「6.16%」…これは男性の育児休暇取得率を表す数字だ。女性の取得率82.2%と比べると、男性がいかに育休を取っての育児参加をしていないかが一目瞭然だ。少子化は、日本社会の大きな課題と言われる中でも、男性の育休取得が一向に進まないのが現状ということだ。
こうした中、自民党は28日午後、育休の在り方を検討するプロジェクトチームを立ち上げる。初回の会合では、育休制度の現状を厚生労働省からヒアリングする予定だ。これまで党内では、有志議員による『男性の育休義務化議連』があり検討を進めてきたが、男性の育休取得に関し党の組織が設置されるのは今回が初めてだ。
そこで男性の育休取得向上に取り組む自民党議員に、なぜ男性の育休取得を促す必要があるのか聞いた。すると以下の4点の答えが返ってきた。1少子化対策、2出産後の母親の「産後うつ」の軽減、3児童虐待の防止、4家族の絆とQOL(生活の質)の向上だ。
なぜ少子化対策になるかといえば、「休日に夫が家事育児をしない」家庭に比べて、夫が家事・育児に協力すればするほど第二子出生率が高くなり、比較によっては8倍もの差がつくからだ。男性が育児に参加する機会を作れば、子どもを産み育てやすい環境が整えられ、少子化対策にもつながると期待されているのだ。
また出産直後の女性が死亡する理由の第一位が「産後うつ」だ。「産後うつ」は、出産後に女性ホルモンのバランスが崩れることから起こりやすく、母親のケアのため、出産直後に女性の家事・育児負担を減らすための男性の育児参加が必要だと指摘されている。
児童虐待や家族の絆に関しては、夫婦が育児を分担することで、家庭内のコミュニケーション増加が期待され、男性が育休を取得しやすい社会が実現すれば、QOL(生活の質)も向上すると見込まれている。
しかし残念ながら、日本企業の多くでは、いまだに「男性が育休を取りづらい」現状があり、そのことが男性の育休取得が進まない最大の原因だ。政府・自民党が、男性の育休取得を向上させるには、企業の意識改革も必要となりそうだ。
党内では、いわゆるプッシュ型(自動)で育休が取れる仕組み作りを促す声が出ている。また、「企業がどれくらい男性社員に育休を取得させているか開示させるべき」という指摘もある。そうすれば、男性の育休取得を促せると同時に、若者が就職活動をする際の判断基準にもなるからだ。自民党が28日に立ち上げたPTが、男性が「育休」を取れる社会の実現への道筋を築けるかどうか、注目が集まりそうだ。
(フジテレビ政治部 門脇功樹)