こだわりの生産者を消費者が直接応援
信州の自然に恵まれた気候で、こだわり抜いた果物を作る“生産者”と、旬の時期に、いつもと違う食材を食べたい“消費者”。この両者をつなぐ新しい産地直送の形が、売り上げを伸ばしている。
産直で届いた大きなブドウに思わず…
産直システムの利用者:
うわぁ、これは大きい…
長野・須坂市で果樹園「太田農園」を営む太田弘明さん(41)は農業に従事して15年。大きな実のなる黒ブドウを収穫中だ。
太田弘明さん:
これはナガノパープルです。黒ブドウで初めて皮ごと食べられて、種のない品種になりますね
太田弘明さん:
(一粒)500円玉ぐらいにはなってますよね
消費者が“オーナー”となり 生産者から直接商品を受け取るサービス
今新たな形で売り上げを伸ばしているという太田さん。
配送準備中のもぎたてのブドウの送り先は「ukka」というサービスを利用した個人宅だ。
「ukka」は、消費者と農家をつなぐプラットホームだが、単なる販売サイトではない。
消費者が、生産者の年間会員、いわばオーナーとなり、生産者から直接商品を受け取れるサービスだ。
「ukka」を利用し、太田農園の年間会員になった、ある家族。
会員になったきっかけの1つには、生産者である太田さんの“ストーリー”を知ったことだという。
ukkaのユーザー:
見てます(太田さんの)手作り日誌。ブドウとかって最初こんなちっちゃいなんて僕知らなかったんですよね。生育過程みたいなのには、なかなか触れる機会がなかったので面白いですよね。単純にスーパーで買ったブドウだと「ブドウ」で終わっちゃうんですけど、ukkaは 生産者の方の思いが入っているというのはあると思いますね
実は「ukka」に登録している生産者は、日々、食材の生育の様子、そして食材の持つ価値や背景をサイト上に公開。こだわりを伝え、共感するファンをつくることで、生産者が継続的に安定した利益を得られるようになることが大きな目的だ。
太田弘明さん:
これまで『自分が作った』とわかって食べてもらえることはなかったんですよ。ukkaでは名前もわかってるし、今までのリピーターの方の気持ちもあるので、ぜひ、毎年いいものを作ろうと、そういった心意気は年々増していますね
お客さんも生産者も一緒になってやっていく世界が必要
この新たな農業の形は、減少傾向にある農家に、歯止めをかける一手としても期待される。
「ukka」谷川佳社長:
農家さんが持っている技術は本当に貴重な日本の資源だと思っていて。(全体の売り上げの中で)3割、4割、できれば半分くらい直接販売をしてるという農家が出てくると、当然、経営的に利益率の高い経営ができ、ブランドをしっかり持って、それに憧れる農家さんがまた新しく入ってくると。それが地域に広がると、『地域全体で盛り上げていこう』『農業っていいよね』とか、お客さんも生産者も一緒になってやっていく世界が必要だと僕ら思っています。そうしないと、日本の1次産業は沈没すると思っているので…
マッチングとは“潜在的価値”が実現すること
Live News αのスタジオではスポットコンサル会社を経営するコメンテーターの端羽英子さんに聞いた。
三田友梨佳キャスター:
生産者と消費者をつなぐ取り組み、いかがですか?
(株)ビザスク代表取締役CEO・端羽英子コメンテーター:
テクノロジーの進化だったり、起業のハードルが下がることによって、売り手と買い手を直接繋ぐ(=マッチングする)さまざまなプラットフォームが生まれています。私はマッチングというのは潜在的価値の実現と考えていて、今回で言えば、まさに志の高い農家の方が、良いモノであればより高い値段を出してもいいと思う消費者に出会うことによって潜在的価値が実現したと…これは素晴らしいことだと思います
三田友梨佳キャスター:
マッチングの魅力というのは農業に限らないということですよね?
(株)ビザスク代表取締役CEO・端羽英子コメンテーター:
そうですね。今だとクラウドファンディングだったり、シェアリングエコノミーだったり様々なサービスが生まれていまして、中小企業や個人の方が活躍できる機会が広がっています。これで農業に限らずマッチングして潜在的価値がどんどん広がっていくことは良いことだと思います
三田友梨佳キャスター:
単にモノを消費するだけではなくて、生産者のストーリーを知って、生産者とつながりながら消費するというのは、消費の在り方を変えていきそうですし、作り手の意識も変えていくのかも知れません
(「Live News α」11月14日放送分)