福島の海でサーフィンを!

「福島の海でみんなにサーフィンを教えたい!」。
震災で一度は諦めた夢を、避難先の海で叶えた福島県双葉町出身の男性を追った。

CAN DOサーフィン塾代表 前田淳さん:
波のサイズも小さくて、比較的形もいいので、今日はレッスンには最高だと思います

双葉町出身の前田淳さん。2年前、いわき市の岩間海岸で念願のサーフィンスクールを開いた。

CAN DOサーフィン塾代表 前田淳さん:
一人でレッスンやるじゃないですか。一人でここにいるんで、独り言すっごい多いですから(笑)

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国際サーフィン連盟のコーチ資格を持つ前田さん。

CAN DOサーフィン塾代表 前田淳さん:
(波乗りが)出来た時の喜びというのは凄いですね。上手に出来てますね、ああ上手上手さっきより上手いですね

分かりやすい指導が評判を呼び、今では県の内外から多くのサーファーが集まる。

長野から移住してきたスクール生:
(前田さんの指導は)論理的に分かりやすくてこうすればこうなるんだなというのが凄く分かりやすくて面白いです。サーフィンがしたくて(いわきに)来ました。移住したという形です

小学1年生からサーフィンを始めた前田さん。将来は地元・双葉町の海岸でサーフィンスクールを開きたいという夢があった。

CAN DOサーフィン塾代表 前田淳さん:
このマリンハウスの北側に前田川という川がありましてその河口でよくサーフィンをしていました。(双葉の海は)やっぱいるべきだった場所…

しかし、8年前に東日本大震災が発生。福島第一原発が立地する双葉町は全町避難を余儀なくされ、夢を叶える事は出来なくなった。

CAN DOサーフィン塾代表 前田淳さん:
あそこまでの規模の津波が来るとは思ってなかったので、やっぱり絶望感はありましたね

震災後、家族とともに新潟県など避難先を転々とした前田さん。
それでも夢は諦め切れなかった。

CAN DOサーフィン塾代表 前田淳さん:
時が過ぎていくと共に、やっぱり何か自分が出来る事、後はやりたい事が生きがいになればいいなと思って

再出発はサーファーの聖地で

前田さんが再出発の地として選んだのは、サーファーの聖地「ウエストコースト」の呼び名で知られるいわき市の岩間海岸。

しかし、サーフィンスクールの開校には課題もあった。

CAN DOサーフィン塾代表 前田淳さん:
海岸の方にもトイレがない、水道がないという問題がありまして、ちょっと非常に困っていたんですよね

サーフィンスクールに救いの手が

そんな前田さんに手を差し伸べたのが、去年、岩間地区に宿泊交流施設AC館を開業した森正次さんだ。 サーフィンのスクール生は、森さんの好意でトイレやシャワーが利用できるようになった。

宿泊交流施設AC館 森正次さん:
公園の先の電柱のある辺りがかつて震災前にあった私の自宅ですね

震災の津波で7人が死亡するなど大きな被害に見舞われた岩間地区。
森さんも津波で自宅を失い、一時避難生活を余儀なくされた。

宿泊交流施設AC館 森正次さん:
(前田さんの)話を聞いてくうちに同じ被災者だって事が分かりまして、じゃあ一緒に頑張りましょうと。かつてのような岩間町を取り戻していけたらいいなと思ってますね

ここを第二の故郷にして福島の海にもう一度多くの人を呼びこみたいという前田さん。
新天地で新たな夢を見つけた。

CAN DOサーフィン塾代表 前田淳さん:
(訪れる人が)一人でも多く増えてもらえればいいなという思いもあってこの福島県に戻ってきました。初めて今回オリンピックにも選ばれたスポーツ種目としてサーフィン。この岩間からも若い世代のプロサーファーも出していきたいので、(指導者として)努力していきたいと思います

福島の海とサーフィンを愛する前田さんの夢への挑戦はこれからも続く。

(福島テレビ)

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