本場イタリアが認めた斬新なジェラート
東京ドームで開催されている「ふるさと祭り東京2020」。
この記事の画像(13枚)そのスイーツ部門の一角「コンテストで優勝」の文字が躍る店頭に多くの客が集まっていた。客のお目当ては、本場イタリアが世界ジェラート大使と認めた柴野大造さんが作る斬新なジェラート。
来場者
意外とさっぱりして、口の中に結構サーッと溶けるような、甘さもしつこくなくて…
このジェラートが生み出されるのは、石川・金沢市近郊の小さな店のキッチン。キッチンを訪ねてみると、ジェラート職人・柴野大造さんは、何やら器具ですりおろしている最中…
――それは今入れているのはパンですか?
柴野大造さん:
パンですね。パンのジェラート。バゲットパンのジェラートになります
作っていたのはパンのジェラート。焼いたパンの香ばしさをジェラートに加え、果物の柿をピューレ状に加工してトッピングする。
専用のマシンから滑り出すできたてのジェラート。素材は定番の牛乳や果物以外にパンや野菜まで使うのだという。
ジェラート職人・柴野大造さん
なぜその素材と素材を組み合わせるのかアンサーを自分の中で持っていないと、人の心の琴線に触れるようなジェラートはできないですよね
こうしてこの日店頭に並んだ14種類のジェラートの半数近くは新作というから驚きだ。
柿とバゲットのジェラートを食べた人
いろんなものを組み合わせてるのに、すごく感動する味というか想像できない味
パイン・リンゴ・セロリのジェラートを食べた人
セロリが全然邪魔してこないけど、セロリの味がする。おいしい
大学卒業後継ぐ予定だった牧場は赤字で手放し・・・
石川の能登で牧場を営む家に生まれ、大学卒業後は牧場を継ぐつもりだった柴野さん。しかし当時牧場は1億円近い借金を抱えていた。
牧場立て直しのため始めたジェラート事業だったが、品質が安定せず当初は赤字続き。ついに大切にしていた牧場も手放すことに…
そんな中で柴野さんはある大切なことに気付く。
柴野大造さん
ジェラートとははっきり言って科学。なぜその素材の構成レシピになっているのか、その根拠をしっかり理解しないとおいしいジェラートはできない
おいしいジェラートは、水分や固形分、タンパク質などの比率が決まっており、その分量を0.1の単位で計測。材料の精密な計量で、完成時のフレーバーや舌触り感まで予測できるという。
こうして独学で手に入れたおいしさの科学と斬新な素材を取り入れる感性が、柴野さんのジェラート作りを後押しした。
「科学+感性」でイタリアの国際コンクールに優勝
2015年には日本国内のコンテストで優勝。2017年にはジェラートの本場・イタリアの国際コンクールで優勝という栄冠を手にした。
成功までのつらい時期を支え、そして今後の大きな目標となるものが店の奥にあった。
柴野大造さん
僕の元あった牧場です。うちのじいちゃんが描いた…
柴野大造さん
ジェラートのことがわかればわかるほど、この風景にひかれていく。もう一回牧場を小さくてもやる。牛たち、そしてニワトリも飼いたい。ジェラートは自然由来のもので全部まかなえる。こういう生き方もあるよと、生き方の提案をしてみたい
(「Live News α」1月16日放送分)