある国はぜひお越しいただきたい」

衛藤晟一領土問題担当大臣の会見・21日
衛藤晟一領土問題担当大臣の会見・21日

この韓国の反発に対し、衛藤晟一領土問題担当大臣は21日の会見で、「過去の歴史的な事実に即して、法的な立場を明確にした上で丁寧に展示していると思っている。ですから、ご不満のある国はぜひ(展示館に)お越しいただいて十分に見ていただきたい」と述べた。

こうして政府は、展示館のリニュ-アルオープンにこぎつけたが、課題は多い。政府が去年12月に発表した世論調査で、竹島や尖閣諸島の認知度は約9割にのぼったが、関心を持っている人の割合は、上昇したものの6割台にとどまっている。さらに内閣府担当者が「必ずしも正しく理解されているとは限らない」と警鐘を鳴らすように、竹島で古くから日本の漁師が漁を行っていたことや、韓国政府が「李承晩ライン」を一方的に設定して竹島を取り込んだ経緯を知っている人は4割前後でしかない。竹島や尖閣諸島が日本固有の領土であるという根拠や島の現状を多くの国民が共有するには、さらなる取り組みが必要となる。

その一環として、展示館への来館者をどう増やしていくかは大きな課題だ。現状では展示館の2階部分が展示に活用されていない状況だが、これから特別展なども検討しているという。展示館の今後に引き続き注目したい。

領土・主権展示館
所在地:東京都千代田区霞が関3-8-1 虎の門三井ビルディング1階
(東京メトロ銀座線「虎ノ門駅」徒歩1分)
開館時間:10時~18時(月曜日休館)
入館料:無料

(フジテレビ政治部 首相官邸担当 山田勇)

「待ったなし!日本の領土」
「待ったなし!日本の領土」
山田勇
山田勇

フジテレビ 報道局 政治部