兵庫・尼崎市で11月27日午後5時ごろ、「神戸山口組」の幹部で、傘下組織「三代目古川組」の古川恵一総裁(59)が自動小銃で10発以上銃撃され、死亡した。

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銃撃した男は現場から車で逃走。その後、京都市の路上で見つかった際、警察官に拳銃を突きつけたため、銃刀法違反などの容疑で現行犯逮捕された。

逮捕されたのは、「山口組」傘下の元暴力団組員・朝比奈久徳容疑者(52)。

事件当時、古川幹部は親戚が経営する飲食店で食事をしていた。そこに朝比奈容疑者が現れ、古川幹部を外に連れ出すと、すぐさま自動小銃を10発以上発砲したという。

現場近くにいた人は「動かない。手も足も大の字で寝たまま。お店の前で倒れているという感じ」と当時の様子を話した。

街中での犯行に衝撃が広がる

今回の事件があったのは、尼崎駅から500mほどのところにある商店街の一角…マンションなどが立ち並び、27日夕方も買い物客や帰宅途中の人がいたという。

現場近くの人;

パンパンパンってちょっと間を空けて、5回か6回ぐらいかな。すごい響いてましたね。金属音みたいなガシャーンって音

28日朝、現場近くの小学校では、児童に付き添う多くの保護者の姿が…

小学生の保護者;
すごく怖かったですね。帰りも学校が終わってから連れて帰ると思います

人通りも多い住宅街に響いた、乾いた銃声。それは、軍隊でも使用される自動小銃によるものだった。

凶器となった自動小銃は、軍隊や自衛隊などでも採用されているもの。弾薬が自動的に装填されるため、間を置かず連続して撃つことが可能で、高い殺傷能力を持つという。

今回の事件では、日本では一般に出回るはずのないこうした凶器が使われた。その背景には、山口組の分裂があると見られている。

山口組の分裂騒動が背景に...過去にも事件が起きていた

全国最大の暴力団である「山口組」は2015年8月に分裂し、一方が「神戸山口組」を結成。さらに2017年4月神戸山口組から離脱した勢力が「任侠山口組」を立ち上げ、「山口組」「神戸山口組」「任侠山口組」の三つ巴の対立が激化しているのだ。

古川総裁が神戸山口組系の幹部だったのに対して、逮捕された朝比奈容疑者は、山口組系の組員だったという過去もある。

また、山口組と神戸山口組をめぐる事件は、これまでも起きている。

2019年8月、神戸市の防犯カメラに映った、フルフェイスのヘルメットを被る人物。この際に銃を向けたワゴン車には、山口組系の組員が乗っていた。ヘルメット姿の人物は窓越しに発砲しそのままスクーターで逃走している。

さらに10月、神戸市で今度は神戸山口組系の組員2人が銃撃される事件も発生した。現場を偶然通りかかった、車のドライブレコーダーの映像には、「パン」という銃声音が鳴り響いたあと、路肩に横たわる人物が。その脇には、仲間とみられる面々が「救急車!」などと助けを求める姿が映っていた。

山口組をめぐっては2019年10月、今後の抗争のキーマンとされるナンバー2、高山清司若頭が出所。

司忍組長とともに、組織を束ねるナンバー1とナンバー2が5年ぶりに揃ったことになる。このタイミングで起きた事件は、今後の抗争をどう左右することになるのだろうか。

これまで以上の取り締まりが求められる

加藤綾子キャスター:
自動小銃が住宅街で使われたことが恐ろしいんですけれども、そもそもそういった銃が出回っているということ自体も、本当に恐ろしいですよね。

ジャーナリスト・柳澤秀夫氏:
自動小銃はそもそも戦争のときに使うもの。暴力団が持っていて、実際に住宅街で使ったとは正直ものすごくショックです。暴力団抗争は刃物を使ったり、拳銃を使ったりというのは一般のパターンだったと思うんですけど、こういうものを使い始めたということは、抗争そのもののフェーズがちょっと変わったのかなという印象を持ちます。そう考えると、暴力団に対する対策も必要なんですけれども、こういったものが海外から入ってきていることは十分想定されますから、水際での取り締まりもこれまで以上にしていく必要があるんじゃないかなと思いますね。

フジテレビ・風間晋解説委員:
容疑者が捕まった際に、拳銃も持っていたわけですよね。拳銃を持っていたにもかかわらず、あえて自動小銃を使ったというところは、やはりメッセージ性があると思うんですよね。これだけ殺傷能力が高いものを持ってるぞということを見せようとしたのかなと思います。

ジャーナリスト・柳澤秀夫氏:
至近距離だと、自動小銃使う必要ないですからね。

フジテレビ・風間晋解説委員:
至近距離だと扱いにくいし、隠しにくいですから。

ジャーナリスト・柳澤秀夫氏:
メッセージ性は確かにありますよね。

(Live News it! 11月28日放送より)