「それって、ホント?」と言いたくなるマナー、多くありませんか?
新入社員のキャトウさんも、そんな“もやもやマナー”に悩まされるひとり。

どんな仕事にもミスはつきものだが、そんな時に先輩・上司世代が頭を悩ませていることが「部下の叱り方」だろう

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ついつい厳しい口調になってしまい、部下は不満顔、あるいは“逆ギレ”、はたまたパワハラ問題に…など、さらなるトラブルを招いてしまうのは避けたいところ。

そこで今回のテーマは…

さっそく、国内外の企業や大学などでのマナーコンサルティングや人材育成などのマナー指導を行っている、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんにお話を聞いた。

西出氏:
大声で怒鳴る
・他の社員やスタッフがいる前で叱る
・お客様や取引先の社員がいる前で叱る
・睨みつける
・背もたれをしながら足や腕を組み、威圧感を与えながら叱る
・上から見下したような表情で叱る

などです。
また、そもそも「叱る」ではなく「怒る」となり、意味が変わってきますが「感情的に叱る」のも好ましくありません。

このパターンを見てみると、他の社員がいる前で叱る・上から見下したような表情で叱る…など、NGポイントが満載。

ついつい感情的になってしまいそうな場面でもこらえて、部下が委縮してしまうような叱り方はグッとこらえて、さらに「言い回し」にも気を付ける必要がある。


西出氏:
「言ってることわかってる?」「なんで出来ないの?」「前にも言ったよね?」
これらは全て、言われた相手が「能力がないと馬鹿にされている気分」になってしまいます。

では、どう言い換えればいいかというと…

・「言ってることわかってる?」 → 「では、これからどのようにしていくのか、聞いてもいいかな?」

このように質問することで、自分が言ったことを相手が理解したかどうかがわかるので、ストレートに「言ってることわかる?」などとは言わないで済みます。

・「なんで出来ないの?」 → 「今、一緒にやってみる?

相手を責めるのではなく、上司は相手を成長させる親的な立場なので、相手を「なぜ?」で責めずに、実際に目の前でやってもらうことで、どこができないのかを一緒に検証し、本人の今後の成長や指導の仕方につなげるのが良いでしょう。

・「前にも言ったよね?」 → 「伝えていなかったら申し訳ないんだけど、これ、前に言っていなかったかしら?(言ってなかった?)」

このように、まずは「自分の勘違いかもしれない」というクッション言葉をつけて、相手に確認をする言い方をし、相手を責めることはしないのが良いでしょう。
他にも「何度も言うけど」「何度も言わせないで」「いい加減にしようよ」なども、好ましくない言い回しです。

西出氏:
気をつけたいのは、

・感情的にならない
・「〇〇さん」と相手の名前を呼びながら会話を進める
・「お疲れさま」などの挨拶を言ってから叱る(注意する)
・目の奥は、優しい愛ある目で
・言葉ははっきりと、表情は柔らかく
・シャキッとした言い方だが、表情は微笑んでいること
・叱るときも「?(疑問形)」をつけて本人に訊く
・「私の見落としかもしれないんだけど…」「もしかしたら、もう完成しているのかもしれないけど…」などのクッション言葉をつける

ことなどです。

また、「ハンバーガー話法」にも気を付けると良いでしょう。
例えば、部下が遅刻してしまった時は…

ステップ(1)褒める+感謝
「今日もいい笑顔でがんばっているね!ありがとう」

ステップ(2)訊く+叱る(注意する)
「だけど、今日も遅刻したんだって? いい加減、もう遅刻はしないようにしない?」

ここで、相手の回答を得ます。相手が「はい」と言えば、本人が遅刻はもうしません、と宣言している。「叱られた・叱った」ではなく、『上司は誘導をかけていくのだ!』

ステップ(3)励ます
「〇〇さんならできるから、これからは遅刻しないようによろしくね!」


また、叱られる側も

・言い訳や反発などのネガティブな思いを捨てる。
・素直に聞き入れる
・反論があっても最後まで聞く。
・指摘を受けた際に「え?本当ですか?」と切り返さない。相手は「私が嘘をいっているとでも!?」と不快に感じます。指摘を受けたときは「申し訳ありませんでした」などのひと言を伝えて「すぐに訂正いたします」など、問題解決に向かってのアクションに前向きに動く。
・叱られたことに対し、いつまでも引きずらない。
・「ご指摘ありがとうございます!」と明るく感謝。

などのことに気をつけると良いでしょう。

西出氏:
叱られる・注意される・クレームを言われることは、「言葉の花束をいただいた」と思うようにしましょう。
とはいえ、なかなかそのような気持ちにはなれないかもしれませんね。しかし、落ち込んでいたり、グチを言ったり、クヨクヨといつまでも気にしたり、マイナスな感情をもち続けていても、自分自身も周囲もプラスにはなりません。感謝と謙虚な気持ちがあれば、成長でき、認めてもらえます。

叱る側も、叱られる側も、双方がプラスの関係になれる、そんな「相手の立場に立ってみる」というマナーの精神を少しでも意識してみると、気がつけば「叱られる」から「褒められる人」になり、上司側も「叱る人」から「褒める人」に変わるでしょう。

人間関係は、双方の気持ち、思いで良くも悪くもなります。まずは、相手の立場に立ってみるというマナー力を意識してみてください。上司は部下の立場にたってみれば、おのずと、どのような言い方をすれば部下を傷つけないかわかることでしょう。マナー力は人間力なのです。


今回の“もやもやマナー”、叱る言葉は「クッション言葉」をうまく使って。

(漫画:さいとうひさし)

参考:『一人でも部下がいる人のためのほめ方の教科書』(中村早岐子 著・西出ひろ子 監修/かんき出版)

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。