若者に人気のスマホゲームを悪用

冬休みを迎えた子どもたちのスマートフォンに、思わぬ危険が忍び寄っている。

12月中旬、福岡県の中学生に大麻の購入を呼びかけるメッセージが届いた。メッセージの送り主が中学生と接触するために悪用したのが、若者に人気のスマホゲーム「荒野行動」。

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中2男子A:
学校で流行ってて、よく休み時間に話が出ます

約100人のプレーヤーが同時に対戦するこのゲーム。問題の大麻購入を勧めるメッセージについて、福岡県の中学に通う娘を持つ保護者の元には注意喚起のメールが届いていた。

大麻の売買になぜゲームが使われたのだろうか?

見ず知らずの相手から届くメッセージ…プレーヤー検索機能も

親のスマホで毎日2時間、このゲームをするという中学生にゲーム画面を見せてもらうと、そこにはたくさんのメッセージが表示されていた。

――これはみんな知っている人?

中2男子B:
いや、知らない人ですね

――返信したことはありますか?

中2男子B:
返信したことはないです

これらのメッセージの多くは、同じゲームの誘いなのだが、ほとんどが見ず知らずの相手だという。

――両親はゲーム中でのやり取りを知っている?

中1男子:
親が知ってる時もあるし、知らないでやってる時もある

さらに、画面上の「付近の人」という検索機能を利用すると、近くにいるプレーヤーが表示される。実際に操作してみると、中には14mと至近距離のプレーヤーも出てきた。

本来はゲームをより楽しむためのこれらの機能が、大麻購入の勧誘に悪用されてしまったのだろうか?

アプリ通じた交流に潜むリスクを子どもに伝えることが大切

ITジャーナリストの高橋暁子さんは、子どもたちがアプリを通じて不特定多数と接する中にリスクが潜んでいると指摘する。

ITジャーナリスト・高橋暁子さん:
悪用する大人側からすれば、近くにいる会いやすい子どもを狙ってフレンドに追加していくことができるようになります。子ども側はゲームで一緒に協力してくれたから、助けてくれたからということで、誘いに乗って会いに行きやすくなるリスクが高くなると思います。知らない人と交流するリスク、直接会いに行くリスクを子どもにしっかり伝えていく必要があると思います

実は、今回悪用された「荒野行動」には、iOSでは17歳以上、Androidでは16歳以上と年齢制限が設けられている。アプリの制限はスマホ側の設定でも行えるため、iOSでは「設定」の「コンテンツとプライバシーの制限」から利用できるアプリを12歳未満に制限することが有効だという。

ITジャーナリスト・高橋暁子さん:
長期休暇は(冬休み)、子どもが普段とは違う大胆な行動をしがちですから、ネットで知り合った人と直接会ったりしないか、子どもがいつどこに行くのか、誰と会っているのかをある程度、把握しておいた方が安心だと思います

Live News it!のスタジオでも…

加藤綾子キャスター:
今のゲームは、単純に遊べる場ということだけではなくなっていると。悪用されるケースがあるということですよね

フジテレビ 風間晋解説委員:
2015年前に発生したパリ同時多発テロ事件では、犯人グループはゲーム機を通信ツールに使いました。ネットゲームのチャット機能は当局の盲点だったわけです。今は未成年者までターゲットになりつつあるわけですから、絶対に素早い対策が必要です

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
私はこういうゲームがあることを知らなかったです。知らない親もいますよね

加藤綾子キャスター:
ネットワークに対するリテラシーを大人側が上げていかないと。ここ最近、起きる事件などでは、子どもの方が知っている場合ということがよくありますよね

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
子どもにも危険性があるということは絶えず伝えていかないといけませんね

(「Live News it!」12月26日放送分より)

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