プロのスキルをお手頃・お手軽に売買出来る!広がる「スキルシェア」のビジネス活用

カテゴリ:ビジネス

  • 個人の知識・経験のシェア ビジネスでも活用
  • 新商品リリースの際に利用するケースも
  • 背景には人手不足なども

専門家と、専門家に相談したいヒトをマッチング

使っていないモノや場所などを共有する新しい経済のかたち、「シェアリングエコノミー」。
その中でも、個人の知識や経験などをオンラインなどでやりとりして共有する「スキルシェア」のビジネス活用が本格化しつつある。

コニカミノルタでは、新規事業を手がける「ビジネスイノベーションセンター(BIC)」が2019年10月、「KOTOBAL」というタブレットを使った多言語通訳サービスを発表した。これは、金融機関や行政窓口などでの通訳サービス。

「KOTOBAL」の開発に携わったコニカミノルタの小笠原堂裕さんは、銀行での通訳サービスにニーズがあるとの仮説を立てていたが、社内では当初「ネットバンキングの普及などで、銀行店舗が減っているのに本当にニーズがあるのか?店舗向けのサービスは難しいのではないか?」という反対意見もあったと言う。
そこで「スポットコンサルティング」というスキルシェアサービスが役に立った。
これは、知見をもつ専門家と、相談をしたい人をオンライン上でマッチングするサービス。
すでに医療機関向けの多言語通訳サービスは展開していたが、金融機関などの異業種への売り込み方法等について、マッチングされた3人の専門家にヒアリングした。
1人は、メガバンクのシステム部での勤務経験がある60代男性。「サービスを導入する立場」からの意見を求めた。
60分の電話でのやりとりでは…

コニカミノルタ側;
「通訳サービスを必要とする外国人が銀行にやってくるのか?」
「来ないとしても、銀行がサービスを導入してくれる可能性はあるのか?」

元メガバンク勤務の男性;
「銀行ではIT投資を積極的に行っている。業務効率化をITで出来ると提案するとよい」
「外国人に対応しないといけない一方で、それによって業務が止まることを銀行は嫌がっている。このシステムが、その課題を解決することをアピールするとよい」

等々、アピールすべきポイントまで聞くことができたという。
これらのアドバイスが、反対意見もあった社内での説得に役立ったという。

コニカミノルタでは、このほかにも調剤薬局で勤務する2人の男性に、スポットコンサルティングで意見を聞いた。

コニカミノルタ 小笠原堂裕さん;
短時間で適切な意見をくれる専門家を見つけることができるので、今後も新サービスの開発などで活用したい

このスポットコンサルティングを提供する「ビザスク」によると、相談したい人と専門家とのマッチングは、この3年間で約10倍に増えているという。
最近ではコニカミノルタのように、専門家への相談を踏まえて商品をリリースするケースも少しずつ出てきているそうだ。

ビザスク広報 小川晶子さん;
シニア層の専門家登録も多く、大手企業の開発に定年後でもスポットコンサルティングを通じて携わることができる

人手不足や新規事業立ち上げ増加が背景に

同様の動きは、他のスキルシェア・サービスにも現れている。
「ココナラ」は、個人の知識・スキル・経験を売買するプラットフォームを運営している。
これまではアマチュアの副業としての出品が多かったが、今後はプロの専門スキルの出品を増やし、企業がビジネス利用できるように、より一層の環境整備をしていく考えだ。

プロの専門スキルを、企業が本業に活用するケースはすでに出てきている。
例えば「ワンカップ大関」などの酒類を扱う「大関」では、小売店や飲食店に設置する販促物のデザインを、「ココナラ」のスキル出品者に制作してもらった。
さまざまな出品者から選べることや、手頃な値段で気軽にオンライン発注できることなどが決め手となったという。

マネジメント教育などを手がける「ビジネス・ブレークスルー」でも、新サービスの立ち上げに当たって、「ココナラ」のスキル出品者に、ロゴやチラシの制作などを依頼した。専門性の高い業務を、直接デザイナーやライターにすぐ発注でき、限られた時間で迅速に作業を進めるために好都合だったという。

こうした背景から、「ココナラ」では『プロ認定制度』を設けた。
『プロ認定制度』は、「ココナラ」内外での品質・評価・実績があり、本人確認・機密保持確認などの認証がとれた人に、認定を行う制度。
制度ができたことで、法人が求めるスキルが集まるようになったという。
今では、CM音楽を制作する作曲家や、プロミュージシャンの楽曲を手がける作詞家、企業の大型案件で実績をもつデザイナーなどの登録もあり、プロの登録数は約120人にのぼっている。

「ココナラ」が企業のビジネス利用に力を入れるのは、各社で人手不足や新規事業立ち上げが増え、課題解決に外部のスキル活用が必要不可欠となっているためだ。2019年4月に開設した法人向けサイトは、アカウント登録数が11月までの半年あまりで、1500近くとなっている。
「ココナラ」では、スキルシェア分野の潜在市場規模を年間5.2兆円と見込んでいる(情報通信総合研究所「スキルシェア市場規模に関する調査報告書」2019年10⽉より)。

ココナラ 南章行社長;
アマチュアの副業だけ成り立つマーケットではなく、プロ認定者と法人利用者のマッチングの場にもなってきている

「スキルシェア」のビジネスでの利用が、市場の成長加速につながるか注目される。

(フジテレビ報道局経済部 西村昌樹記者)