体罰に関する指針案を発表

厚生労働省が親の体罰に当てはまる具体的な行為などを明記した指針案を12月3日に初めてまとめた。指針案を目にした親たちは…

1歳5か月の子の父親(36):
全部これ体罰なんですか?

3児の母(54):
しつけってじゃあ何?となってしまいますよね。

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2018年3月に東京・目黒区で起きた船戸結愛ちゃんの虐待死事件などをきっかけにしつけを名目とした児童虐待を防ぐため、2019年6月に可決され、2020年4月に施行される改正児童虐待防止法。

これに先立ち、まとめられた体罰の具体例。罰則は盛り込んでいないが身体に苦痛、または不快感を引き起こす行為はどんなに軽いものでも体罰に当たるとされている。

体罰として指定されている具体例としては…

1 口で3回注意したが言うことを聞かないので、頬を叩く
2 大切なものにいたずらをしたので長時間正座させる
3 友達を殴ってケガをさせたので、同じように殴る
4 他人の物を盗んだので、罰として尻を叩く
5 宿題をしなかったので、夕ご飯を与えない

体罰の指針案を見た親たちの反応

厚生労働省がまとめた体罰に関する指針案に記載されている具体例をまだ知らない街の親たちに体罰について質問してみた。

ーー5つの具体例のうち2020年から法律で禁止となる体罰はどれだと思う?

3児の母親(40代):
2と5かな。

ーー1、3、4については体罰ではないと思う?

3児の母親(40代):
一概に手をあげることが絶対にいけないとも思わないかな。叩かれて、痛みから思い出してくれる事もある。

1歳5か月の子の母親(33):
全部禁止してもいいと思うけど。叩くとか、ご飯を与えないとか、親の感情というかしつけに全く関係ないと思うので。

ーー何回注意しても聞かない場合はどうしますか。

1歳5か月の子の父親(36):
じゃあ叩くかな。

1歳5か月の子の母親(33):
叩くの!?

1歳5か月の子の父親(36):
事前に次に聞かなかったら叩くよと言って。

ーー次やった時に叩くよと言って叩いた場合はしつけ?

1歳5か月の子の父親(36):
難しいな。

1歳5か月の子の母親(33):
わたしはそれはちょっと反対かな。

9歳の娘の母親(34):
3と5ですかね。

ーー1、2、4は?

9歳の娘の母親(34):
これくらいなら私もやられてきた事があるので。

ーーやったことあるもの、ありますか?

9歳の娘の母親(34):
1はやったことがあります。もう何回注意しても、聞かないときとか。

自身の子供時代の経験などから手を出すこともありうると語る親もいた。これに対し、専門家はこう指摘する。

NPO法人新座子育てネットワーク代表理事 坂本純子氏:
しつけの為の体罰をやむを得ないという風潮はまだまだ日本の中には多いです。おしりをたたくまではセーフという解釈の親御さんもいまだにいらっしゃいます。

罰が目的ではない行為は体罰に当たらない

一方、指針案では「道に飛び出しそうな子供の手をつかむ」、「他の子供に暴力を振るうのを制止する」など、罰を目的としていない行為は体罰に当たらないとしている。

しかし、こうした指針案について当の親からは…

9歳の娘の母親(34):
線引きが難しいかなっていうのはあります。制限されると親も叱るに叱れなくなっちゃう部分もあるんじゃないかな。

どう子供と接したらいいのか…という、戸惑いの声もあった。指針案では「子供の気持ちを受け止めること」、「良いことをしたら、すぐに褒めること」などを提案している

また、体罰を具体的に示すことについてこんな声もあった。

3歳の娘の母親(42):
今でも結構、子育ては母親の方が負担が大きいと言われているじゃないですか。さらにプレッシャーをかけられちゃうと逆に母親をやめたくなる人も増えちゃうかも。

(「めざましテレビ」12月5日放送分より)

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