販売状況に応じAIが価格を決定 課題は?

11月21日から4日間、幕張メッセで 開催された音楽イベント「EXPERIENCE VOL.1」。
ゆず、ももいろクローバーZなどの人気アーティストたちが競演する中で注目されたのが、音楽イベントでは日本で初めて導入された価格変動制によるチケット販売「ダイナミックプライシング」だ。

このシステムでは、チケット購入者は好きな座席を選択できるが、価格は販売状況などに応じてAIが決定する。供給に対して需要が多ければ価格は高くなり、逆に需要が少なければ、価格が安くなる仕組み。

 
 
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このイベントでチケット発売直後に2階スタンド席を1万4800円で購入した男性が、イベント間近に同じような席の価格をチェックしたところ、1万円以上もの差がある3900円だったという。

音楽イベントに行った男性:
自分のすぐ近く(のチケット)がいくらぐらいなのかと見た時に、3分の1くらい。こういうことが起こるかと…もう笑うしかなかったっていうのが事実ですね。最初が高すぎたのでみんなが敬遠しまくって、これだけ値段が下がっていった感じですよね。早いもの負けでしたね。

 
 

これにはSNSでさまざまな反応があり、賛否が分かれている。

【否定派】
どんなに楽しかったとしても、ダイナミックプライシングを採用するライブはもう行かない。

【賛成派】
公式チケット2000円とかすごいイベントだよ。もっと全国に広まって欲しい。

主催側は、「前例がないイベントということもあり、初期の価格設定については特に難しかった点だったと考えております。今回の知見を活かして、今後より安心してご利用いただけるよう、より良いサービスを提供していきたいと考えております」とコメントしている。

 
 

今後も大型ライブで導入が決まっている価格変動制。専修大学の青木章通教授は…

専修大学経営学部 青木章通教授:
人気がどんどん上がれば(価格を上げて)より売り上げを上げることができるでしょうし、席が余るならば、価格を低めにしてより多くの人を呼ぶことができる。 ただ、人気のあるイベントだと、高く売り出す。実勢価格に近い価格でチケットを売ることになるので、不正転売の数が減ることが期待されると思います。

ホテル・USJ・家電量販店も導入

街では「聞いたことがない」「知らない」という声が聞かれたダイナミックプライシングだが、実は、お盆や年末年始などホテルの宿泊費や航空券が高くなるのも、このシステムだ。

人気のテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでも導入済みで、12月のワンデーパスの大人料金では、金曜日に7600円の日がある一方、これまでのデータなどから土曜日は9200円となっている日もあり、1600円の価格差があった。

また、家電量販店大手のノジマでは、2019年10月から全店舗で電子パネルによる値札を導入。商品の人気ぶりや他社の動向、在庫などを分析して変動させた最新の価格を表示している。

どのように使われてているのか、人気商品の冷蔵庫で見せてもらうと、電子パネルの右側から徐々に文字が消え、画面が点滅した後、 約40秒で冷蔵庫の値札が最新の価格に早変わりした。

 
 

これによって紙製の値札を作ったり、貼り直す必要もなくなったという。

ノジマ SIコントローラー 富樫澄香さん:
ゆくゆくはAIを導入して、瞬時に価格を変えられるよう検討しています。

今後もさまざまな分野での導入が考えられる次世代型価格決定システム。専修大学の青木章通教授は、「お客さんが価格に納得できない場合は、イベントやアーティストへの不信感につながる恐れもある。初めの価格設定は極めて重要」と指摘している。

 
 

(「めざましテレビ」11月26日放送分より)