一体なぜ?「東京五輪の個人出場を1種目に制限する案」

東京オリンピックで金メダルを取るために個人競技への出場を制限する案が浮上!?…一体なぜなのか?陸上・男子100mの日本記録保持者サニブラウン・ハキーム選手からは異論も出ている。

サニブラウン・ハキーム選手
自分が最高のパフォーマンスできるよう頑張るだけかなと思うので、これからも練習を1日1日大事にしていければと思います

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日本陸上競技連盟の麻場一徳強化委員長が12月16日説明したのは、東京五輪の100mまたは200mの代表選手はどちらか1種目のみの出場を原則とする案。

そのココロは「リレーで金メダルを狙うため」だという。

今や日本のお家芸といっても過言ではない陸上男子400mリレー。正確なバトンパスで一躍世界のトップに立ち、2016年のリオ五輪でも銀メダルを獲得している。

元JOCスポーツアナリスト 春日良一氏:
はっきり言ったら、日本陸連が金メダルを取りたい。金メダルを狙うための貢献したいということだと思います。

実は最短で中休みゼロというタイトな競技日程が組まれているため、400mリレーのメンバーの体力的負担を軽減するのが目的だという。

中でも大きな期待を寄せられているのが、100mで9秒97という日本記録を持ち、200mでも歴代2位の記録を持つサニブラウン・ハキーム選手(20)だ。日本陸連の発表にサニブラウン選手は…

サニブラウン・ハキーム選手:
ぶっちゃけて言うと、まずは個人100m・200mしっかり出てからのリレーかなと思っているので。やっぱり自分のやりたいことを最初にやらせてもらった方がパフォーマンスも上がりますし…

こうした案に街では…

賛成の人
全然いいんじゃないですか、戦略だから…

反対の人
やっぱり「出たい」って言うなら選手の意見を尊重すべきじゃないんですか?

選手と陸連の双方の希望がかなう方法はないのか?

ここで問題となっているのが陸上の競技日程。

2020年8月1日に100m予選、2日に100m準決勝と決勝が行われ、わずか1日空けて4日に200m予選と準決勝、5日に200m決勝が予定されている。さらに翌6日にはリレーの予選が行われるというかなり過密なスケジュールとなっている。

また、個人2種目出場をめぐっては、2017年の世界選手権で、サニブラウン選手が立て続けに100mと200mに出場するも、その後のリレーを欠場。

同様に、これまでも複数の個人種目に出場した海外の選手がコンディション不良となり、リレーを欠場している例があるのだ。

元JOCスポーツアナリスト 春日良一氏:
基本的には、五輪とか世界選手権に出る選手を選ぶのは、選手が所属している競技団体になるわけです。それぞれの種目でトップになった選手が、その種目に出られないという選考基準は前代未聞です

では、選手の要望も日本陸連の狙いも両方満たせる道はあるのだろうか?

元JOCスポーツアナリスト 春日良一氏:
競技日程を変更してくださいとか、修正してくださいということは、言ってもおかしくないことだと思います

実は、1996年のアトランタオリンピックでは、過密とされた男子200mと400mの競技日程を変更し、両種目に出場したアメリカのマイケル・ジョンソン選手が2冠を達成したという例もある。

選手側、日本陸連側、それぞれの思いが交錯する個人出場種目の制限案。今後の方策について専門家は次のように指摘する。

元JOCスポーツアナリスト 春日良一氏:
選手第一主義を貫かなければいけないと思うので、選手の気持ちというのもを大切にしてあげる方向で調整していかなければいけないと思います

めざましテレビのスタジオでも…

三宅正治キャスター
考えてほしいのは、オリンピックというのは誰のものかということですよね。僕は絶対的にアスリートだと思うので、これを連盟がその選択肢を狭めるというのは果たしていかがなものかと思いますね

日本陸連は今回の案について、確定ではなく、継続的に審議を進めて3月の理事会を目処に決定する見通しだとしている。

(「めざましテレビ」12月17日放送分より)