「漆器職人」が不足…首里城再建に欠かせない技術をどう継承していくのか

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  • 首里城再建のために必要な漆器職人が減少。30年間で350人から50人に。
  • 漆器職人は漆で手がかぶれるきつい仕事。やめていく人は多い
  • 「再建には漆器職人だけでも30~40人は必要」

10月31日未明の火災により主要な建造物が消失した沖縄の首里城。
現在、再建に向けた動きが広がる中、那覇市が再建支援のため、インターネットを通じて始めた寄付の募金は、3億6千万円を超えている。(11月6日現在)

再建には、巨額の費用が必要だが、問題はそれだけではない。
職人不足も問題となっている。

首里城の顔ともいえる正殿は、「巨大な琉球漆器」と呼ばれていて、通常、漆器などを作成する漆器職人が琉球王国時代の漆の技法を用いて作られたものだった。
正殿再建には、漆器職人が必須となってくるわけだが、この職人が減少しているという。
30年前に350人ほどいた職人は、今ではおよそ50人ほどだという。

なぜ漆器職人は減ってしまったのか?
今後、首里城・正殿の再建に欠かせない漆器職人をどのように増やすべきか?
琉球漆器事業協同組合前理事長の上原昭男さんに詳しく話を聞いてみた。

首里城・正殿の柱や玉座などに漆器職人の技

――首里城・正殿の中で漆器職人はどんな部分を担当した

本来、漆器職人は漆器の上に模様を描いて装飾します。
正殿では、柱の部分や国王が座る玉座の御差床(うさすか)などに、漆を塗り、装飾を行います。

国王が座る玉座・御差床

――ここには、どんな技術が使われている

伝統技法である「螺鈿(らでん)」「沈金(ちんきん)」などが使われています。

「螺鈿」は、夜光貝などの貝殻の虹色に光る部分を磨いて薄片にして、漆器などの表面にはめこむ技法です。「沈金」は、漆塗の表面に刃物で浅く文様を彫り、金箔や金粉を埋め込む技法です。

漆器職人は漆で手がかぶれるきつい仕事

――なぜ今、漆器職人は減っている

一人前になるには、最低でも15年~20年かかります。
仕事はきつく、決して楽な仕事ではありません。
長時間の座っての手作業となり、漆で手がかぶれることもあります。1回かぶれると2度目はかぶれないと言われていますが、それでもやめていく人は多いです。

今は、他にも仕事がいっぱいあるからよほど好きじゃないと続けられません。
やっぱりみんな楽で給料が高いほうが良いですよね。
そのため、今は、職人の平均年齢も高く、その道、40年、50年のベテランばかりです。

また、漆器職人は会社が事業を行うために漆器職人を養成するケースがほとんどです。
40年前は会社も6社ありましたが、生活の洋風化、漆器需要が減ったことなどから、現在は半分以下になってしまいました。

1人で工房を始めるにしても、漆器の工程は、大変多いです。
「木地工程」、「下地工程」、「中塗り工程」、「上塗り工程」、「模様工程」、その間には「研ぎ工程」も入ります。
ここまで多くの工程を師匠なしで身に付けるのは、不可能に近いです。

漆器職人だけでも30~40人は必要

――再建には、漆器職人が任される部分だけでどのくらいかかる?

どのくらいかかるかは私にはわかりません。

ただし、平成28年の8月から平成30年11月まで正殿外部の漆などの塗り直しの作業が行われました。おそらく10人程度で行われていたと思われますが、塗り直しだけでも2年3カ月かかってます。

もちろんそれ以上はかかるでしょうし、新たに建て直すとなると、漆の職人だけでも30人~40人は必要かと思われます。

――今後どうすべき

首里城再建に向けて、国や県などの行政が、職人の育成も含め考えていただきたいです。
そして、沖縄県の漆器職人だけでなく、全国の漆器職人もうまく活用して進めていただきたいです。


政府は、6日、首里城の復元に向けた関係閣僚会議の初会合を開き、早期の再建に努める方針を確認したが、一方で、沖縄県内の瓦職人でつくる組合が、土の配合や焼く温度を知る当時の職人が他界しているため、首里城の瓦を再現することは不可能だとして、焼け残った瓦を廃棄せずに、可能なかぎり再利用するよう、沖縄県に要請している。
首里城再建のためには、職人不足やこういった技術の継承も課題となってくるだろう。