イギリス総選挙 最大の争点は「EUからの即時離脱」

イギリス議会下院総選挙の投票が12月12日に始まる。ジョンソン首相が推し進める「EUからの即時離脱」の是非が最大の争点だ。

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最新の政党支持率では、ジョンソン首相率いる与党・保守党が43%、最大野党の労働党は34%。9ポイントの差があるが、ここへきて労働党が追い上げを見せていて予断を許さない情勢だ。

しかも他の主要政党をあわせて「EU即時離脱」に賛成か反対かで分けると、賛成は保守党と離脱党合わせて46%、反対は労働党と自民党合わせて46%となり、過半数をめぐり、まさに大接戦になっている。

イギリス国内でもスコットランドの議席獲得予想ではEU残留を主張する地域政党・スコットランド民族党がスコットランド全議席の7割、41議席を獲得するのではないかとみられている。

スコットランド民族党はEU残留を主張するだけでなく、もしも離脱が決まった場合にはEUに残るためにイギリスから独立すべきだという。

スコットランドはなぜ強くEU残留にこだわるのか?

そこには日本でも人気の特産品の存亡もかかっていた。

「離脱」となればスコットランドの特産品にも影響が!?

スコットランド南西部アイラ島で生産されるスコッチウイスキーは、独特の強い香りが特徴だ。

スコットランド最大の都市グラスゴー市内のウイスキーバーを訪れてみると、棚には750本ものボトルが置かれていて大勢の人たちがスコッチウイスキーを楽しんでいた。

スコッチウイスキーはスコットランドから輸出される食品や飲み物の約70%を占める特産品。今回の選挙の結果「EU離脱」となれば、大きな影響を受けると予想される。

現在、同じEU圏内の輸出にはかからない関税が、離脱によってかかることになれば、売り上げの落ち込みが懸念されているからだ。

スコットランド自治政府・マッキー議員:
EU離脱は、スコットランドのすべての貿易に損害を与える。ウイスキーも例外ではない

スコットランド民族党・マクローリン候補:
今回の選挙で極めて重要なのは、スコットランドの(将来を決める)“決定”は、スコットランドの人々か?イギリス政府か?誰が下すのかということだ

そして、ジョンソン首相の与党・保守党が、この選挙で過半数を獲得しEU離脱が実現すれば、スコットランドの独立問題が再燃する可能性もある。

スコットランド民族党・マクローリン候補:
スコットランドの63%が残留を望んでいる。我々はヨーロッパ人だ。(スコットランド以外のイギリスの)他の地域は離脱を選んだ

スコットランド独立支持者:
この選挙に勝たなくてはならない。スコットランド民族党に投票する

イギリスの総選挙は、日本時間の13日午後には大勢が判明する見通しだ。

(Live News days 12月12日放送分より)

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