「個人的な利得を優先させる者が存在」

不適切な契約が問題となっている「かんぽ生命」。その社内調査を行っていた特別調査委員会が12月18日に結果を発表した。

特別調査委員会 伊藤鉄男委員長:
顧客の利益よりも自己の個人的な利得等を優先させる者が存在していた

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その後に行われた日本郵政グループの会見は紛糾した。

日本郵政 長門正頁社長:
これ以上でもこれ以下でもないと一回申し上げました。以上です。

記者:(怒号)
今日のは会見と言えるんですか?

「かんぽ生命」による不適切契約。会見でどこまで明らかになったのか。

「かんぽ生命」による不適切な契約が明るみに出たのは2019年6月。
新旧の契約を重複して結ばせ、保険料を二重払いさせていたケースや、契約を結び直す際に古い契約と新しい契約の間に一時的な無保険状態があったケースなど、顧客に不利益が生じた疑いがある契約が問題となった。

かんぽ生命 植平光彦社長:
お客様の信頼を損ねた点につきまして、深くお詫び申し上げます。

法令・社内規約違反の疑いがあるケースは倍増

「かんぽ生命」は9月に調査の中間報告を発表し、法令や社内ルールに違反している可能性があるケースは6327件としていた。
しかし、12月18日の調査報告では…

特別調査委員会 伊藤鉄男委員長:
約1万2836件については顧客の申告通りであれば、法令または社内規則に違反する疑いが認められました。

9月の中間報告の段階から、法令・社内規約違反の疑いがあるケースは倍増。そのうち法令違反と認められたのは48件、社内規則違反と認められたのは622件だった。
また違反の疑いがある契約に加入した顧客は、7割以上が60歳以上で、85%が女性であることも発表した。
不適切契約の背景について調査報告では…

特別調査委員会 伊藤鉄男委員長:
販売実績を上げる手段として、不適切募集が黙認されるという風潮が形成され、各地に伝播していった。

保険募集状況の録画・録音で再発防止策を

また再発防止策の1つとして、「保険募集状況の録音や録画」を挙げた。
その保険契約時の撮影をすでに導入しているのが、全国に150以上の支社がある太陽生命。
こうした取り組みについて太陽生命の社長は…

太陽生命保険株式会社 餐庭稔将支社長:
テレビ電話をつないで録画させていただいている。いわゆる募集の“可視化”です。

保険の勧誘は営業担当などが行うものの、契約の段階になるとテレビ電話をつなぎ、本社のスタッフが加入者に契約内容を確認する。
その映像を録画し、記録として残す。加入者が希望すれば、確認することもできるという。

太陽生命保険株式会社 餐庭稔将支社長:
契約者・ご家族の方から、大変安心できる制度だという評価をいただいております。

5年前のテレビ電話導入以来、加入者からの苦情も減少したという。

特別調査委員会の調査報告後には、日本郵政グループ3社による会見も行われた。
記者からの経営責任に関する質問に対して…

日本郵政 長門正頁社長;
しかるべきタイミングで改めて発表を申し上げたい。辞任とおっしゃいましたけれども、そういう方法論だけではないと思います

として、辞任については明言を避けた。

調査報告とグループ3社による会見について、「かんぽ生命」の加入者という人たちに聞いてみると…

女性:
ここまで大きいことになっているんだったら、辞任した方がいいと思います。

男性:
自分も不適切契約の中に入っている可能性があるので、それを至急確認してみようかなと思います。
きちんとしてもらわないと困る。

「かんぽ生命」・日本郵政に一部業務停止命令の見通し

金融庁は、「かんぽ生命」と日本郵便に対して、12月27日にも一部業務の停止命令を下す見通しだ。
保険評論家の山野井良民さんによると、「かんぽ生命」と日本郵便に一部業務の停止命令が下された場合は、日本郵政グループには保険商品の販売再開までさらに時間がかかることで、大きなダメージになるということだ。
一方で保険金の支払いなどは行われるため、すでに加入している人への影響は少ないという。

(「めざましテレビ」12月19日放送分より)