2019年も残りわずか。
この1年、Twitter上でもさまざまな投稿が話題となり、数万にわたってリツイートされる“バズる”体験をした人もいるだろう。

ただ、“バズりたい”という願望はあってもそうなるのは一握りで「実際バズったらどんなことが待ち受けるのか」は経験したものにしかわからない。
ということで、2019年に自分史上 最高にバズった投稿者に、当時体験したことからその後に起こった変化までを取材した。
バズ未経験者も是非参考にしてほしい。

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“謎キャラ”の3D化が約9.3万のリツイート

皆さんは、大学入試センター試験の“謎キャラ”を覚えているだろうか。

2019年1月19日と20日に行われたセンター試験の初日19日に行われた英語のリスニング問題1問目で、「漫画の新しいキャラクターを決めたい」男女が英語で交わした会話を聞き、答えとして最も適切なキャラクターのイラストを選ぶという問題が出題された。

注目を集めたのはその選択肢のイラスト。なんと、手足と羽が付いたリンゴのキャラ、手足と羽が付いたニンジンのキャラ、腕の力こぶが特徴的なキュウリのキャラ、腕の力こぶが特徴的なブドウのキャラ4種類がイラストで登場したのだ。

(関連記事:センター試験に出た“謎キャラ”にネットざわつく…作成者に出題意図を聞いた

当時掲載された”謎キャラ”(画像提供:独立行政法人大学入試センター)
当時掲載された”謎キャラ”(画像提供:独立行政法人大学入試センター)
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このシュールなイラストがネットをザワつかせる中、寺井(@c_alex_x)さんが、この“謎キャラ”を3D化したものをTwitterに19日の夜にスピード投稿。
おそろしく立体的に見えるが、3Dプリンターを使ったのではなく、Blenderという無料の3DCGソフトでレンダリングした3DCGだという。寺井さんは、2年ほど前から3DCGを趣味で始めたといい、普段はグラフィックなどとまったく異なる仕事に就いているそうだ。
 



この投稿に対し、「何故ベストを尽くしたのか。」「行動力やばw」「お仕事が早い…」という称賛のコメントが相次ぎ、寺井さんの元には当該画像をヘッダーに使用したいという申し出まで殺到。結果、12月初旬までに、約9.3万のリツイート、約28万のいいねといった、大変大きな反響を呼ぶこととなった。

スピーディーな作業と、確かな技術でバズった寺井さんだが、投稿時はここまでの反響を呼ぶと予想していたのだろうか? また、バズったことで何かその後の変化はあったのだろうか?話を聞いてみた。
 

「100リツイートくらいいけばいい方だと」

ーーバズの発端となった「謎キャラクター」を3D制作したときのことを聞かせて。

もともと趣味で3DCGを制作していましたが、ちょうど作っている3Dモデルがなく、「次に何を作ろうか?」と思っていたところにセンター試験の謎キャラクターが話題になりました。

イラストを見たところ、そこまで複雑なデザインでもなかったので、「これならすぐ作れそうで面白いんじゃないか」と思って制作した次第です。また、個人的に英語学習も趣味でしているので、題材も英語関係でちょうどいいと思いました。
 

ーー投稿は9.3万リツイート、28万いいねを集めたが、このくらいバズると当初予想していた?

予想はしていませんでした。100リツイートくらいいけばいいほうだと思っていました
 

ーーこれは今までで最高のバズり体験なの?

はい、今までで一番です。
 

 
 

フォロワーが500人くらい一気に増えた

ーー「あ、バズった!」と感じた日に、どんなことがあったか教えて。

フォロワーが500人くらい一気に増えたほか、Twitterの通知が止まらなくなりました。
 

ーー通知が止まらなくなった結果、Twitterが重くなったり、バグってしまったり、勝手に落ちるなどの異変は起こった?

そういった不具合はありませんでした。
 

ーー今でもその人たちのフォローは続いているの?

あまり細かい数値は把握していませんが、一気に増えていったあと徐々に減っていったので、すぐにフォロー外した人も何割かはいたと思います。
 

ーー自分の投稿がバズったとき、どんなことを思った?

あくまでこれは謎キャラクターの人気に乗っかってのバズであって、自分の能力で伸びたものと勘違いしないように注意しました。
 

ーーバズって良かったこと、困ったことをそれぞれ教えて。

良かったことは、制作した謎キャラクターの3DがTVで紹介されたり、いろんな人の反応が見られて面白かったところ、困ったことは、Twitterの通知が止まらなくなったことですね。
 

ーー「通知が止まらない」「予想もしないところに広がっている」など、一連のバズを「怖いかも」と感じたことは?

あまり怖さは感じませんでした。寄せられたコメントも好意的なものばかりで安心しました。
 

ーーリプライなど、寄せられた声で印象に残っているものはある?

Twitterに投稿したものを、3Dプリンターで作った実写作品」と勘違いしている人が何人かいたのが印象に残っています。
 

 
 

「しっかりとアピールできる作品づくりをしよう」と思った

ーーバズった前と後で、「仕事につながった」など、現在までに変わったことはある?

特に変わったことはありません。

ーーでは、心境面の変化はあった?

ツイートがバズったとき宣伝をする行為がよくみられますが、当時バズったときに自分には宣伝できるものがなかったんです。2019年は、「こういう時にしっかりとアピールできる作品づくりをしよう」という気持ちになりました。
 

ーー注目を浴びたことで、疎遠になった友人とまたつながるようなことは?

あんまり絡んでいなかったフォロワーさんたちも反応していて、あ、ちゃんとツイートを見られているんだなと思いました。 リアルの友人にはTwitterをしていることは教えていないので、特に反応はありませんでした。
 

ーーその後の投稿内容はバズり前と変わらない? ハードルを自身の中であげてしまったようなことは?

投稿内容は変わっていません。そのため、謎キャラクターの3DCGだけほかの作品と比べて浮いています。
 

ーーこの後、何かの投稿でまたバズったことはあった?

大きなバズではないですが、TOEICの点数を200点台から900点台まで上げたことがあって、そのことを漫画にしたら1300以上リツイートされました。
 



2020年のセンター試験も「注目しています」

ーーまた、大きくバズってみたい…という気持ちはある?

多くの人に自分の作品を見てもらえたらいいなと思っていますが、あまりネタに走らないように注意しようと思います。自分のスタンスは変えずに、多くの人に好きになってもらえるような作品作りをしていけれたらいいと感じてます。
 

ーーところで、2020年のセンター試験も注目しているの?

たまに変な問題が出て話題になるので、そのあたりに注目していますね。また、個人的に英語の勉強もしているので、今度は英語の問題をちょっと解いてみたいとも思っています。
 

ーー最後に、今後初めてのバズりを迎える人にアドバイスを。

変なこと言って炎上しないように注意してください。
 

 
 

9万以上リツイートされ、今までで一番のバズり体験をしたにもかかわらず、寺井さんは「自分の能力で伸びたものと勘違いしない」と、浮足立つことなく、あくまで冷静さを保っていたのが印象的だった。

その一方で、「こういう時にしっかりとアピールできる作品づくりをしよう」と抱負も語ってくれた。いつかバズった時のために備えておくというのは我々も参考になりそうだ。

画像提供:寺井(@c_alex_x)さん

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。