金山地区に伝わる真冬の伝統行事「竹馬運動会」

勢いよく、竹馬で走りだす子どもたち。
宮城県丸森町の金山小学校で2020年も開催された伝統の「竹馬運動会」。

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「竹馬運動会」は雪が積もり、外での運動時間が減る冬の時期に子どもたちの運動不足を解消するため、1971年に始まった。

2020年で49回目、金山地区で育った大人のほとんどが経験している地域の伝統行事だ。

2019年10月の台風19号で大きな被害を受けた丸森町。
金山小学校も校舎が浸水し、校庭は災害ごみの仮置き場となった。

一時は運動会の開催が危ぶまれたが、災害ごみの搬出と土の入れ替えが終わったことから、開催のめどが立った。

現在、丸森小学校の教室を借りて授業を続けている、金山小学校の子どもたち。
本番までは、丸森小の校庭で練習を続けていた。

“竹馬運動会”初挑戦の転入生も

器用に竹馬を操る子どもたちの中に、不安そうに竹馬に乗る女の子がいた。

2019年、仙台市から金山小学校に転入してきた、2年生の日下奈南ちゃん。

竹馬の経験がほとんどない奈南ちゃん。
本番2日前にようやく補助なしで歩く練習を始めた。

日下奈南ちゃん:
歩いたり曲がったり、回ったりするところが楽しい。

ーー本番も成功できそうですか?

日下奈南ちゃん:
ん~。ちょっと不安

そして迎えた「竹馬運動会」当日。

宣誓:
厳しい寒さに負けず、チーム一丸となって、金山小学校と金山地域全体の底力を見せることを誓います

最初の種目、「はじめての竹馬」が奈南ちゃんの出番。

しっかりとした足取りでスタートした奈南ちゃん。
一歩一歩着実に進み、一度も竹馬から下りることなく、ゴール。

ゴール後は、すぐにお母さんのもとへ。

奈南ちゃんの母親:
頑張った、頑張った。頑張って最後まで歩けたじゃん。

日下奈南ちゃん:
走れるよー

奈南ちゃんの母親:
走れたね。思ったよりちゃんと乗れてたので、よかったです

地元住民にも笑顔 受け継がれていく地域の伝統

子どもたちの成長を願い始まった「竹馬運動会」。
応援に来た住民も、台風の被害に負けず、地域の伝統が続いたことを喜んでいた。

金山地区の住民:
本当にできたことが不思議ですね。本当にね、ガレキの山で、大変な状況だったんですよ。それがここまで復興できて、本当にうれしいですね

金山地区の住民:
喜びというより安心感というのかな。できたなって安心感ですね。大変よかったな、と思っています

竹馬運動会には、住民が参加できる競技もある。

同じゴールを目指して競争する“金山クロスカントリー”。
子どもたちと一緒のゴール。校庭には笑顔があふれていた。

6年生:
通っていた学校でできるとは思わなかったので、本当にうれしいですし、ごみを処理してくださったり、土を替えてくださったりした人たちに感謝しかないです

6年生:
悔いのない6年生の小学校生活を迎えられそうかなと思います

6年生:
今までずっとこんなことになって、できないのかなって思っていたけど、できたのでうれしかったです

台風の被害に負けず、自分たちの学校で迎えた49年目の竹馬運動会。
50年からその先も、金山地区の伝統として続いていく。

(仙台放送)

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