元“ヤングなでしこ”選手が詐欺未遂容疑で逮捕 今、幅広い層に特殊詐欺の受け子勧誘の魔の手が…。

カテゴリ:国内

  • 11月1日、元“ヤングなでしこ”の井口祥容疑者が詐欺未遂の疑いで逮捕
  • 井口容疑者は、特殊詐欺で金品を受け取る「受け子」役を務めていた
  • 悪徳商法ジャーナリストが「受け子」として狙われやすい人の条件を解説

容疑者は澤穂希選手らと同じなでしこリーグにかつて所属

11月1日、詐欺未遂の疑いで逮捕された井口祥容疑者(27)。注目を集めたのは、井口容疑者の経歴だ。

井口容疑者は、2011年に“ヤングなでしこ”の愛称で知られる、19歳以下のサッカー女子日本代表に選出された元プロサッカー選手。あの澤穂希選手らと同じ、なでしこリーグの「INAC神戸レオネッサ」や「ジェフユナイテッド市原・千葉レディース」に所属し、将来を嘱望される選手だった。

しかし、井口容疑者はケガに悩まされ、22歳の若さで引退。

その後、なぜ詐欺に手を染めることになったのか?
「直撃LIVEグッディ!」は、井口容疑者が現役引退した後の人生を追跡取材した。

選手引退後、警察官を名乗り77歳の男性相手に詐欺未遂

引退から2年後、井口容疑者のSNSでは…。

華やかな私生活の様子が発信されていた。陽気にはしゃぎ、容姿も華やかになっている。

ちょうどこのころから、都内のガールズバーで働き始めたという井口容疑者。
当時、井口容疑者と同じ店で働いていた女性たちを取材すると、仕事ぶりは真面目で、評判も良い。この時点では詐欺行為に加担しているような様子は全く見られなかったという。

井口容疑者は、1年ほどで店を辞め…

「サッカーを辞め、芸能界を第二の人生として選びました!!」

SNSに、芸能界を志すと発信。
しかしその後、2017年8月を最後にSNSの投稿は途絶えている。このころから、知人とも連絡を取らなくなったという。

そして今月1日、詐欺未遂容疑で逮捕された。

警察によると、井口容疑者は男と共謀し、77歳の男性に警察官を名乗って「あなたのキャッシュカードが偽造されている」と電話。キャッシュカードをだまし取ろうとしたが、警戒中の警察官に職務質問され、緊急逮捕された。
警察は、特殊詐欺で金品を受け取る「受け子」役だとみて捜査している。

専門家らが特殊詐欺の仕組みを解説

日の丸を背負っていた“元ヤングなでしこ”が、どのような経緯で詐欺の“受け子”になってしまったのだろうか。スタジオで、詐欺問題に詳しいジャーナリストの多田文明さんに解説していただいた。

倉田大誠アナウンサー:
2015年、プロサッカーを引退した井口容疑者はガールズバーで働き始めました。当時一緒に勤務していたという人から、このような話を聞くことができました。

<井口容疑者が働いていたガールズバーの元従業員によると…>
・(井口容疑者が)ガールズバーを辞めた後、店に「100万円貸してほしい」と相談に来ていたらしい。お金に困っていたようだ。
・1カ月前あたりに電話が来た。もしかしたら今、容疑がかかっている詐欺の仕事に誘われたということを言ってこようとしたのかもしれない。いつもあまり素直に話してくれないので、もうちょっと話を聞けたら良かったと後悔している。

安藤優子キャスター:
多田さんは、なぜ井口容疑者がこのような犯罪に手を染めたと考えますか?

