「野球を思う存分できるので楽しみ」
ロッテのドラフト1位ルーキー・大船渡高校の佐々木朗希投手(18)が8日、さいたま市のマリーンズ寮に入寮した。
部屋は同じ東北出身で4年先輩となる成田翔投手の隣の「201号室」に決定。
高校史上最速の163キロをマークした“令和の怪物”がプロ生活をスタートさせた。
朝8時に大船渡を出発し、午後2時過ぎに到着した佐々木は集まった約70人の報道陣を前に、無数のフラッシュを浴びながら「寮での一人暮らしは初めてなので、不安な気持ちもありますが、これから野球を思う存分できるので楽しみです。どういった1年になるか分からないですけど、経験を積んで充実した1年を過ごしたいです」と抱負を語った。
寄せ書き入りユニフォームと2冊の本を持参
この日の朝に大船渡市の実家を出る時に、大船渡高校野球部のチームメートが見送ってくれたという。寄せ書きの入った大船渡高校のユニフォームをプレゼントされ、「小、中、高とたくさんのチームメートと野球をやってきて、ここまで来られた。その思いを忘れずに、これからも頑張りたい」と決意を語った。
生まれ育った大船渡を離れることについては、「今日は大船渡からここまで来るのが少し早かった」としみじみと話した。
また、大量の引っ越し荷物と一緒に持参したのは2冊の本。1冊目は井口資仁監督の著書『変わろう。』だ。帯には「成長のために過去の自分を捨てることを恐れるな」と書かれている。そして、もう1冊は筋肉の仕組み・働きを解説する辞典『プロが教える筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト辞典』を持ち込んだ。
強い体作りを目指す18歳は「どの場所にどういった筋肉があるのかを知っていれば、トレーナーさんと話す時もスムーズに進むと思う」と、始まったばかりのプロ生活を見据えた。
「思う存分野球ができる」環境を見せてもらった
JR武蔵浦和駅から徒歩15分、ファームのホームグラウンド「ロッテ浦和球場」からすぐのところにある3階建て30室の選手寮。
高卒の佐々木はこれから4年間ここに住む過程で、他の選手とのチームワークや人格形成を養う。今回、チーム広報の協力で、普段は見られない選手寮の中を案内してもらった。
1階の食堂では栄養バランスの考えられた食事が朝、昼、晩と日替わりの献立が3食用意される。9月のU18日本代表時に80キロほどだった体重が現在87キロまで増えるなど、資本となる体つくりも順調だ。
寮のルールでは門限は10時。未成年の健全育成のため、外で食事をすることは禁止されているという。休みの日に外食する場合も、食事相手や時間、場所などを寮長に伝えなければいけないルールのため、佐々木も野球だけに打ち込むしかない環境になる。食堂には大型テレビがあり、シーズンが始まればチームメートと食事中も1軍の野球中継を観て勉強することになる。
3階には充実した設備のトレーニングルームも完備し、選手は24時間いつでもトレーニングできる。「筋肉の仕組みと働き」を勉強し、強い体作りを目指している佐々木にはありがたい環境だ。
2階にあるゆったりとしたジャグジー付の大浴場は24時間利用可能。脱衣所に置かれた本棚には「スラムダンク」や「黒子のバスケ」など多くのスポーツ漫画が並んでいた。多くのアスリートのバイブルといっても過言ではない名作だが、なぜか野球漫画はなかった。浴室の隣には洗濯室と乾燥室がある。ユニフォーム以外は自分で洗濯だ。
計30室ある選手の部屋は12畳ほどの広さ。冷暖房完備でベッドと机とテレビ台のみ。
そして、何よりも心強いのは新しく就任した田村次夫寮長(58)の存在だ。「食事の面だけは厳しくします。特に朝8時からの朝飯は大事なので、厳しくします。どれだけ食べられるのか食事の様子をチェックします」と選手たちの母親代わりも務める。昨年までは2軍トレーナーを務めていた田村寮長。「マッサージ?大変だから揉まないよ(笑)」と言いつつも、寮で佐々木のマッサージすることも可能であることを明かした。
新しい生活リズムに徐々に慣れ、11日からはZOZOマリンスタジアムで新人合同自主トレに参加する佐々木朗希。
“令和の怪物”がいつの日か「201号室」から大きく羽ばたく。