ブロッコリーについている“白い粉”は何? 「農薬じゃなく新鮮な証」野菜のプロが徹底解説

カテゴリ:国内

  • ブロッコリーについている“白い粉” SNSで「農薬なの?」と話題に
  • “野菜のプロ”が反論の投稿…詳しくお話を聞いてみた
  • 正体は「ブルーム」という“新鮮さの証” 「むしろ付いているものを選んで」

「これって農薬?」 野菜が水を弾く理由が話題に…

表面がカサカサと粉をふいているように、白っぽくなった野菜や果物を見かけたことはないだろうか。
例えば、ブロッコリーやブドウなどを思い浮かべていただくと分かりやすいだろうが、実は今、野菜などに付いたこの“白い粉”が話題となっている。

(画像はイメージ)

発端となったのは、Twitterにアップされた、ブロッコリーを洗剤で洗う動画
動画ではまず、ブロッコリーの白っぽい表面が水を弾く様子を見せ、虫食いができないように農薬やワックスが使われていると説明。
その後、“野菜用洗剤”で表面を洗ったブロッコリーに水が染み込み、“農薬が取れた”とする様子を見せたところで動画は終わっている。

(画像はイメージ)

これに対し、園芸植物やガーデニング用品の輸入・販売などを行っている株式会社国華園の公式Twitter(@KOKKAEN_PR)がこの動画を引用し、「表面の白い粉は断じて農薬やワックスではありません」と反論のコメントを投稿。

“白い粉”の正体について「ブルームという、果実から自然に分泌される天然物質で、もちろん人体にも無害です」と解説した。

国華園の公式Twitterより

この解説には「ブルーム」を知っているユーザーから「洗剤で洗うなんてびっくり」などの反応が寄せられる一方で「初めて知った」「この動画だけ見たら農薬だと信じてしまうかも…」という声も挙がり、5万件に迫るリツイートで拡散。

「ブルーム」が意外に知られていないということが浮き彫りになったので、国華園のTwitter担当者にお話を伺ってみた。

“白い粉”は「新鮮な証」

――改めて、「ブルーム」とは何?

植物自身が分泌する天然物質です。成分でいうと「蝋」です。 植物が自分を守るために作るバリアのようなもので、水分の蒸発を抑える効果があります。
食べる直前に洗い流しても特に問題はありません。逆に、洗わずに食べてしまってもまったく問題はないです。味や栄養には関係しません。ブルームは流水でも簡単に落ちます。


――「ブルーム」を農薬と間違える人は多い?

白い粉が吹いたように見えたり、ブロッコリーですとブルームがついていると水をはじきますので、勘違いされている方はとても多いようです。お問い合わせをいただくこともありますので、毎回説明させていただいております。


国華園によると、やはりブルームを農薬と勘違いしている人は多いそう。
たとえば、ブドウの写真を見てみると、ブルームが取れた場所はつやつやとした紫色の皮が見えており、確かに「表面についた農薬がきれいに取れた」ように見えなくもないが…反対に、ブルームは少し指で触っただけでも取れてしまう繊細なものだということから、むしろ新鮮な野菜や果物の証になるという。

国華園の公式Twitterより

国華園はこれに関して「ブルーム付の果物や野菜を見つけたら、ラッキー新鮮!!!と思ってむしろ選んで買うべきなんですよ~」とコメントしているが、一方でブルームの見た目を嫌う消費者も多く、キュウリなどは「ブルームレス」と呼ばれる、ブルームが付きにくいように改良された品種も登場しているのだという。


――「ブルームレス」の野菜が作られているというのは…

市場のニーズに応えるという意味では自然な流れだと思います。ブルームレスの品種は少し皮が厚いかもしれませんが食味の差はそこまで大きくはないです。ただ、消費者に知識があれば本来必要のない改良でもあると思っています。

農薬を落とすため「ゴシゴシ洗う」必要はなし

野菜の表面についている“白い粉”が農薬ではないことはわかったが、同時にこの一連の投稿に対して挙がっていたのが、農薬への不安。
「ブルームを洗わなくていいのは分かったけれど、よく洗わないと農薬が心配」という声もあったが、実際にブルームと混同されていた「水を弾くのは農薬のせい」ということはあるのだろうか?


