ダウン症には「強い感受性」や「豊かな思いやりの心」という特性があることはあまり知られてなく、「かわいそう」という目で見られてしまう人も少なくない。

ダウン症(正式名称:ダウン症候群)とは、体細胞の21番染色体が1本多く存在し、計3本(トリソミー症)を持つことによって発症する先天性の症候群。

身体的発達の遅延や特徴的な顔つき、軽度の知的障害(個人差あり)があり、出生頻度は約1000人に1人と人類史上最も多い遺伝子症候群と言われている。

しかし、自分の家族や親戚などにダウン症の人がいない限り、当事者と直接触れ合う機会は滅多にないだろう。

差別のない社会に!

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NPO法人アクセプションズで理事長を務める古市理代さんは、ダウン症の息子を育てる過程でさまざまな社会の壁にぶつかった。

その多くは、ダウン症についての「不理解」が原因だった。

古市さんは「ダウン症のある子どもが生まれて、私は息子の存在を隠さず生きてきました。ただ、なかなか現実は難しいところがいっぱいあった」と語る。

例えば、早期の療育が重要とされる中で支援内容に地域差があったり、就学時に本人が通常学級を希望しても、積極的に受け入れてくれる公立校は少ないのが現状だ。

中には、自治体や教育委員会から「他の児童に影響がある」と言われたり、母親が終日学校に付き添うことを求められるケースもあるという。

“知ってもらえれば、壁もなくなるはず”と、古市さんは7年前、ダウン症の人と一緒に歩くアメリカのチャリティーイベント「バディウォーク」を日本で初めて開催。勉強会やワークショップなど、さまざまな交流の場を作ってきた。

また、240人の障害者を雇用しているパソナハートフルの見学会も行われた。

この企業では、ダウン症などの知的障害を持つ人がパン作りや郵便物の仕分け、商品の梱包作業などを行ない、業務の実績によっては正社員になれる人もいるという。

さらに、アーティスト社員として専門教育を受けながら、絵画の制作に携わる人も。作品は販売やレンタルもされていてる。

この見学会に参加したダウン症の子どもを持つ親たちから「会社の雰囲気が全体的によかった」や「将来的にどういう形で社会に就労していけるか知ることができた」といった声が上がった。

「『残念ながら、お子さんはダウン症です』とか、『すみません』という言葉で始まる誕生や人生ではなく、『おめでとう、ありがとう』と言えるような、差別のない社会になってほしい」と古市さんは語った。

NPO法人アクセプションズ
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