電車の改札口はICカードの登場でかなりスムーズに通れるようになったが、今度は「顔パス」になるかもしれない。

大阪府内を走る「大阪メトロ(「大阪市高速電気軌道株式会社)」が、改札を「顔認証改札」に変えるべく、12月10日から大阪メトロの社員を対象に実証実験を開始したのだ。

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この「顔認証改札」のシステムは、利用者が改札を通過する際に備え付けのカメラで顔を撮影し、顔の特徴点のデータを本社のサーバーに送信。事前に登録された顔写真と照合し、承認されれば改札機の扉を開ける未来型の改札で、全国の鉄道会社でも初の導入とのこと。

実証実験では、長堀鶴見緑地線の 「ドーム前千代崎駅」、中央線「森ノ宮駅」、堺筋線「動物園前駅」、御堂筋線「大国町駅」の4駅に、4企業の協力のもと、それぞれ異なる顔認証改札口が設置された。
12月10日から2020年の9月30日まで、社員1200人が参加して実証実験を行うという。

「顔パス」となると便利そうではあるが、例えば、マスクをつけている場合は正確に認証が出来るのか、電車賃はどうやって支払うのかなど疑問もある。
大阪メトロの広報に伺った。

「今の段階ではマスクで鼻が隠れると正確に認証できません」

――今回、顔認証改札口の導入を検討されたきっかけは?

お客様へのサービスの向上が第一目的です。顔認証改札と同時に、専用のQRコードを読み取り機にかざすだけで改札を通過出来るQR改札も実験を始めています。これらを私どもは「次世代改札機」と呼んでおりまして、いずれは両方の改札を並行してご利用いただけるようにしていきたいと思っています。

――素朴な疑問だが、マスクをしている人や双子などは正確に認証出来る?

12月9日の記者発表の際もマスコミの方に試していただきましたが、今の段階ではマスクで鼻が隠れてしまうと正確に認証することが出来ません。また、双子やよく似た顔の方の判別も難しく、今後改良を繰り返して、いずれはこれらの問題も解消したいと考えています。

現時点ではマスク姿は正確に認証できない
現時点ではマスク姿は正確に認証できない


――また、他の地域の人や外国人など、写真を登録してない人はどうなる?

もちろん、それらの人々は次世代改札を通ることが出来ませんが、その場合は切符やICカードで通る改札口をご利用いただければ。

――では切符やICカードが使える従来の改札口もまだ無くならない?

そうですね、並行して使えるようにしたいと思っています。

「順調に調査が進んでいます」

――12月10日から社員の方が実証実験に参加しているとのことだが、実験は順調?

はい、現在は「大阪メトロ」のおよそ1200人の社員の方に同意して貰って参加いただいておりまして、順調に調査が進んでいます。来年9月末までデータを取っていきたいと思っています。また、お客さまの中には登録した個人情報の管理などで不安を感じる方もいらっしゃいます。今後の実用化に向けお客さまの個人情報は、ルールを整備し厳格に取り扱い、利便性や安全性の向上に取り組んで参ります。

――この顔認証改札機が実用化された場合、乗車賃はどういう形で支払うことになる?

まだ検討段階なのですが、顔写真を登録する時に運賃が決まっている一日乗車券や定期券の運賃をお支払いいただくなどを想定してます。将来的には、あらかじめ登録した口座からの引き落としなども検討していきます。



大阪では2025年に大阪万博の開催を控えているが、大阪メトロは2024年度に全駅で顔認証によるチケットレス改札の導入を目指し、今回の実証実験で実用化に向けた課題抽出や検討基礎データを取得するとしている。

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。