洗剤容器の25%に海洋プラスチックごみ
問題となっている海洋プラスチックごみの再利用に、企業が本格的に動き始めた。
日用品大手のP&Gが、11月から販売する食器用洗剤。中身や価格は従来の商品と全く同じだが、注目はその容器。原料の25%に海洋プラスチックごみを使っている。
通常のボトルと比べると、海洋プラスチックごみからできたボトルの方が、少し茶色がかっているが、押してみても、ほとんど固さに違いはない。
国内の日用品メーカーでは初めての試みだという、海洋プラスチックごみのリサイクル。
原料となるプラスチックごみは、全て国内の海岸で回収したもので、重さにして約6トン。細かく砕いて再生し、55万本の容器を生産した。
P&Gジャパン ゾン・シャオファンさん:
やはりこのような深刻化している問題なので、1社の努力ではなかなか改善できない問題だと思います。業界の皆さんも含めて、あるいは日用品業界以外の方々にも一緒に取り組んでいただけたら。
2050年にはプラごみの重さが海を泳ぐ魚の総重量を上回る
深刻化するプラスチックごみによる海洋汚染。
環境省によると、全世界で毎年、海に流入するプラスチックごみは約800万トン。2050年には、ごみの重さが海を泳ぐ魚の総重量を超えるとされている。
ヨーロッパに続いて日本の消費者の意識にも変化
リサイクルのほかストローを紙製のものに変えるなど、プラスチックごみそのものを減らす取り組みも進む中、アパレル大手の三陽商会が2020年から国内で販売を始めるのは、一見、普通のアウター。
しかし、再利用したペットボトル100%からできている。
スペインのブランドが販売しているという、このアウター。
1着あたり130本から150本の捨てられたペットボトルから作られていて、ほかにも鞄や靴など、海洋ごみを原料とするさまざまな商品を展開している。
三陽商会執行役員 慎正宗さん:
ヨーロッパでは、非常に消費者の意識が高まっていて、このニーズは今後、日本にも必ず来ると思っていて、消費者のニーズとか意識というのは着実に変わってくると思う。
2020年7月には、プラスチック製のレジ袋の有料化が義務付けられる予定で、今後、さまざまな分野で対策が本格化するとみられる。
ペナルティーとインセンティブの組み合わせで対応を
三田友梨佳キャスター:
世界的にこういった動きが加速していますが、日本が果たすべき役割はどういったものでしょうか?
ブルー・マーリン・パートナーズ(株)山口揚平代表取締役:
まさに世界的なことでして、海は繋がっているので一国や一メーカーがやっても仕方なのないことなんです。小泉環境相の腕の見せ所だと思います。世界のリーダーシップをとってもらいたいです。
三田友梨佳キャスター:
具体的にはいかがですか?
ブルー・マーリン・パートナーズ(株)山口揚平代表取締役:
やはりペナルティーとインセンティブをうまく組み合わせて、個人の方には、例えば空きカンを入れると10円出てくるといったようなインセンティブをそれこそキャッシュバックを行い、企業に対しては、かなり厳しい懲罰的なものを提供していかないといけないと思います。
三田友梨佳キャスター:
そういった中で倫理的な行動がより求められるのかなと思いますが、かつては毛皮のコートにステータスを感じる時代もありました。今は動物愛護の観点から、そういった意識も変わってきていますよね。
ブルー・マーリン・パートナーズ(株)山口揚平代表取締役:
そうですね。ニューヨークではフォアグラを食べないというのもありますね。
またエシカルなものを使った商品が高い価格で売れたり、それは品位や知性の象徴になるケースです。
そういうものを使うことによって社会的信頼を作ることができ、信用主義の社会の中で強い力を持つので、そういう人が増えると良いと思います。
三田友梨佳キャスター:
他の誰かが解決してくれるのを待つのではなく、利用する私たち一人一人も積極的に実践する必要があります。
(「Live News α」11月6日放送分)