東京五輪まであと194日。

1月12日(日)放送の「ジャンクSPORTS」(フジテレビ系)では、メダル獲得が期待される14名のアスリートが集結した。さらに、オリンピックレジェンドの柔道・谷亮子さん、レスリング・浜口京子さん、アーチェリー・山本博さんも登場。
 

 
 
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注目のアスリートには、リオ五輪にて、カヌーで日本人初のメダルを手にした、羽根田卓也選手、東京オリンピックで初の正式種目となるスポーツクライミング界のエース・楢﨑智亜選手と野口啓代選手、陸上短距離界の超新星・白石黄良々(きらら)選手、昨年の世界新体操・団体総合で44年ぶりの銀メダルを獲得した新体操フェアリージャパンPOLA。

東京オリンピック日本代表内定第一号となったシンクロ飛込の寺内健選手と坂井丞選手、日本女子バスケットボール界のニューカマーで姉妹の馬瓜エブリン選手と馬瓜ステファニー選手の14名。

 
 

27年で初めて体験した失敗

入水までのたった2秒の美しさを競うシンクロ板飛び込み。この競技はいくら美しくても、シンクロ率が高くなければ高得点を取ることができない。そんな中で、東京五輪日本代表内定第一号をつかみ取ったのが寺内選手39歳と坂井選手27歳。2人の年の差は12歳。

坂井選手が3歳のときに、すでに寺内選手は15歳にしてアトランタ五輪に出場している。

大先輩である寺内選手と組むことについて、坂井選手は不安に思ったこともあるといい、「一緒に試合できるだけで幸せだったので、ペアになることは今でも考えられない」と明かした。

 
 

しかし、息ぴったりな2人は国内では敵なし、世界でも好成績を残している。そんな2人は意外にも、一緒に練習をしないと言う。

坂井選手は神奈川、寺内選手は兵庫を拠点にしていて、互いが拠点の場所を離れたくないということで、「試合の前日練習で合わせて試合に臨んでいる」と坂井選手は明かす。

そんな意外な練習法に浜田さんは「それで優勝したりするの?」と疑問を投げかけると、寺内選手は「そうです」と笑い、「2人がそれぞれいいパフォーマンスができれば合うことが分かっているので、前日でいいかなって」と話した。

しかし、同じく息がぴったりと合うことが高得点につながる新体操の杉本早裕吏選手は、寺内&坂井ペアの“合わせない”練習法に「あり得ない…」と驚いていた。

息ぴったりな2人だが、最近の大会で大失敗してしまったという。2019年3月の大会で、寺内選手が飛び込みに失敗。このときの演技はなんと0点。競技人生27年間で初めての苦い経験をしたのだ。

そのときのことを寺内選手は「飛び板の先端を(つま先で)つかまないと演技ができないんです。攻めていかないとうまくつかめないのですが、ちょっと攻めすぎたら足の指が板から出ちゃって。足の指が板から出ると、板の跳ね返りが全然違って、足が板の跳ね返りに負けてしまった」と振り返る。一方で、隣にいた坂井選手は「(寺内選手が)急に消えて…。会場からも悲鳴が聞こえました」と明かした。

華麗に見える競技だがアザだらけ

 
 

昨年9月の、世界新体操選手権大会の団体総合で息の合った華麗な演技を見せ、44年ぶりに銀メダルを獲得した新体操フェアリージャパンPOLA。史上初の団体種目別で金メダルという快挙も成し遂げた。

全ては10年前、山﨑浩子強化本部長が就任時にメダル獲得に向け、世界で戦える選手の育成を目標に全国から有望な選手を選抜するテストを実施したことから始まる。

合格者は1日8時間を超える猛練習をし、同じ部屋で年間350日共同生活をする。ロシア人専属コーチの指導を受けるため、1年の半分を本場・ロシアで合宿。一つ一つの努力がフェアリージャパンの華麗で一糸乱れぬ演技を形成しているのだ。

新体操は華麗に見える競技だが、実は全身アザだらけだというエピソードも。横田葵子選手は「演技中に人と接触したり、フラフープなどが当たってアザになります」と話した。

熨斗谷(のしたに)さくら選手も顔にアザを作ったことがあるといい、「人が投げたこん棒と呼ばれるクラブが、2週連続くらい落ちてきて顔に当たって…」と苦労を明かした。

 
 

スタジオには新体操で使う道具、クラブ、リボン、ボール、フープが登場。浜田さんもアドバイスを受けながら、リボンに挑戦した。

父親のサポートで五輪へ

日本最高峰のボルダリング・ジャパンカップで驚異の9連覇、ワールドカップ年間王者には4度輝くなど、クライミング界の絶対女王である野口選手。そんな彼女は昨年の世界選手権で東京五輪代表に内定したが、五輪への道はとても長かった。

 
 

クライミングを始めたのは11歳のとき。当時、クライミングはまだマイナー競技で練習環境が整っていなかったことから、父・健司さんは営んでいた牧場の牛舎を改築し、手作りのプライベートクライミングウォールを作った。

野口選手の成長とともに拡張され、今では高さ4メートル、広さ60畳ほどの空間に。さらに、健司さんは日本では手に入りにくいクライミングホールドの輸入販売も行っている。

