「もし異業種タッグを組むならどんなパートナーになりますか?」
吉野屋とライザップ。
人気ゲームとスニーカーブランド。
そして、トヨタ自動車とソフトバンク。
ジャンルが異なる企業が手を組む、異業種タッグ。今や当たり前となったこの企業同士の化学反応が、新たなサービスや価値を生み出している。
そこで、「FNN Live News α」は、企業のトップが集まる経済3団体の新年祝賀パーティーで「もしも組むとしたらどこなのか」をトップたちに聞いた。
「ANA」×「鉄道」
2019年は、“シェア旅”や“アバターサービス”など航空事業以外のサービスを発表したANAホールディングス。
ANAホールディングス・片野坂真哉社長
「MaaS」ってご存じですか。
鉄道と飛行機がつながって、アプリで地方の電車、バス、鉄道、そして空港から飛行機と一貫したサービスをアプリでつなげていくという「モビリティ・アズ・ア・サービス」というものがキーワードになると思う。
これからはいろんな技術でお客さまをシェアしていく、つながっていくというコネクティビティもキーワードであり、単なるライバルから協力していくということがカギだなと思う。
「すかいらーく」×「物流」
人手不足や消費増税、脱プラスチックなど、さまざまな変化を求められている外食産業の「すかいらーく」は「物流」とタッグ。
すかいらーくホールディングス・谷真会長兼社長
毎日、物が届くという日本のインフラの整備をわれわれ自身も物流業界とタッグを組んで、しっかりと改善し、日本の成長につなげていきたいと思う。
1つはすかいらーく独自のネットワークを拡大していくこと。それからわれわれは毎日3,000店のお店に運んでいますから、それを地方全体でネットワークを利用した上で運んで差し上げられる物は日本企業全体に対して貢献できることではないかというふうに思う。
物流に投資する可能性もあり得る。物流の再編がこれから始まる。
「東芝」×「先端医療」
経営再建を進めている東芝は、「先端医療」とタッグ。
東芝・車谷暢昭会長
東芝は今年、がん治療に関する診断のキットで、血液1滴で99%、ステージ0から2時間で判定できる技術を開発した。今年から実証を開始しようと思っている。
「がんは治せる病気にしていきたい」と話す、車谷会長。
東芝・車谷暢昭会長
今はエネルギーとか社会インフラとか、そういった形であるが、今後は通信セキュリティーや医療、診断の分野とか治療といった新しい東芝の部分というものを今後10年で大きくして、伝統的な東芝と合わせて発展させたいと思う。
「おもてなしローソン」×「デジタル」
また、人手不足にともない、店舗の省人化に力を入れる小売業は…
ローソン・竹増貞信社長
5Gも駆使して、簡単に客もストレスフリー、店もストレスフリー、(夜間帯の)無人でもしっかり販売できる、そして昼はしっかりと店の人がいて、みんなが温かく使える店舗、そういったことをデジタルとおもてなしを融合させて作っていきたい。その象徴を“デジてなし店舗(デジタル+おもてなし)”として、今年の五輪前に作っていきたい。
日本ならではのおもてなしを、今後の事業拡大の鍵として挙げた企業のトップはほかにも。
「メルカリ」×「小売り、店舗」
メルカリ・小泉文明会長
重要なのは、そこにいる店の方々のおもてなしというか“サポート”。
スマホのユーザーが徐々に40代~60代に広がっていったりだとか、20代~30代の方でも実は使いこなせていない方も結構いる。そういう方にテレビCMで15秒、30秒で“使ってください”と言っても、途中で脱落してしまうので、むしろこういう店舗のおもてなしで“こうやったらもっと出品できますよ”と、最後に誰か背中を押してもらえると使うきっかけになると思っているので、キャッシュレスもおそらく小売りであるとか、店舗を持つ方々との連携が必要。
「健全な治外法権」をどれだけ認められるか
三田友梨佳キャスター
異業種タッグ、様々な組み合わせがありましたが、成功に導くためのポイントはどんなところになりますか?
(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏
本来企業が協業を考える際に、本業とのシナジーとか本業の周辺領域で新しい事業を興したりとかイノベーションを目的として行うことが多いと思います。その取り組みを成功させるカギは「健全な治外法権」をどれだけ認められるかだと思う。
例えば本業に近い領域の新しい事業が成長してきたとき、もともとあった本業のビジネスモデルが崩壊したり、本業にとって脅威になったりすることがあると思う。
そのときに新しい取り組みに対して制約をつけるのではなくて、自由でフェアな中で競争して市場に認めてもらうことのみにいかにコミットできるか、経営陣がしっかりコミットできるかが大事だと思います。
三田友梨佳キャスター
「健全な治外法権」の成功例はありますか?
(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏
私がもともといたリクルートという会社では、フロムエーという求人サービスがあったにも関わらずタウンワークという新たな求人サービスを立ち上げた。この二つはフェアに競争させることによってタウンワークが一気に成長して会社全体が成長しました。
三田友梨佳キャスター
そうでしたね。
企業のトップに話を聞くと、やはり今年の経済において東京オリンピックがカギになることは間違いないが、その特需をいかに会社の成長につなげるかが重要でそのためには異業種とのタッグなどを通じてそれぞれの強みやテクノロジーを駆使していくことが大切とのことでした。オリンピックをどのように次の時代の新展開につなげていくかが問われているようです。
(「Live News α」1月7日放送分)