「地産地消」の木製ストロープロジェクト

木製ストロー
木製ストロー
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紙のような薄い木から作られる、細長い筒。
この日、神奈川県横浜市で行われていたのは、木製ストローを導入するホテルとの打ち合わせ。
説明するのは、プロジェクトの仕掛け人で環境ジャーナリストの竹田有里さん。

横浜ベイシェラトン・西村節子マネジャー:
木のストローの耐久性はどれくらいですか?

環境ジャーナリスト・竹田さん:
5~6時間ぐらいは持ちます。

横浜ベイシェラトン・西村マネジャー:
1回の食事の使用には十分な時間ですね。

環境ジャーナリストの竹田有里さん
環境ジャーナリストの竹田有里さん

ホテル「横浜ベイシェラトン」では、すでにストローを紙製にしているが、2020年は木製ストローも導入するという。

その理由について、横浜ベイシェラトン・西村マネジャーは、「今回は横浜産の木のストローを使うところが大きなポイントになった」と話す。

横浜ベイシェラトン・西村マネジャー
横浜ベイシェラトン・西村マネジャー

この木製ストローのポイントは、地産地消
材料の木は山梨・道志村のものだが、村の山奥には横浜市の水道の水源地があり、その水源の森は横浜市が管理している。
山林の傾斜は急で、細く弱い木が増えすぎると、土砂崩れなどが起きるため、間伐が欠かせない。

 
 

横浜市水道局水源林管理所・温井浩徳所長:
だいたい、これで直径35cmくらい。

間伐した木は、横浜市の所有物。その一部を、横浜市でストローに加工して使う。

 
 

適切な森林管理と障害者雇用

 
 

間伐材は製材され、長さおよそ30cm、薄さ0.15mmにスライスされる。
これを、横浜市内の障害者を雇用する企業がストローに加工。
1本1本、手作業で接着剤を塗り、筒状に丸めていく。

 
 

日総ぴゅあ・市川洋子サーバントマネジャー:
専属スタッフ6人全員で動けば1日500本。月20日働くので、約1万本くらいの生産体制を整えています。

日総ぴゅあ・市川洋子サーバントマネジャー
日総ぴゅあ・市川洋子サーバントマネジャー

プロジェクトを進める竹田さん:
この木のストローをきっかけに、適切な森林管理ができていくという防災面という面でも、1つきっかけになるのではないか。障害者の方の雇用、福祉という面でも促進されるものである。

 
 

一方で、木のストローには課題も。
それは、現在1本50円という単価で、プラスチックや紙の物より割高。
そんな課題を解決する試みも始まっている。

アキュラホーム
アキュラホーム

地元で採れた材木を地元で作って消費…それが一番のエコ

アキュラホームでは、接着剤を塗った材料を金属棒にはさみ、ローラーをセットしてスイッチを押すと一瞬でストローが完成する。

アキュラホーム・宮沢俊哉社長:
いろんな方々に声をかけ、いろいろ試作をして、私共も予算を組んで社会貢献費として出すのだが、試作が出来上がると全然使い物にならなかった。

この機械化の試みは、1年ほどかかってようやく今、材料を巻くところまでたどり着けたという。

アキュラホーム・宮沢社長:
地元で採れた材木、そして地元で作る、地元で消費することが、わたしは一番のエコだと思う。

アキュラホーム・宮沢俊哉社長
アキュラホーム・宮沢俊哉社長

プロジェクトを進める竹田さん:
量産化することによってコストを下げていく。それによって、より多くの方々に手に取って使ってもらいたい。

プロジェクトを進める竹田さん
プロジェクトを進める竹田さん

コスト面の課題はあるが、高付加価値と障害者雇用の推進を

三田友梨佳キャスター:
木のぬくもりを感じるデザインで結構固くてしっかりしています。山崎さんいかがですか?

コミュニティデザイナー・山崎亮氏:
木の香りがすごくするので今までのストローの概念とは違うなと感じます。

三田友梨佳キャスター:
飲んでみると木の香りはそれほどしないですよね。

コミュニティデザイナー・山崎亮氏:
そうですね、しっかりしていますね。

山崎亮氏
山崎亮氏

三田友梨佳キャスター:
すぐにふやけそうな感じもしませんが、この試みをどうご覧になりますか?

コミュニティデザイナー・山崎亮氏:
脱プラスチックというのは絶対に進めなくてはいけないことでして、ストローは特に軽い、小さいということで風に吹かれて川や海に流れていってしまう。これを少しずつ変えていかないといけない。今回、間伐材を使っているということですから、林業の中でも大切な位置付けになると思いますし、障がい者の雇用にも繋がるという良いことずくめだと思います。できればこのストローも捨てずに再利用できる方法を今後見付けられたらいいと思います。

三田友梨佳キャスター:
価格は1本50円、紙ストローは1本約10円未満ということで少し高いと感じる方もいるかもしれませんね。

コミュニティデザイナー・山崎亮氏:
そうですね。価格を少しずつ安くしていく努力も必要かもしれない。一方でこれはプラスチックで作っていたストローとは別の物であると考える。コストがかかるからやめておこうという言い訳をしないような別のブランディングとかコミュニケーションを付けながら高付加価値ということで障害者雇用などもうまく進めていかれるといいと思います。

 
 

三田友梨佳キャスター:
ストロー1本ぐらいと思うかもしれませんが、身近にあるものですから一人一人がそこから地球を考えるきっかけとなればその役割は計り知れないなと思います。

(「Live News α」12月12日放送分)