農林水産被害は2544億円超

秋の実りのシーズンに各地を襲った台風19号。
農業被害も深刻だ。

台風やそのあとの大雨による農林水産関係の被害額は38の都府県であわせて約2544億円に上る。

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その内訳は、コメやリンゴなどの農作物が約135億円、農地や農業用施設が約1577億円などとなっている。

政府が被災した農家に機械購入費の半額を補助するなどの支援策を打ち出している中、被災した農家の現状と、それを助けようとする動きを取材した。

被災農家は今

米農家・関根文男さん:屋根の上まで水が来ていました。約5メーターぐらい。これは種まき機です。全部ダメです。

1か月前の埼玉県東松山市。
都幾川の堤防が決壊し、米農家・関根文男さん(69)の住宅、倉庫、農機具は水浸しになった。
改めて関根さん宅を訪れると、台風が直撃した当時とほとんど変わらない状態だった。

米農家・関根文男さん:70歳になるので、新たに新しい機会で何百万円出して買ってまで農業を続けるのはつらい。

関根さんによると、政府からの補助金が出ても新たな負債を抱えることになり、高齢の農家は農業を再開するのは極めて困難だと指摘する。

被災農家助けようと新しい取り組み 傷物野菜をレストランで

一方、農家を助けようとする新しい取り組みも。
一般社団法人「野菜がつくる未来のカタチ」では、台風被害が相次いだ千葉県で、雨風により傷物になったトマトやナスなどの野菜や果物を買い取り、「チバベジ」と名付けて、ドレッシングなどに加工したり、飲食店に販売する取り組みを進めている。

被災した農家・稲葉さん:被災して、頭が真っ白に。普段は捨ててしまう野菜、家で食べてしまう野菜を買い取ってもらって、飲食店に出させていただくというのは、非常に助かります。

これまでにチバベジで扱った野菜・果物は5トン以上にのぼる。

一般社団法人「野菜がつくる未来のカタチ」代表理事・安藤共人さん:被災している農家さんから野菜を買い取って販売したり加工品にしたりしています。

異常気象に加え大規模な災害に見舞われた農家の人たち。
高齢化の波が押し寄せる中、復興支援のあり方について新しい視点が求められている。

(Live News days 11月12日放送分より)