――実際に農薬が表面についているせいで水を弾く、ということはある?

そもそも果物や野菜などの植物は水を弾きます(雨の時、その辺の木の葉に、水はしみこんでいかないでしょう?)。基本的に農薬もそのまま撒いたのでは弾かれてしまって残らないので、植物にちゃんと農薬がくっつくように「展着剤」を使います。それでも、雨が降ると流されてしまうので、農薬を散布するのは晴れが3日続く時を選んだりします。ですので、農薬自身が流水で洗っても取れずに水を弾く、というようなことはまず起こらないでしょう。雨でも流されにくくなる展着剤もありますが、「流されにくい」というだけで、そのうち流れてしまいます。

リンゴの表面の“テカテカ”もブルーム(画像はイメージ)

――では、表面をゴシゴシ洗わないと農薬が取れない、ということはあり得る?

ないです。これは残留農薬の基準が厳密に法律で決められています。

「輸入物は怖い」「農薬まみれ」というリプライもいただいていたんですが、国産と輸入品で基準が異なるということはございません。同じ基準で流通しています(ただ、食べても影響はないとはいえ多少は残っているかもしれないことと、単純に汚れやほこりを落とす方がいいので、食べる前に流水で洗った方がいいとは思います)。

おそらく、栽培中に散布する農薬と、収穫後にかけられる農薬、いわゆる「ポストハーベスト」がごっちゃになっている方が多いのではないかなと思います。ポストハーベストは浸透性があるので、そもそも流水で洗おうが洗剤で洗おうが、すべて落とすことは不可能です(もちろん、こちらも残留基準が決められています)。そういう意味では、国産を選んだ方が残留農薬を摂取する機会は減るでしょう。


お話を聞いた上でわかったのは、野菜や果物が「水を弾く」のは農薬のせいではない、ということ。
また、国華園は野菜が洗える洗剤で洗うこと自体は否定していないが、「ブルームは農薬やワックスとは違う」ということ、また、「野菜や果物に洗剤で洗い流すほどの農薬が残っていることが滅多にないこと」を強調している。

他にも“勘違いされやすいこと”を教えてもらった

こうして詳しく聞いてみると、意外にも知らないことが多いように感じた野菜や果物に関する話。
国華園の公式Twitterは今回のブルームに関する動画に「こういう誤った知識が広まるのは本当にやめてほしいです」とコメントしていたが、他にも我々が勘違いしがちな現象はないか、最後に聞いてみた。


――ブルームの他にも、勘違いされやすいことはある?

(1)大根やニンジンなどの先端が分かれて2つか3つになっていたり、トマトやイチゴなどがいびつな形で実ることがあるのですが、これが放射能汚染によるものだ、みたいな投稿を見かけることがあります。写真を見る限り、単なる土の中の石などに当たっただけだったり、低温障害や肥料のやりすぎ、受粉不良など栽培上のエラーです。
(2)ししとうがたまに辛いのは、栽培上のストレスが原因です。食べても問題はないですが、辛いです。
(3)さつまいもやかぼちゃはとれたてを食べたのに美味しくないと言われることがあるのですが、新鮮なカボチャやサツマイモは、まだ食べごろではありません。収穫後しばらく寝かせることによってでんぷんが糖に変わって甘くなっていきます。

我々が当然と思っていてもそうではないことも多く、他の方のツイートを拝見して、あ、これあまり知られていないのかな?というようなことを見つけたらツイートするようにしています。


――今回の反響について…

これほど広まるとは思っていませんでしたが、ブルームは悪いものではないというとことが多くの人の目に留まったことは嬉しく思っています。
基本的に国内で販売されている野菜や果物に健康を害するほどの何かが残留しているということはまずないので、あまり気にせず好きなものを美味しく食べて頂いたらいいのではないかと思います。

そういえば白菜が美味しい季節ですが、1玉食べきれないし大きすぎて冷蔵庫にも入らない、というときは、下の部分をくりぬいて濡らしたティッシュを詰めて、全体を新聞でくるんで涼しいところに立てて置いておくと割と長持ちします。


最後に豆知識もいただいたが、大きな反響を呼んだ一連の投稿。
ぜひ正しい知識を身につけて、美味しく新鮮な野菜を選ぶ手助けにしてほしい。