なぜ、ここまで娘をサポートできるのか。その理由を健司さんは「本人が五輪選手として頑張るからにはできるだけの施設や素材は提供して、あとは本人に頑張ってもらう」と語った。

野口さんいわく、建築の知識がなかった健司さんは自ら勉強し、このプライベートクライミングウォールを作ったという。

しかし、健司さんも娘に言いたいことがあるという。それは「最近、私パシリです」。「『LINEで○○用意しておいて』と。押すと既読になっちゃうから。既読無視です」と娘のお願いに困っているとしながらも、表情は嬉しそうだった。

さらに、強靱なバネから海外では忍者と呼ばれるクライミング界のエース、樽﨑選手。日本人が苦手とされる壁を登る速さを競う「スピード」でも、高さ15メートルを6秒159で登りきるという日本記録を保持している。

 
 

そこで今回、樽﨑選手はスタジオの壁登りに挑戦。高さ約11メートル50センチの壁の6カ所に設置された“浜田大明神”のボタンを押しながら進む。つかむところも少なく、登りにくそうな壁を軽々と進んでいき、見事クリア。無駄のない樽﨑選手の動きに他のアスリートたちも驚きの声を上げた。

 
 

アスリートと兄弟の絆

陸上短距離界の超新星、白石選手。

2019年100メートル走の自己ベストを更新すると、世界陸上の男子400メートルリレーでは、アジア新記録で銅メダルを獲得。

 
 

そんな白石選手は、「大会等も帯同してケアしてもらっているので治療費もかからないのでありがたい」と、柔道整復師の兄・青良(せいら)さんに支えられているという。

また、青良さんは弟の活躍を「毎年、ケガをせずに練習を積めて、成績が伸びてきて、2019年やっとトップ選手に追いつけた。まさか、こんなになるとは夢にも思わなかった。これは僕のおかげじゃないですか」と笑った。

一方、羽根田選手も兄との知られざる深い絆があるという。

 
 

羽根田選手の兄・翔太朗さんも元カヌー選手。その実力は数々の試合で優勝し、五輪出場も期待されるほど。羽根田さん自身も「常に兄の漕ぎを見てマネして練習していた。自分の先に行っていた。兄なくしては今の自分はない」と断言した。

しかし、2人がカヌーを続けていくためには経済的な問題があった。翔太朗さんは「カヌーはお金がかかるスポーツ。当時はスポンサーもなく、父親が資金をすべて負担してくれていて、父親から『お前ら2人がカヌーをやっていなかったらフェラーリの1台や2台、余裕で買えた』」と言われたことがあると明かした。

一人当たりの年間数百万はかかるという出費に、羽根田選手は「家族の苦労を日常的に見ながらカヌーをやっていたので、申し訳ない気持ちもありながら、結果を出して恩返しすることが最優先で、それが一番の仕事だと考えていた」と語った。

結果で報いようとした羽根田選手に対して、翔太朗さんは「2人にお金を使うよりも1人に資金を集中させた方がいい」と考え、五輪出場を狙える実力を持ちながら19歳で一線を退くことを決意。この決断の理由は両親や羽根田選手に話したことはなかった。その理由は、羽根田選手が気にしないようにするため。「自分が辞めたせいで、卓也がカヌーをやりにくくなると元も子もない。遠征のとき、普段の練習はサポートするようにしました」と話した。

兄の決断のおかげで、羽根田選手はカヌーの本場スロバキアに単身渡ることができた。それから10年後、羽根田選手はリオ五輪で日本カヌー競技初の銅メダルという快挙を成し遂げたのだ。

羽根田選手は「身一つで上に行ける競技ではなく、いろんな支えがあって、今まで続けて来れた。兄の思いに応えるためにも、東京五輪は特別な舞台」と決意を新たにした。

カップ麺が必需品!?

 
 

さらに、アスリートたちは、オリンピックレジェンドたちにさまざまな疑問をぶつけた。

まず、「オリンピックへの必需品」について。谷選手は「スーツケースの半分は柔道着で、もう半分はカップ麺を入れていました。本当に食べたくなる!減量のある競技だったので、(体重が)48.3キロくらいで寝ると300グラムくらい減るんです。軽量日は軽すぎてもいけないのでぴったり合わせに行く。でも、ちょっと軽すぎるという日はカップ麺を部屋で作って微妙に調整していました」と話した。

犬のぬいぐるみを持って行っていたという浜口選手は、そのぬいぐるみをスタジオにも持ってきてくれた。「10代からの付き合いで、選手村の部屋に置いたり、試合会場に行くときはバッグに入れておくだけで安心した」と明かした。

 
 

白石選手は「メダルを獲るのと、獲らないのとでは何が違うのか」を質問。五輪に5回出場し、2回メダルを獲り、3回はメダル獲得ができなかった山本博さんは「日本で帰国した時に乗るバスが違います。行き先も違うんです。メダルを獲った人は首相官邸や皇居とかに行くんですが、そうでない人はどこかに行って解散する」と話した。

『ジャンクSPORTS』毎週日曜日夜7:00~8:00放送