傾向を知ってコミュニケーションをスムーズに

国が違えばコミュニケーションのスタイルに違いがあって当然。
今回は特にアメリカのコミュニケーションスタイルにはどのような考え方が背後にあって生まれているのか、またどのような違いがあるのかをお伝えします。

「日本人は…である」「アメリカ人は…である」と一概に決めつけることはできないにしろ、「…と比べて…の傾向がある」と知っているだけでコミュニケーションをスムーズにおこなう上で役立つでしょう。

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目下にも丁寧語で接する

アメリカ社会は平等・対等・フレンドリーを道徳的な規範としていますが、現実は大きな格差が存在しています。
その格差は個人の責任として正当であると考えられ、アメリカではいたるところでファーストネームで呼び合い、カジュアルな会話をし、アメリカ人は階級のない社会を目指す一方で、経済面を伴う社会的な階層をはっきりと意識しているそうです。
目上、目下にかかわらず、ファーストネームで呼び合いながらも、相手の年齢に関係なく一定の丁寧さで話し、その表現の仕方に男女(性別)の大きな違いがありません。

他方、日本人は目上、目下で言葉を使い分けることが多いです。目上には敬語、目下には「~して」「~だよ」などのくだけた話し方をします。日本人にとっては日常的で気にも留めない事でも、アメリカ人は不快に感じやすいので気をつけたいですね。もし、部下や目下の外国人に依頼するときは、年齢に関係なく同等の丁寧さで話すほうがよいでしょう。

謙遜は自分を卑下する人格としてマイナス評価

遠慮や謙遜で人格が上がるのが日本社会ですが、アメリカ人にとっては理解しがたい表現だそうです。なぜなら、謙遜はそのまま言葉通りの意味に受けとられ、自分を卑下する人格としてマイナスの評価になってしまうからです。

日本人は、ある調査によると、10歳前後を境に「謙遜」という表現方法を身につけていくそうです。謙遜できるという事は、大人に一歩近づくことを意味します。年齢を経るに従って遠慮がちになることは、日本人独特のコミュニケーション能力を獲得しているということを表しています。しかしながら、アメリカ人に「能ある鷹は爪を隠す」は通用しません。遠慮して自分を低めて表現することは受け入れがたいと考えるようです。

また、日本人にとって遠慮に思える「NO」も相手が「NO」と言うなら、それは言葉通りの「NO」であって、遠慮や謙遜ではないので、言葉通り受け止めてしつこく聞いたり勧めたりしないのが賢明です。

相手を尊重しながら率直に表現

多様な文化や民族からなるアメリカ人は伝えたい事は言葉にして伝える。ものごとの理由を説明するのが基本で「言わなければ分からなくて当然」と考えています。

会社の会議やセミナーなどで日本人ばかりだと活気に欠ける、自由に発言しない傾向があるのでしょうか。そして、なぜ活気に欠けてしまうのでしょうか。日本人は大勢の前では特に自分の意見は押し伏せてしまいがちです。
例えば、「質問がありますか?」と聞かれてもその場では聞かず、終了後に聞きに行く、または自席に戻って調べる、という人を目にしたことがあるのではないでしょうか。質問や意義の表明傾向においては、アメリカ人はその場で挙手して質問する人が多く、日本人は、その場では近場の人に聞いたり、会が終わった後で質問に駆け寄る人が多いということです。

アメリカ人の質問の仕方は「自分の認識はこうだが、間違っているのでしょうか?」という聞き方をするそうです。
異論があるときも相手を批判することなく、まず自分が正しいかどうかを尋ねる配慮があると感じます。率直に表現する国民だからこそ相手を尊重しながら議論する術を知っているのだと思います。

移民社会が基となる多民族・多文化社会

日本社会も集団主義から個人主義に変わりつつあると言われていますが、調和を重んじ、自分だけの意見を主張することにまだまだ消極的な国民性だと感じます。
アメリカは独立宣言で「自由と平等」が唱えられ、移民社会が基となり多民族・多文化社会が築き上げられてきました。個人主義とは個々に都合のよい身勝手な文化ではなく、相手を尊重しつつ自己を実現していくことです。外国人のコミュニケーションスタイルからその国の文化背景が見え、国民性を理解することができます。
今回述べた3つの傾向から、異文化コミュニケーションをスムーズに行うためのヒントになれば幸いです。

参照文献:『英語コミュニケーション力ー暗黙のルール22』,滝沢謙三/滝沢カレン,2009.2

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