中国で白熱する「ネット通販」

11月11日、中国の「独身の日」に行われた、恒例のネット通販各社の大規模セール。

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大手「アリババ」のセールでは開始わずか1分半で1500億円、1時間で1兆5000億円もの売り上げを叩き出し、大きな盛り上がりを見せた。

ネット通販が生み出す現象がエスカレートする中国。
そのひとつが“生中継村”だ。

男性:
ほら見てください!破れません!痕も残りません!


スマートフォンを前に、手にしたズボンを力いっぱい引き伸ばしたり、ドライバーを使って、生地を強く擦る男性。
一方、別の店では椅子を使ってテレビの画面を叩く男性の姿も。

これは中国・浙江省のとある村で日常的に繰り広げられている光景だという。

実は、男性たちの正体は「網紅(ワンホン)」と呼ばれる、中国の“ネットアイドル”
ネットアイドルたちは雇われた店の商品を生中継でアピールし、多額の収入を得ているのだ。

ずらりと並んだスマホの前で撮影するのは、複数の通販サイトに同時にアクセスするため。
とある店主は「中継せずに自分で店やネットで販売しても、売り上げは大きくならない」と語る。

入口の看板に「人気の生中継の村」とあるこの村では、こうしたネットアイドルを雇う店が多く、いつの間にか「生中継村」と呼ばれるようになったという。

目指せアイドル?一獲千金の夢…

“ネットアイドル”になり、一獲千金で貧困からの脱出。
今、中国ではいわば“チャイニーズドリーム”を目指す人が急増し、生中継のノウハウを教える教室も開かれているのだ。

ある教室にゲストとして呼ばれたのは、山奥の農村出身の人気ネットアイドル。
2017年、自分の生活を紹介する短編動画が大ヒットし、ごく普通の村人からフォロワー350万人の人気者になったという。

人気ネットアイドル:
(多い時は)1時間の中継で1万元以上(約16万円)、1日1万元。
(これがなければ)軍隊に行くか出稼ぎに行くか、ずっと地元で牛の世話をしていたと思う。

受講生:
(生中継は)私のような田舎の人間がお金持ちになるためには一番の近道。


農産物などの販売会社を経営する、王文娟さん(35)も“田舎からの成功者”のひとりだ。
この日撮影したのは、泥まみれになりながら主力商品のレンコンをアピールする中継。
王さんは毎日4時間ほど中継し、ピーク時は1日だけで約160万円を売り上げるという。

王さん:
ネット通販の中継は、この村の人たちにとても大きな利益をもたらしています。


中国政府の貧困解消政策の柱のひとつにもなっている、ネット通販による経済発展
売り上げアップのアピール合戦はさらに過熱していきそうだ。

(「Live News it!」11月11日放送分より)