小中学生の体力テスト「残念な結果」に…

12月23日、スポーツ庁からいわゆる体力テストの結果が発表された。正式には「全国体力運動能力運動習慣等調査」という。

この目的は子供の体力状況を全国的に把握、分析して、改善を図るために行われている。対象は小学校5年生、中学2年生の約200万人で、2008年度から毎年実施されているものだが、今回の結果は非常に残念なものだった。

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詳しく見ていくと、実技テストの項目は握力、上体起こし、そして50m走など、8項目の実技で行われている。

この8項目の体力合計点の平均値が小中学生の男女とも昨年度から比べて低下していた。中でも、今回、小学生の男子は過去最低を記録してしまった。

短距離も持久走も走る運動能力が著しく低下

詳しく実技別で見ていくと、特に中学生男子の持久走も大きくガクンと低下していて、急落といって差し支えない。

持久走だけではなく、短距離を見ると、小中学生の男女とも例えば5年生の男子では9.37秒の50m走が9.47秒になるなど、短距離もタイムが低下しているのだ。全体を見ると、短距離も持久走も「走る運動能力が著しく低下」してしまったということなのだ。

運動習慣については、学校の授業以外で運動時間を見ていくと、1週間の運動時間が学校の授業で7時間以上という割合が減少している。特に男子の低下幅が多くなってきている。

運動の部活動の週平均活動時間というのも連続して減少していて、簡潔に言うと運動する時間や機会自体も減少していることが今回の調査で分かってきた。これが体力低下の原因の一因ともいえる。

背景に「スクリーンタイム」の長時間化

その背景にあるのは主な理由は「スクリーンタイム」と呼ばれるテレビやスマートフォン、ゲーム機などを視聴する時間が増加していることが挙げられる。特に小中学生の男子が長時間化している。

縦軸が体力テストの合計点、そして横軸がスマートフォンなどを見るスクリーンタイムの長さなのだが、小学生の男子で平均して5時間以上観るという人もいる。このグラフを見ると、小学生の男子も中学生の男子も「スクリーンタイムが長くなればなるほどこの体力の合計点が減っていっている」という相関関係が分かる。

「運動しなさい」ではなく「運動は楽しい」と思える仕組みを

この理由は今に始まったことでもないが、ここにきて体力低下は一体何が起きているのだろうか?

為末大氏:
やっはり1つ大きいのは、「じゃあ運動しましょう」と言って公園でボールを使っていいのかといういろんなものの制限が大きいのもあると思う。また、このぐらいの時期に運動を好ましいと思っていないと、生涯にわたって運動しない傾向にある。長い目で見ると健康寿命とか医療費にも関係してくる。また、もう1つは運動しない習慣が出てくると、この後に学力にヒットしてくると思う。だから、運動をしてほしいが、「しなさい」の方向ではなくて、運動したくなるように社会が何できるか、「運動は楽しいよ」という仕組みを作れるかが大きい思う。

(Live News it! 12月23日放送分より)