多田文明氏:
これを見る限り、やはりお金に困っていた、稼ぎどころがなかったということじゃないでしょうか。受け子になってしまう人は、本当にお金に困っているという人が多いですから。「お金がないんだ」と、つい自分から発信してしまうと、そういう悪い人が寄ってくるんですよね。

カンニング竹山:
金がないと、価値観がおかしくなってきて、「これは犯罪でしょう」という線が見えなくなってくるんですよね。100万円貸してくれと言ってきた時点で、おかしくなっていたと思いますよ。

倉田大誠アナウンサー:
特殊詐欺グループの場合では、リーダーから指示を受けたリクルーターと呼ばれる人物が、“受け子”や“かけ子”の雇用や指示などを行います。“受け子”とはグループの一番末端で、被害者のところへお金やカードを直接もらいに行く役を担います。この“受け子”を切られてもリーダーは痛くもかゆくもない。いわゆる“トカゲのしっぽ切り”と言われている部分ですね。

安藤優子キャスター:
どういう形でこの役を持ちかけられるんですか?

多田文明氏:
いろんな方法がありますが、SNSとか掲示板で“闇バイト”や“裏バイト”として募集しています。あとは知人経由で「お金に困っているならいい仕事があるよ」と紹介するパターンがあります。

“受け子”として狙われやすい人の条件とは?

倉田大誠アナウンサー:
実は今、“受け子”や“かけ子”になる末端の人物は、なり手が減っています。そのため、あらゆる層が“受け子”として勧誘されているそうです。最近“受け子”として捕まった人の例を見てみましょう。

<幅広い層に広がる“受け子”>
・70代女性からキャッシュカード2枚をだまし取ったとして山梨県の女子高生(18)が逮捕される
・60代女性から220万円をだまし取ろうとしたとして東京都の男子中学生(14)が逮捕される
・80代男性から180万円をだまし取ろうとしたとして大阪市の高齢男性(75)が逮捕される
・80代男性からキャッシュカード2枚をだまし取ったとして神奈川県警の警察官(24)が逮捕される
・70代女性からキャッシュカードをだまし取ろうとしたとして東京消防庁の消防士(24)が逮捕される


倉田大誠アナウンサー:
年齢も職業もかなり幅広くなっています。多田さんに、“受け子”として狙われやすい人について伺いました。

<“受け子”として狙われやすい人は?>
・スポーツ選手
⇒上の命令に忠実に従う傾向があるので、組織の中で動かしやすい
・公務員
⇒身元がしっかりしているのでお金やキャッシュカードを持ち逃げされるリスクが少ない
・中高年
⇒銀行員役などを演じても、若者に比べ違和感がなく見破られにくい


倉田大誠アナウンサー:
まず、スポーツ選手。今回の井口容疑者が当てはまるかもしれません。

多田文明氏:
組織的詐欺なので、上の命令を下に伝えて、下が確実に実行する。まさにスポーツの上下関係が厳しい世界でやってきた人にやらせやすいということです。

安藤優子キャスター:
先輩の言うことは絶対とか、そういう文化の中で育ってきた人は狙われやすい可能性があるんですね。

倉田大誠アナウンサー:
次に、公務員。さきほどの警察官や消防士が逮捕された例が当てはまります。

多田文明氏:
詐欺師にとっては、カードやお金をとって逃げられるのが一番困るわけです。公務員だと逃げようがないですからね。

倉田大誠アナウンサー:
そして最後は、中高年の方。演技という部分で、見破られにくいということですが…。

多田文明氏:
未成年の受け子は確かに多いですが、若い故に社会性がない。「若いし、挨拶もなっていないな」とバレて警察に通報されるケースが多いです。中高年はある程度社会常識がありますから、バレにくいということです。

安藤優子キャスター:
中高年って被害に遭う側の人が多いじゃないですか。だから、よもやこの人が犯罪集団の手先だとは、なかなか疑わないですよね。

カンニング竹山:
詐欺師って、いま日本で起きている社会問題をよく分かっているんですよね。今は、若者よりも高齢者の格差が一番ひどいんです。それを詐欺師は知っているから、中高年に目を向ける。

安藤優子キャスター:
詐欺集団は、こういう社会のひずみのような部分をきわめて巧みに利用して、さらなる大きな社会問題を作り出しているんですね。きわめて悪質だと思います。

(「直撃LIVE!グッディ」11月6日放送分より)

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